【講座実施報告】土手を歩いて羽田空港へ(10月・多摩川河口域編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

10月開催の講座「首都圏生きものめぐり」

実施レポートをお送りします。

今回は天気にも恵まれ、散策に適したコンディション。

六郷土手駅より多摩川河川敷に出て、

そこから一路羽田空港を目指して歩きました。

 

 

 

 

 

 

単純に河川敷や土手を歩くだけでは

風景の変化にも乏しく退屈させてしまうので

河川敷の草むらなどを掻き分け、生きものを探します。

ベニシジミ(左)やホシササキリ(右)など

オーソドックスな昆虫が次々と姿を見せてくれました。

 

 

 

 

 

地面に下りたベニシジミを接写。

どこまでなら近づいても逃げないのか?などと

疑問に思う方も多いかもしれませんが

こればかりはもう感覚的なものといいますか

被写体が警戒するか否か……それ次第です。

その距離感の取り方は、経験を経て身につくものと言えます。

 

 

 

 

 

こうしたブッシュもチェックしてみます。

アレチウリやセイタカアワダチソウなど

外来種で粗方埋め尽くされている感がありますが

ここにも多くの昆虫が暮らしています。

 

 

 

 

 

 

セイタカアワダチソウで吸蜜するキタテハ(左)と

アメリカセンダングサで吸蜜するウラナミシジミ(右)。

外来種ではありますが、昆虫にとっては特に関係ない様子。

逆に一気に「丸刈り」にしたらプッツンしそう(爆)

(地上部を刈ったところですぐ復活してしまう……というのもありますが)

 

 

 

 

 

ブッシュでは高次消費者にあたるオオカマキリ

この個体は自伝車道を横切ろうとしていたもので

危うく轢殺されそうだったため、拾って避難させました。

 

 

 

 

 

天気は良く、昆虫の出もよかったのですが

その一方でこの日残念だったのが潮位の高さ。

後述する1週間前と比較して1m以上高く

中洲の大半が水没してしまっていました。

そのため、ここの名物であるシギ・チドリが

この日はほとんど観察できませんでした。

 

代表種であるセイタカシギは

講座1週間前には間違いなく集団で飛来していたのですが

ここまで水が深いとさすがに立つことができないため

この日は見えない所に避難していたようでした。

絶滅危惧種とされるセイタカシギが

都会の川の河口域に飛来するということを

実物をお見せして伝えられればと願っていただけに

これについては非常に残念でした。(T_T)

 

 

 

 

 

辛うじて、サギの仲間は立てる模様。

コサギの数がかなり多いようでした。

数年前、コサギが激減したという話が

我々の界隈で出回ったことがあるのですが

ここ1年を見ると特に減ったようには感じず

むしろダイサギを抜いて復権しつつあるようです。

 

 

 

 

 

隠れる直前のアシハラガニ

ほか、クロベンケイガニなども暮らしています。

 

 

 

 

 

上空に一度だけ出現したオオタカらしき猛禽。

もしかしたらハイタカかもしれませんが

いずれにしても立派な猛禽類です。

 

河口域でオオタカ(?)を見たのは今回が初。

かなり広いアシ原が広がっていますので

冬場であればチュウヒなども期待できるかも?

 

 

 

 

 

道中で見かけたランタナ

これまた外国産の園芸品種ですが

昆虫を呼ぶ効果は非常に高い植物です。

 

 

 

 

 

ランタナに来ていたチャバネセセリ

正面から撮ったのは今回が初ですが

正面からだとあまり可愛くない(爆)

 

 

 

 

 

 

いよいよ羽田空港が視界に入り

河口らしい雰囲気になってきました。

ユリカモメ(右)なども姿を見せ

冬が近づきつつあるのを実感します。

 

 

 

 

 

船にとまっていたカワセミ

かつての汚染された多摩川河口域では

まず目にする機会はなかったはず。

 

 

 

 

 

これは……もしかしてチゴガニでは?

最近小網代でしか撮っていなかったので

これは嬉しい出合いです。

 

 

 

 

 

最後は、羽田空港内で離着陸する飛行機を見て

この日は解散となりました。

 

下町風情の残る駅前から河川敷に出て

住宅街と、対岸の工場・倉庫街を見ながら

河川敷ならではの「自然」に触れる散策。

最後は日本の玄関口を訪ねてフィニッシュです。

約4時間の行程でしたが、お楽しみいただけたならば幸いです。

 

次回の行先は石神井公園。多摩川とは打って変わって

武蔵野の原風景を残す親水公園が舞台です。

もし興味をお持ちいただけましたら

ぜひこちらからお申込みください。

 

 

 

 

 

【おまけ(10月9日の記録)】

上記の通り講座当日には見られませんでしたが

セイタカシギは、もしかすると例年以上に

多数飛来していたかもしれません。

この写真はあくまで氷山の一角。

いつもの観察ポイントでカウントしてみましたところ

見えただけで25羽は来ていました。

 

それが講座当日には1羽も見られなかったところに

満ち潮の恐ろしさを感じます。(ー ー;)

 

 

 

 

 

こちらも9日の記録。

露出した干潟に黒い「点」が多数ありますが……↓

 

 

 

 

 

これは全部ヤマトオサガニ。凄まじい数でした。

講座当日も泥の中に隠れていただけで

単に満ち潮で出てこなかっただけと思われます。

 

 

 

 

 

【10/16 多摩川河口域で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、イソシギ、イソヒヨドリ、ウミネコ、オオタカ(ハイタカ?)、オオバン、カルガモ、カワウ、カワセミ、コサギ、ダイサギ、トビ、ハクセキレイ、ムクドリ、モズ、ユリカモメ

昆虫類・・・イチモンジセセリ、ウラナミシジミ、オオカマキリ、キタテハ、キマダラカメムシ、シバスズ、チャバネセセリ、ツチイナゴ、ツマグロヒョウモン、トノサマバッタ、ナナホシテントウ、ベニシジミ、ホシササキリ、マダラバッタ、モンキチョウ、ヤマトシジミ

その他・・・アシハラガニ、クロベンケイガニ、チゴガニ、ニホンカナヘビ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年11月20日(日)に開催いたします。

 行先は「石神井公園」でございます。

 (白子川は今回行かないことになりました)

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。