ローラ・リー | Get Up And Go !

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より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ






黒い肌を持った女性たちのソウル・ミュージック、レディ・ソウル。 アレサ・フランクリンを筆頭に、キャンディ・ステイトン、エタ・ジェイムス、カーラ・トーマス、アーマ・トーマス、グラディス・ナイト などなど・・・。 ソウル・ファンであるなら、60年代から70年代を彩った、これらの女性ソウル・シンガーの名前はスラスラと出て来るでしょう。 でもローラ・リーの名前となると・・・。

ソウル・シンガーとしての活動期間が短く、残された録音も少ないと言うのはあるでしょう。 でも数多い女性ソウルシンガーの中でも、群を抜く素晴らしいシンガーであるだけに、もっと知られていてもいい人なんですけどね。

ローラ・リーはシカゴ生まれのデトロイト育ち。 両親が共に教会の聖歌隊に深く関わっていたという点は、アレサ・フランクリンと同じです。 10代の始めには聖歌隊に加わり歌っていたそうなので、そこでソウルの歌唱法を身に着けたのでしょう。 こういった点もアレサと共通しています。




I Need To Belong To Someone
カーティス・メイフィールドの曲。 チェスはシカゴのレーベルですが、曲の多くは、アラバマ州マッスル・ショールズのフェイム・スタジオで録音されています。


アメリカの黒人達は、子供の頃に何らかの形でゴスペル音楽との接触を持っていることが多いので、ゴスペルが黒人音楽の基礎になっているという言い方に間違いはないと思います。 ソウル・ミュージックと言われる音楽自体、ゴスペルを世俗化した音楽と言われていますからね。

黒人教会へは一度行ったことがあります。 お願いして後ろの席で見学させてもらったのです。 まず教会にドラムセットやエレキピアノ、アンプなどがあるのが驚きでした。 そこで歌われるのはもちろんゴスペルなのですが、リードを取る若いシンガーの歌い方は現代的です。 節回しがスティーヴィー・ワンダーそっくりのひともいました。 日本人の僕からすると、それはソウル・ミュージックです。 毎週日曜日、親に手を引かれた子供たちもやってきて、そこでゴスペルを聴き、歌ったりするわけです。

ローラ・リーは60年代に、シカゴのチェス・レコードに素晴らしい作品を残しています。 70年代にホットワックスというレーベルに残した作品も悪くはないのですが、古くからのソウル・ファンの意見同様、僕もチェスに残した作品のほうがより素晴らしく思えます。

男まさりなスケール感。ハスキーな声での粋な歌い回しがなんともカッコイイのですが、そればかりではなく女性らしい繊細さも持ち合わせた歌唱です。 「Dirty Man」 を初めて聴いたとき、ブルースのフィーリングも感じて 「痺れる!かっこいいなぁ」 と唸ってしまいました。 ロック・フィールドの人間にもファンが多いと言うのは、こういった所にあるのではないかと思っています。

ローラ・リー自身も 「Dirty Man」 が自分のスタイルだと言っているそうです。




Dirty Man


ところで、ローラ・リーのチェス時代の作品は、廃盤で長く入手できない状態が続きました。 90年にCD化されたものの程なくして廃盤。 僕自身は新宿の専門店でやっと手に入れた、『LOVE MORE THAN PRIDE』 というアルバムのアナログ中古盤で聴いていたのです。 盤質の良くないレコードでした。

ブルース & ソウル・レコーズという専門誌があるのですが、その雑誌のウエブサイトが 「CD化してほしいアルバムは?」 と募った際、「ローラ・リー」 をコメントとともに投稿したところ、すぐに採用となったぐらいです。

2003年、イギリスのシンガー、ジョス・ストーンがデビュー・アルバム 『THE SOUL SESSIONS』 で 「Dirty Man」 をカバーした時は、ジョス・ストーン自体がセンセーショナルな登場であっただけに、「これでローラ・リーも陽の目を見るに違いない」 と思ったものです。




2006年にCD化されたチェス時代のコンプリートCD。


ですが国内も海外もいっこうに再発される気配はなし。 「なんだ、無視かい」と諦めていたところ、2006年になりやっとチェス時代の音源が、ヨーロッパでコンプリートCD化! ようやくチェス時代の音源をすべて聴くことができたのです。 ついでながらこのCD、裏ジャケットに曲名に関してのひどい印刷ミスがあり、「もっとまじめにCD作れよな!」 と、いらぬところで腹を立てさせる代物でした。 (;^_^A
( 尚 『LOVE MORE THAN PRIDE』 も、2013年に国内CD化されています)



Sure As Sin
ローラ・リーは華奢でかなりの美人です。 歌のパワーはすごいですけどね。


ローラ・リーは70年代初頭には 「レディ・ソウルの新しい女王」 と呼ばれていた時代もあったようで、玄人のソウルファンからも高く評価されていたそうです。 今回は忘れられてしまいがちな、ローラ・リーというレディ・ソウルを少しでも多くの人に知っていただきたく記事にしました。
長い文章、最後まで読んでいただいた方には感謝いたします。
m(_ _ )m

70年代、多くのソウルシンガーがゴスペルに回帰する中、ローラ・リーも76年、世俗的なエンターテイメントの世界を離れゴスペルの世界へ帰っています。