落陽 | Get Up And Go !

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吉田拓郎さんではなくて、やっぱり拓郎だね。高校時代は、「拓郎!拓郎!」と親しみを込めて呼んでいる人も周囲にいました。

その吉田拓郎。 今月29日発売の新作アルバム 『ah-面白かった』をもって最後とするのだそうです。ライブももうやらず、引退ということのようです。そのことについてはラジオ番組でも語っていました。

要約すると「フォークソングの時代、70年代は素晴らしい時代だったけれど、それはそれとして引きずらずに終わらせたい。」ということです。アルバムタイトルもそうだし、吉田拓郎らしさは感じます。

僕などは日本のフォーク、あまり聴いていないんですよ。でも周囲の友人たち、洋楽を聴かない友人たちは、フォークやニューミュージックと呼ばれ始めていた日本の音楽を熱心に聴いていましたね。その中で吉田拓郎って、僕らの年代ではやはりビッグネームなのです。なんかね、あの時代もまたひとつ終わってしまうんだなって気がしています。





高校時代に拓郎のライブアルバム 『Live '73』を初めて聴きました。クラスで放課後に、ラジカセでかけている奴がいたんですよ。フォーク・ギター持って一緒に歌っている奴もいました。そんな時代です。 洋楽派のほうが少なかったですね。それで、好きになった曲は「ひらひら」と「落陽」です。アルバム自体、バンド演奏だし管楽器も入っていて、フォークという感じはしなかったですね。

後にライブの定番となる「落陽」も、この時はまだおとなしめのアレンジでした。実は「落陽」が一番好きな曲で、今でもたまに聴きます。とくにギターが青山徹になってからの「落陽」は完全にロックですね。

青山徹は広島が生んだ名ギタリストです。同じ広島の浜田省吾らと結成した愛奴のメンバーとして活動の後、やはり広島出身の原田真二のバンドでもギターを弾いています。この時のライブでのプレイも素晴らしいものがありました。エモーションをプレイに乗せることの出来る最高のギタリスト。熱いプレイです。





その熱いギターに乗っての、拓郎のがなり気味のやはり熱いボーカル。この時代、拓郎と曲作りでタッグを組んでいた岡本おさみ氏の詞の言葉が、キャッチーと言うかひとの心を掴むの上手いというか、入ってくるんですね。それらが一体となって、ライブでは大変な盛り上がりとなります。

一度だけライブに行きました。拓郎ファンの友人に誘われてのものでしたが、「落陽」を生で聴きたかったのです。都内のホールでしたが、驚いたのはコンサート開始前、会場の外でおおぜいのファンが車座になって吉田拓郎の曲を皆で歌い盛り上がっていたことです。「フォークジャンボリーかよ」と思いました。 時代はすでに80年代となっていたのに、「まだ、やってんのかよ!」という冷めた気持ちにもなりましたが、それが吉田拓郎のコンサートのノリだったんですね。

「落陽」という曲は、歌の主人公である若者と、旅先で知り合ったサイコロ博打の好きな爺さんとの出会いと別れのシーンを描写した曲です。 解釈は人それぞれだと思います。 左寄り高校生だった僕は、「この国ときたら賭けるものなどないさ」という言葉を当時すぐにキャッチしてしまいました。「身を持ちくずしちまった男の話をきかせてよ」という部分が現在は好きです。






みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば また振り出しに戻る旅に
陽が沈んでゆく ♪