ラム | Get Up And Go !

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ポール & リンダ・マッカートニー
PAUL & LINDA McCARTNEY
『 ラム / RAM 』 ~ 1971 ~




誰にでもきっとあるでしょう。評価に至るまでに時間がかかってしまう作品というものが。
ビートルズが好き。そしてポールが好きである僕にとっても、この 『ラム』 というアルバムが最高のものであるとわかるまでには、少しの時間を要しました。

このアルバムは発売当時、評論家の中には酷評する者もいたそうです。
僕らの年代は解散後の70年代中頃にビートルズを知った所謂、第二世代です。すでにメンバーそれぞれがソロで活躍していた時代。そしてポールと言えばウイングスの代表作 『バンド・オン・ザ・ラン』 や 『ヴィーナス・アンド・マース』 でバンドとしての全盛を迎えていた時期です。手作り感に溢れたこの作品はフォークっぽい所もあり、始めはいなたく感じてしまった。そう自分を振り返っています。


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ビートルズ解散(1970年)から、ソロ・アルバム 『マッカートニ』 『ラム』 に至るこの時期。ポールには 「音楽上の友達がひとりもいなかった」(リンダ)そうで、スコットランドの農場に引きこもっていた時代です。「リンダがいたから再び音楽に向かうことができた」と後にポールは語っていますが、アルバムの名義は 『PAUL & LINDA McCARTNEY』 となっています。

Dear Boy
アルバム12曲中6曲がポールとリンダの共作となっていますが、その中でも好きな曲です。幾重にも重ねられたメロディーとリンダのバック・コーラスが美しく溶け合っています。






『PAUL & LINDA McCARTNEY』 というアルバムの名義に関してですが、一説にはジョン & ヨーコへの対抗心だといわれています。どうでしょうか。確かにこの頃のポールとジョンの関係は最も悪化していた時期。対抗心というのもあったのでしょうが、ジョンのような活動への憧れがポールの心の奥底にあったのではないか。これはあくまで私見ですが・・・

Uncle Albert / Admiral Halsey
邦題では 「アンクル・アルバート ~ ハルセイ提督」とついたこの曲はやはり外せません。全米1位を記録したこの曲もポールとリンダの共作名義です。ニューヨーク・フィルハーモニック・オーケストラを導入しています。






『ラム』 は、ポールが音楽活動をする際のパートナーとしてもリンダと共に歩んでいくことを決意したアルバムです。家族と共に農場で静かに暮らしながら生み出された曲たちは自然発生的で、牧歌的な雰囲気も感じさせます。
ビートルズ後期の前衛的な音楽とは違う、アコースティックでゆったりとした雰囲気が漂う、けれどマッカートニーのメロディーは健在で丹念に作り込まれた作品です。

録音はニューヨークで行われ、ギターにデイヴィッド・スピノザやヒュー・マッケラカン、ドラムにデニー・シーウェルが参加。このあたりも4トラック宅録であった前作 『マッカートニ』 とは本気度が違います。
ブルース、カントリー、重厚なロック・・・曲想がバラエティに富んでいてもすべてがマッカートニー印。あれもこれもと良い曲が多いアルバムです。今回はこの曲で最後ということで・・・

The Back Seat Of My Car
名盤の最後を飾るのにふさわしい、ポールらしい凝った作りの曲。感動的です。ポールとリンダの共作。こちらもニューヨーク・フィルが導入されています。









「僕らはとてもシンプルな生活を送っているんだ。朝起きると、まず僕が暖炉に火をくべ、リンダが朝食の支度をする。ヒーザーが食事のあとかたづけをすますと、僕が庭や農場の手入れをする。みんなで乗馬を楽しむこともあるし、納屋で曲を作ることもある。そして夕食が終わると、みんなで居間に集まってテレビを見るんだ。平和で落ち着いた生活さ」
 ~ ポール・マッカートニー ~



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