【講座実施報告】カワセミは、経済効果すら生む?(1月・いたち川編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

2024年最初の講座「首都圏生きものめぐり」

舞岡公園の帰りなどによく本ブログにも登場する

横浜市の二級河川 いたち川の散策です。

 

本来の開催予定日であった1/21(日)が

大雨により中止となってしまったため

1週間後ろ倒しにして開催しました。

幸いにというべきか、元の開催日に予定の合わなかった方も

何人か参加いただけて、そこそこ大人数の講座に。

講師としても非常に嬉しいことでございます。

 

さて、いたち川と言えばかつて土木学会賞にも輝いた

自然再生を促す護岸が特徴。これにより魚や水生生物が

多く集まるようになり、それらを狙う水鳥もまた

多数確認できるようになりました。

その一方で高いコンクリートの人工護岸が

川へのダイレクトアクセスを阻んでくれているおかげで

人と野鳥とが程よい距離感を保てるようになっているのも

「共生」を成功させている大きなポイントと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

今回のメインターゲットは、やはりカワセミ

この川は横浜市でも有数のカワセミ観察の名所で

毎回本郷台駅から大船方面まで歩く際にも

片道だけで4~5回エンカウントするのもザラです。

 

スタート地点である本郷台駅より

川沿いの散策路に出ると、早速1羽目が出現。

しかも魚を捕まえた直後でした。

 

 

 

 

 

が、すぐに落としました(爆)

 

しばらく途方に暮れていましたが

この後すぐに地面に降りて回収しています。

これがもし水に落とした場合ですと

魚はすでに死んでいてカワセミは食事にありつけないという

一番悲しいパターンもあり得ましたので

下が土でよかったねと言いたくなります(笑)

 

 

 

 

 

川の真ん中に佇むカワセミ

 

なお、本郷台駅前の新しいマンションは

居住者募集の際にポスターにカワセミのイラストを用い、

生きもの豊かなリバーサイドであることを謳っていました。

それが功を奏したのかはわかりませんが

すでに入居者は全戸埋まっているようです。

 

それほどまでにカワセミという存在は魅力な模様。

川に現れれば誰もが足を止めて注目し、

最早レア種でないとわかっていても

バーダーはカメラを向けたくなるもの。

未だに、カワセミを求めてあちこち出かけるバーダーも

決して少なくないように思えます。

 

人と自然との距離を近づけ、賑わいを生み、

そこから最終的には利潤すら生むことがあるカワセミという鳥。

これもまた、生態系サービスの一環なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

無論、講座「首都圏生きものめぐり」では

カワセミという一種だけでなく

その他の色々な野鳥も観察・撮影します。

 

上記の通り人との適度な距離のおかげで

河原には結構な数の小鳥が集まってきます。

特にアオジ(左)は、写真のように表に出てくることは

稀なものの、相当数が藪に隠れているものと思われます。

また、この日はジョウビタキ♀(右)にもよく遭遇しました。

 

 

 

 

 

 

イソシギ(左)やコサギ(右)などは

川のすぐ側に現れました。これもいつも通りの光景です。

 

ほか、屋根の上に陣取るアオサギなど

この界隈ではよく見る光景を目にしました。

珍しい鳥と言えるものには会えませんでしたが

数・種類共にこの日は非常に豊富だったので

散策中は退屈することがなかったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

これはハッカチョウ。分布が局所的な外来種で

関東ではこの川周辺や舞岡公園などで

たまに集団で現われることがあります。

 

人によっては見たことがないという方も

それなりにいるのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

 

スイセン(左)やウメ(右)などの冬の花も

あちらこちらで咲いていました。

こうした花の「香り」を楽しむのもまた

街歩きの醍醐味です。いずれもよい香り。

 

 

 

 

 

ジョウビタキは、ちゃんとオスも現れました。

やはりこちらの方が色が美しい分

バーダーからの人気も圧倒的に高いようですね。

 

 

 

 

 

 

今回のルートはひたすらいたち川沿いを

上流へと歩き続けるというものですので

休憩場所ですらも目の前に常に川があります。

 

なんと、休憩中もすぐ目の前で

カワセミがダイブを繰り返していました。

何度やっても魚を捕まえられていなかったので

恐らくは身体を洗っていたのでしょう。

いずれにせよ、贅沢な(?)休憩タイムになりました。

 

 

 

 

 

いたち川は横浜市内を流れる川ですが

このように山間部の渓流を思わせる場所も。

この風景だけを切り取って見せたら

横浜市内だと気づかない人も多いのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

もういっちょ。

右の人工的に設置された足場の上に

カワセミがとまっています。

また、奥の方にはマガモのつがいがいるのですが

ちょっとわかりにくいかもしれません。

 

こうした人工物がなくともカワセミは観察できるので

「なくてもいいんじゃね?」とたまに思うことはありましたが

こうして風景として見ると、奥の小さな滝とマッチして

より自然地っぽい雰囲気になりますね。

 

さらに自然地っぽく演出したい場合は

トリミングで下の石組をカットするといいでしょう。

編集者ならではの卑怯ワザです

 

 

 

 

 

 

大分上流まで歩いてきました。

ちょうどよい時間になりましたので、講座はここまで。

すぐ目の前に山手学院入口のバス停があるので、

そちらで解散しました。

 

なお、いたち川の源流は横浜自然観察の森ですので

行くならさらに数キロ上流に歩く必要があります。

ただ、上の写真より上流となると川沿いを歩く道が

途中で途切れていたりと歩きにくいため

もし、いたち川散策に興味をお持ちの方は

ここより下流でお楽しみいただいた方がいいでしょう。

 

ちなみにカワセミの撮影がしやすいのは

本郷台駅~柏尾川との合流地点という、もっと下流の方。

あちらは視界を遮るものが比較的少ないので

ビギナーの方にも撮りやすくなっています。

 

 

 

 

 

ご参加いただきました皆様

本当にありがとうございました。<(_ _)>

 

 

 

 

 

さて、解散後には少し時間があったので

久々に瀬上市民の森に行ってみました。

谷戸の湿地帯らしい環境になっていますが

やたらタイワンリスが沸いていたのが気がかりです。

(鎌倉でもあそこまで大量に出ることはない気がするので)

 

 

 

 

 

シロハラが出現。

ほか、アオジも複数見られました。

 

 

 

 

 

私のスマホに、ふと気づくとこんなものが。

季節外れの昆虫……と思いきや

どうやらギリギリ冬まで見られることもある

カメムシの仲間みたいです。

 

ケブカカスミカメというらしく

全長は0.5cmにも及ばない小さな昆虫です。

本ブログでは新顔となります。

 

遭遇率・・・2 (珍種ではないみたいだけど見落としやすい)

インパクト・・・1 (まあ、サイズ的に当然)

美しさ・・・2 (模様はちょっとお洒落)

俊敏性・・・4 (ハエのように頻繁に飛び回る)

知名度・・・1 (まあ、知らない人が多いかと)

 

大分前にケブカキベリナガカスミカメという

やたら長い名前のカメムシを撮ったことがありますが

あれに近い種みたいです。

サイズは本種の方がずっと小さいですが。

あと、名前の通り身体の一部が毛深いらしいですが

あまりに小さ過ぎるのでルーペでもないと確認できません(汗)

 

 

 

 

 

最後に、瀬上の奥地で遭遇したルリビタキです。

正面向きだとイマイチ美しさに欠けますが

こういうユニークな姿もまたいい。

 

気になるのが、このルリビタキのいた場所の近くが

一番タイワンリスが多かったということ。

私が開けた谷戸に一歩踏み込んだだけで

湿地で食事していたらしい10数匹が一斉に動き出し

わらわらと森の中へ逃げ込んでいくのを見てしまいました。

巨大な毛虫が超高速で逃げていくようでぶっちゃけキモかったです

 

瀬上はホタルの生息地として知られる名所だけに

ちょっと、今後の動向が気になるところです。

 

 

 

 

 

【1/28 いたち川の講座&瀬上市民の森で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、アオジ、イソシギ、イソヒヨドリ、オオバン、カルガモ、カワセミ、カワラヒワ、キジバト、キセキレイ、コガモ、コサギ、シジュウカラ、ジョウビタキ、シロハラ、トビ、ハクセキレイ、ハッカチョウ、バン、ヒヨドリ、マガモ、ムクドリ、メジロ、モズルリビタキ

昆虫類・・・ケブカカスミカメ

その他・・・タイワンリス

赤文字は講座終了後に瀬上のみで見かけた生きもの

 

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2024年2月18日(日)に開催いたします。

 行先は「水元公園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。