ゲット・アウト | Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ






ゲット・アウト (英題: GET OUT ) (2017 / アメリカ)
● 監督・脚本 ジョーダン・ピール 
● 音楽 マイケル・エイブルス
○ 出演 ダニエル・カルーヤ / アリソン・ウィリアムス / ブラッドリー・ウィットフォード / ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 他






ストーリー 映画
黒人青年クリス・ワシントンと、白人女性ローズ・アーミテージは、つきあって5カ月の恋人同士。 ある週末、クリスはローズの実家へと招待されることに。 クリスは黒人である自分が、白人であるローズの両親に受け入れられるかどうか心配であったが、彼女の 「両親は人種を気にするような人ではない」 という言葉を信じ、車を走らせアーミテージ邸へと向かう。

ローズの実家に到着したクリスを待ち受けていたのは、不安とは裏腹の過剰なまでの歓迎であった。しかし、アーミテージ家の若い男女の使用人2人が黒人であることに違和感を覚える。





白人ばかりの近所の住人達を集めての親睦会に招かれたクリスは、さらに不安を覚える。 表面的には笑顔で迎えても、舐めまわすように、品定めをするようにクリスを見る住人たち。 笑顔でさりげなくクリスの身体を触る中年婦人。「時代は黒だ」 と言う初老の男。 タイガー・ウッズの大ファンだという元プロゴルファーの老紳士。

やっと見つけた肌の色が同じ住人・ローガンに 「ブラザー」 と言って声をかけるが、その白人的な振る舞いや服装に不気味さを感じる。 運輸保安庁に勤める友人ロッドに、密かに撮ったローガンの写真を送信すると、「ローガンは数か月前に行方不明となったアンドレに間違いない」 という返信が。

クリスがパーティからいなくなると、会場ではクリスを競り落とすためのオークションが行われていた・・・。





カチンコ (ネタバレあり)
ジャンル的にはホラーということになるのでしょうか。 でもコメディ的な要素もあるし、アメリカ人の深層にある差別主義も横たわっていて、とても興味深く観れる映画です。

昨年秋の日本公開時にはほとんど話題にならず、すぐにロードショー公開が終了となってしまった映画なのですが、年があけて3月にアカデミー賞で脚本賞を受賞したこともあり、日本ではこの映画の凄さに気づくひとが増えていったようです。4月のDVD化・レンタルとなってからさらに評価が高まっていってます。

僕は4月に名画座で観て、DVD化後はさらに2回も観てしまいましたが、無駄な場面の無い良く練られた作品なのです。ちょっとヒッチコックの映画を思わせるようなところもあります。





結末は言わずにネタをばらすと、クリスの恋人ローズを含めてのアーミテージ家と近隣の白人住人たちは、黒人を狩ることを目的とした秘密結社のような集団です。 ローズは恋人であるふりをして黒人を家に招き入れ、弟のジェレミーは得意の格闘技を使って黒人を狩るのです。

凝固法という脳移植手術によって、自分たちの脳を黒人に移植するのが目的です。 黒人の身体だけを頂きたいというわけです。 彼等の「黒人の持つ肉体の優位性と、白人の意思が結合すればより良い存在となる」 という考えのもとにです。 黒人の天性である身体能力の高さを認めながらも、それを支配するのはすぐれた頭脳を持つ我々白人でなければならない、という非常に歪んだ差別主義からです。




FLANAGAN AND ALLEN / Run Rabbit Run (1939)
"逃げろや、逃げろ、うさぎちゃん ♪" 映画冒頭、ジェレミーがローガンを狩る場面で使用されています。こういった曲をこういった場面で使うとは! コワイ ( ゚-゚)


これは映画とは関係ないのですが、多民族国家アメリカのスポーツには、ポジションの固定化 (スタッキング) という考え方もあって、それは例えば 「白人は専門知識が豊富で的確な状況判断が出来て統率力にすぐれている。 一方、黒人はボールを持って走ったり遠くに飛ばしたり、ダンクシュートを決めたりするのに適した身体能力を有している」、というものです。

その考えからかどうかは定かではありませんが、メジャーリーグ・ベースボールでは、司令塔の存在ともいえるキャッチャーのポジションには黒人プレイヤーが皆無であったり、アメリカン・フットボールのクォーターバックのポジションには、かつては黒人が少なかったりとか。

これは差別ではなく適材適所とも言えますが、ことが頭脳の優劣の問題につながるだけに、タブーに近い言説なのでしょうね。 アメリカの学者には、人種別の平均IQを調査したひともいるようですが、容易には発表できないでしょう。





ところで皆さん、テニス・全米オープン、女子シングルスの大坂なおみ選手、凄かったですね。 圧倒的な強さでした。 プレーはもちろん素晴らしいのですが、その振る舞いにも落ち着きと気品があって、謙虚で礼儀正しいところなどはまさに日本人ですよね。

ご存知のように、彼女は人種的にはハイチ人の父と日本人の母を持つハーフで、日本生まれのアメリカ育ちのわけですが、私たち日本のファンは、日本人選手としてほとんど躊躇もなく応援していたように思います。 同時に彼女の父の国である、ハイチの人たちが彼女を応援している姿も、競技場からのテレビ中継で映し出されていました。 そのハイチの人たちの 「彼女は、日本人の賢さとハイチ人の力強さを併せ持っている。 簡単には倒せない」 という言葉がとりわけ印象に残っています。