映画 『ラスト・ワルツ』 / 公開40周年記念上映 | Get Up And Go !

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今年は、ロック映画の名作 『ラスト・ワルツ』 が公開されてから40周年です。28日に池袋・新文芸坐で観てきました。 1978年7月の初公開時以来、何度も観ている映画です。

今回以前に観たのは、2014年5月31日に吉祥寺のバウスシアターでの最終上映においてです。 僕にとってはマイルストーン的な意味で特別な日に観てきた映画だし、吉祥寺のあの上映でこれから少なくとも10年ぐらいは封印しようと考えてはいたのですが、あれから4年で再び観ることとなりました!

個人的には、映画はざらついたフィルムで観るのが好きなのですが、ロック映画 (ライヴ映像) ともなるとデジタル・リマスターによる鮮明な映像で、それを映画館の大きなスクリーンで観たいというのもあったんですね。






あれは高校2年、夏休みが始まったばかりの7月の暑い日。 ボブ・ディラン狂のクラスメイトに誘われての日比谷の映画館でした。 公開初日であったはず。

自分にとって何が特別なのか。 この映画によってそれまで音楽雑誌の写真で見るだけの、そしてその写真を見ながらレコードを聴き動く姿を想像していた多くのロック・ミュージャンたちの、実際の動く姿を映像で拝めたからなのです。
ボブ・ディラン、ニール・ヤング、エリック・クラプトン、ザ・バンドの面々・・・

若い方には 「はぁ!?」 かもしれませんが、ビデオもパソコンもない僕らの時代は実際そうやっていたのです。 来日コンサートは少ないし、あっても金がないから多くは行けないし、たまに上映されるロック映画やテレビの洋楽情報、PVを金を払って会場で観るフィルム・コンサートぐらいですから。




ERIC CLAPTON & THE BAND / Further On Up The Road


僕の一番の目当ては実はエリック・クラプトンでした。 ギターを弾き始めた中学時以来、この頃は既にクラプトンにのめり込んでいましたからね。 感動したんですよ。 あの淀みない指の動きに。 「スゲッ!」 。

で、バトルの相手が指の動きがスムーズではないロビー・ロバートソンであっただけに、今思うと恥ずかしくも 「クラプトンの完勝や!」 なんてね。 ロビー・ロバートソンのプレイの良さがその時はわからなかったんですね。 ガキたれロック小僧には。

それにしてもクラプトン。 70年代はザ・バンドやデラニー & ボニーのような、緩みのあるリラックスしたロックに憧れてアメリカに渡ったというのに、ギターソロとなるとやっぱり緊張感のあるスリリリングなプレイになってしまうんですよね。 ま、イギリス人ってわけか。




THE BAND / The Night They Drove Old Dixie Down


1976年の、ザ・バンド 『ラスト・ワルツ』 及び、イーグルス 『ホテル・カリフォルニア』 で、ロックは終焉を迎えた。 そんな言葉を当時すでに聞いた (読んだ)記憶があります。。

ここで言う "ロック" というのは、"反体制" であったり、" 非商業的" であったりの60年的価値観というか・・・。 ロックという音楽も70年代に入ると成熟し、あるいはマンネリ化し、商売人たちの金儲けの道具となってしまいました。 プログレなんていう、金のかかる巨大化したロックも出て来たりしてね。 同時にパンクという金持ちによるロックを否定するムーヴメントも出てきたわけですが。

だから 『ラスト・ワルツ』 は、虫の息で生きていた "ロック" の "最後の円舞曲" であるというわけです。 でもねぇ、夢中になって聴き始めた音楽を 「これで最後よ」 って言われても、10代のロック小僧からすれば「そりゃないでしょ」 となるわけで。





『ラスト・ワルツ』 でのロビー・ロバートソンのインタビューや、映画の構成には 「これで終わりだ」 といった雰囲気があるし、それは当時感じてもいました。 ただ、ドキュメンタリーであっても、ライヴを映画としてドラマティックに仕立てようと考えていた監督・マーティン・スコセッシと、ツアーが嫌でバンドを解散させたかったロビー・ロバートソンが映画製作者となって組んだことを考えると、「終焉」 を強調し過剰に演出したようなところも見られます。 これは、今 観ればの話ですが。

映画成立の経緯や内幕を知ったとしても、この映画がロック映画として名作であることには違いないでしょう。この時代のあとにパンク・ロックの隆盛とそれに続いてニュー・ウェイヴが台頭し、華やかでチープな80年代へと続いていくわけですが、僕にとっては、ロックに熱さがあった時代の最後の輝きを捉えた映画を、滑り込みセーフのような形であってもリアルタイムで観れて、またあの時代を感じられたことはとても幸運なことであったと思っています。


映画のクライマックスは、ディラン & ザ・バンドの演奏です。ボブ・ディランのバックでザ・バンドが演奏。 そしてディランとロビー・ロバートソンがステージで並び立つ。 こんなかっこいいことがあるでしょうか。



BOB DYLAN & THE BAND / Forever Young ~ Baby Let Me Follow Your Down
ディラン、珍しくステージ上からの笑顔も見られます。


ラスト・ワルツ (原題: THE LAST WALTZ)(1978 / アメリカ)
● 監督: マーティン・スコセッシ
● 制作: ロビー・ロバートソン
○ 出演: ザ・バンド / ボブ・ディラン / エリック・クラプトン/ ヴァン・モリソン / ニール・ヤング / ジョニ・ミッチェル / ニール・ダイヤモンド / リンゴ・スター / ロン・ウッド / ドクター・ジョン / ポール・バターフィールド / ロニー・ホーキンス / マディ・ウォータース / ザ・ステイプルス / エミルー・ハリス

(1976年11月25日、サンフランシスコ、ウインターランド)

映画『ラスト・ワルツ』 (公開40周年記念上映・サイト)




BOB DYLAN & THE BAND / I Shall Be Released