My Favorite “LAUREL CANYON” Songs (1) | Get Up And Go !

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ウエストコースト・ロック。 馴染のある言葉ですが、それを "ローレル・キャニオン産" の音楽として語られることは、ここ日本においては今まであまりなかったように思います。最近日本でも劇場公開された2本の映画 『ローレル・キャニオン 夢のウエストコースト・ロック』『エコー・イン・ザ・キャニオン』 によって、音楽を深堀りするためのキーワードとして語られ始めた。 そういったところでしょうか。
個人的に好きな曲をいくつか選んでみました。 ギター


THE BYRDS / My Back Pages (1967)
アメリカン・ロックの歴史を語るうえでは、欠くことの出来ない重要なバンドです。 ウエストコースト・ロックの始まりはバーズだと言う人もいます。 結成時のメンバーである、デヴィッド・クロスビーは、「ローレル・キャニオンに住み始めたミュージシャンは自分が最初だ」と言っていますね。 ローレル・キャニオンのアーティストには、ビーチ・ボーイズのような最初からそこに住む原住民と、途中からの移住組があるようです。 ザ・バーズは移住組なわけです。

ビートルズのアメリカ進出以降その波を大きく受け、影響を受けながらも自分たちのスタイルを模索し構築していったのがザ・バーズです。12弦ギターを使用してのフォークとロックの融合は、バーズ・サウンドを代表する音です。 それはビートルズとボブ・ディランの融合という言い方も可能かと思います。

ボブ・ディランの曲をいくつかカバーしていますが、ディランのあの独特の芸風によって、一聴難解に聞こえてしまう曲を、わかりやすく翻訳したのが 「ミスター・タンンブリマン」 であり 「マイ・バック・ページ」 でありとも言えるわけです。 ディランの楽曲は、実はメロディが優れているという証明ともなりました。





Crosby, Stills, Nash & Young / Our House (1970)
デヴィッド・クロスビーはバーズ脱退後、元ホリーズのグラハム・ナッシュ、元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスと 「クロスビー、スティルス & ナッシュ (C.S.N) 」 を結成。 後にニール・ヤングも加わり、CSN & Y として活動することになります。

「僕達の家」 という邦題のついた 「Our House」 は、1970年発表、CSN & Y としてのファースト・アルバム 『デジャ・ヴ』に収録されています。 グラハム・ナッシュが、ジョニ・ミッチェルと同棲していた時代に書いた曲とのこと。 そのローレル・キャニオンの愛の巣を、「Our House」 という曲にしたわけですね。

『デジャ・ヴ』 は、「Our House」 ばかりでなく、良い曲の詰まった素晴らしいアルバムです。 一聴することを薦めます。





ローレル・キャニオンという、自然に囲まれた美しい丘から生まれた音楽については、2019年公開のドキュメンタリー映画 『デヴィッド・クロスビー:リメンバー・マイ・ネーム』でも、語られています。 こちらのほうが、先の2本の映画よりもきれいごとではなく語られている部分もあります。

デヴィッド・クロスビーはバーズを脱退したのではなく解雇であったということ。 ジョニ・ミッチェルと最初恋仲だったのは、デヴィッド・クロスビーであり、ジョニはデヴィットから離れグラハム・ナッシュのもとに走ったということ。 自身の人間性の問題がずっと仲間にトラブルをもたらしてきたことを、クロスビー自身が語っています。 映画では、現在のクロスビーがローレル・キャニオンを訪ねるシーンもあります。 もちろん 「Our House」もです。






ローレル・キャニオンというコミュニティが、たくさんの素晴らしい音楽を生み出したのは事実ですが、約束もなくギターだけを持ってふっと相手を訪ねるという、近すぎる関係が生み出した不幸もそこにはあったのではないかと、いろいろと考えさせられる部分もありました。