大学で学んだ一番大事だったこと (自分だけのための記事)
もう大分昔、むかしむかしの3月に大学に受かったので、入学まで暇だし第二外国語の勉強をしようと渋谷区の図書館に通った(笹塚図書館でした)。
朝倉季雄先生のカセットテープ6巻組の入門書があり。毎日、図書館で勉強してて、結構はまった。
発音が美しい。
大学の教養課程では、文法を最初からおそわる。
フランス語の担当教官は、井村順一先生だった。
井村先生は文法の基礎から教えられ、かなり早いペースで進むので、複雑な時制とか難しい単語とかがどんどん出ていき、夏には脱落する人がでて、井村先生に「〇〇さんが単位取れそうにないから教えてあげてください。」と個人的にいわれ、夏休み文法を教えたんですが、2人は毎日続けて一緒に文法やってほぼ終わり。 先生にいわれたお一人は文法の最初を少しやったけど1~2回でやめてしまわれた。(予習のおかげで文法のイントロはついていけたのでした)
フランス語の授業は文法がおわると、秋を過ぎると井村先生と平行に何人かの別の先生も入れ替わりで講読が始まる。大体がある作家の短編小説を日本の出版社が薄いテキストにして(何も注釈なしの)フランス語だけのテキストを読んでいく。 他に何人かの著名なフランス語の先生が、モーパッサンとか、パスカルのパンセとか、、フローベールとかの小説を読むわけですが、、、。(文法基礎を終えたらどんどん読ませるのは旧制高校のやり方だと後に知った。)
井村順一先生は、今思い起こすと井村先生のテキストは他の先生たちとは毛色が変わってて、すごい奥が深いような・・・。 その1つ、第二次世界大戦中に食料の配給の行列に並んでいる(たぶん大学教授の)男の心を描いてたと思う(「ムール貝」という題だったと思う。ムール貝の配給を待ってた)。 その他に、井村先生はある時、他の先生とはちがったまた変わったテキストの講読になった、(名は出しませんが)戦時中に活動したユダヤ人の若い女性のエッセーをテキストにされて徹底的に読んだ。(この本は、ときどき大きな意味を感じ、後の自分にも真髄になってる)。。この若い女性は生き方がへたなのか、若くして亡くなってる(たぶん20代)。
また、非常にうつくしい文章のアナトール・フランスの短編集がテキストになったことがある、
近頃(この9月か10月頃から)深く思い出すのが、井村先生がテキストにされた、アナトール・フランスの「聖母の軽業師」。 (マルセリーノの歌の1955年スペイン映画・白黒「『汚れなき悪戯』に似た感じなんだが、映画は少年だけど)、アナトールフランスのこの短編は軽業しか能のない大人の男で、近ごろ、どうもこの短編をよく思い出し、自分にとって深い意味を感じる。
わたしは理系なので 2年の後期ぐらいから専門の学部学科を決めないといけないんだけど、理系の科目は全然ダメで、フランス語だけうまく行くので、文転してフランス語に進むことは考え かなり迷った。(同じクラスにすごくフランス語学ができる人がいて、その人は文学部の比較言語学に進んだらしい)。結構わたしも迷った。
ある日、登校の電車に乗って座ってたら、井村先生が、乗ってこられて、隣り合って話を少ししたんですが、、先生が「〇〇さんは、どの学部に進学されますか」というように聞かれた、
わたしは理系のトップに行きたかったので、「一応、医学部ですかね」といい加減に答えたんだが(全然、教養学部の理系の成績が悪すぎて)軽く言ったが。先生はまじめにとられて「医学では、血液学などはフランスは歴史があってフランス語が役に立つとか」とおっしゃったが・・・
いまから、考えると、 井村先生は非常におとなしい、言葉がていねい、ひかえめ、地味な先生だった。 言葉がていねい・誠実というのは、それはその人の生き方の一つの表れだ。。紳士っていうのは英国ってわけじゃないなと・・。 若い頃フランス留学でもとめられたような先生のかばんを授業のときもいつも見ていた。
丁寧な、控えめな、地味な先生が、選んだテキストというのは、これは世間的に有名ではなく、強いアピールはない地味だけど、すごくすごく内容が濃い。 何十年もたって振り返る、
生きること、その意味が籠められている。
それらを先生に教わりながら一緒に講読したというのは、おそらく大学の4年間で最高の教育だった。
井村先生には他にも思い出がいくつかあって、
文法の授業時間の最後に、文を板書される、、(それを一生懸命ノートに書き写した)
・その1つがラ・フォンテーヌの「セミとアリ」だった。
(なぜ「アリとキリギリス」が「セミ」なのかも説明された)。
・すごい難しい詩も板書された アポリネールの「ミラボー橋」。 読みこなしは今でも難しい。
(ベルレーヌ: Les sanglots longs. Des violons. De l'automne. もあったかも)。
フランス語の詩は、音が重要なので、声を出して読むと一段とよい。
わたしは医学部は無理なので、迷ったあげくに農学部を選んだんだけど(それは一種、食べるため、仕事のためだったが)、ラ・フォンテーヌの「セミとアリ」でいえば意に反してアリの道を選んだのだがセミを選んでも良かったんだけどなと。。
たまに思うのは、もしかしたら、井村先生は、電車で、わたしが進路に迷っているようだったら、
フランス語の方向に進学する希望があれば、助言したいと思われて声をかけられたのではと・・空想したりする。
先生も、お亡くなりになられたらしくて。 もう一度お会いしたかった。
(文法を短期間でおわらせ、講読で鍛えるというのは昔の旧制高校のやり方らしいが。寮の大変優秀な理系の先輩は「どんな語学も文法書で1週間で文法を完了、あとは徹底的に読むんだ」と言ってた。また別のタバコ吸ってた仏文の先輩は就職のことはぼんやりしてた。。)が、、
1週間で文法を独学するといっても、やはり正しい文法・発音を学ぶにはしっかりした先生につかないとならん。(フランス語の文法や綴りは歴史的にアカデミーにより非常に整備されているらしい。だからキッチリ学ぶ必要がある)。
それと、講読にしても、有名作家や有名な著作でなくても、しっかりした先生の選んだ深い内容の良い本を読みこめたのは良かった。
(ついでに) 非常に下世話な話で、、 私は、社会人になってから、
20代の頃、フランス語会話を中年のイタリア系フランス人女性に習って、フランス人たちのパーティーにもでて、フランス人グループの内輪のゴシップ聞かされたり、結構なんちゅうか品がないのでフランス人には辟易した、うんざりになった。(彼女に「警官を見たら腕をクロスしてあざけるんだ。フランス人はみんな警官が嫌いだから」ということを教わったりした)がどうでもいい話だった。
また、30半ばのとき、ベルギー系の若い人にフランス語を習ったが彼はキッチリ、紳士的なインテリだったが、サンテグジュペリを読みたいのに、初歩の会話のテキストではじめたが、半分日本の文化を教えることになり、そのフランス人の奥さんというのが美人なんだけど活動的な、なんかザッパで・・・美人ではあるだけで好い感じがない。(夜、家に電話があり、パーティーでおでん鍋つくりたいが出汁が作れないと・・、パートナーに聞いて出汁の素を持ってった)。旦那さんは文化的な人だったのに、技術系の美人奥さんは雑で味気なかった。
(フランス語の先生を選ぶときには、ちょっと考えてから選ばないといけんなと)
フランス人でも、キッチリした人と、どんちゃんして、なんか下品で軽いパリジャンみたいな人といるんかもなーと・・・ そりゃ、どっこの国も同じか!!
しかし、上流階級でもなくインテリでもない庶民に真心があることもある(それこそアナトール・フランスの「聖母の軽業師」なのだ)。
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井村順一先生の本 (読んでみたいですが
「美しい言葉づかい フランス人の表現の技術」2008.7.中公新書
これはフランス語のことだけを書いてあるらしく、
つまり、フランス人の「美しい言葉づかい」の表現の技術ということかと・・・
ムール貝というのは、たぶん、カラス貝か・・二枚貝で、あんまりおいしくない。。とか聞いたような、
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しらべていて書いて、次の朝、思ったこと (10/27)
井村順一先生は、1933年 東京のお生まれのようで、
戦争が終わった1945年は、もう12歳になっておられて、
東京であるから戦争体験というのはあったのだろう、
それで、 ムール貝の配給の列にならぶ短編小説とか、戦時中の女性活動家のエッセーがテキストに選ばれたのかなと・・・。
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(ムール貝の短編の、ことが知りたくて検索しましたが、うまくいかず)
あららー Oh là là ! (オー・ラ・ラ) と思うのは・・
AI による概要
第二次世界大戦中の食料配給の列に並ぶ大学教授の心境を描いた小説で、「ムール貝」という題名から考えられるのは、ドイツの作家ヴォルフガング・ボルヒェルトの短編小説**『ムール貝(Die Muscheln)』**である可能性が高いです。
食料配給の列とムール貝: 食料配給の列に並ぶことと、ムール貝というキーワードが合致しています。
主人公の心情: 飢餓と孤独の中、ムール貝を手に入れてスープを作ることを夢想し、自己を慰める主人公の心情が描かれており、大学教授らしき知識人の内面描写が特徴的です
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というけど、ちょっと違うかも?
ま、本棚にこのテキストはあるはずなので、いつか読み返してみよう。
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読んだテキストを思い返す。
1冊目、戦時中の食糧難で苦労するインテリの教授。ムール貝の配給に並ぶが確かもう無くなってしまう。
2冊目、戦時中の若くして亡くなった女性活動家の信仰上の課題。
3冊目、アナトールフランスの、、非常に美しいフランス語の短編を2つ。