夏の公園、限られた時間で多くの生きものを探すなら?(石神井公園)※滞在時間2時間弱 | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

いつの間にか梅雨も明けて真夏入り。

今日の記録はまだ気象庁の発表内では

「梅雨」とされていた時期の話ですが、

既に真夏の暑さだったことは覚えております。

ただしまだセミの鳴き声は聞こえませんでしたし、

一応真夏とはちょっと違うなという気も。

アジサイも最盛期でしたしね。

 

この日は練馬で仕事(?)がありましたため

ちょっと早めに出て石神井公園に行きました。

時間があまりなかったのでサクサクと。

 

 

 

 

 

 

石神井池のヨシ原で見つけたヒメカメノコテントウ

無印のカメノコテントウと比較してとにかく小さい。

 

交尾中の個体でしたが、手を差し伸べてみると

交尾したまま乗ってきました(右写真)。

大事な繁殖機会を損ねるのはよろしくないため

一通り撮影し、交尾したまま葉っぱに戻してやりました。

立ち去る瞬間まで交尾は続いていました

 

 

 

 

 

この日散策に費やせた時間は、2時間が限界。

石神井公園は広いので、全体をくまなく散策して

細かく生きもの調査をしている余裕はありません。

 

こういう時は散策するスポットを

昆虫の多そうな場所に絞り込むことが不可欠です。

(生きものの数・種類の多さに拘るのであれば)

そういう場合、私が重点的に散策するのは

写真のような草原か、後述の花畑に絞られます。

(トンボ目当てで水辺をチェックすることもあります)

 

 

 

 

 

上記の草むらを探ってみましょう。

まだバッタの類はほとんど見られませんでしたが

ハムシの仲間などがいくつか見られました。

(写真はヤツボシハムシ

 

 

 

 

 

こちらはササグモ。ハムシの仲間らしき

小さな甲虫を捕食していますね。

さすがにヤツボシハムシくらいのサイズになると

ササグモでは捕まえるのは難しそうですが……。↓

 

 

 

 

 

このアカサシガメならば、それも難しくはないはず。

くるりと巻いた鋭い口吻はハムシの装甲すらも

容易く貫いてしまいます。もちろん人の皮膚にも

刺さりますし、悶絶するほど痛いらしいので

迂闊に手は出さない方がいいでしょう。

(前にも似たようなことを何度か書いた気がしますが)

 

この時チェックした草原は

せいぜい横幅10m程度といったところ。

その狭い範囲を数分探ってみただけでも

何となく「食う・食われる」の関係が見えてきます。

 

ちなみに蚊に「食われる」リスクも当然あります。

それもまた「食う・食われる」の一環だと

開き直るのもアリでしょう(爆)

そういえばいつの間にかデング熱騒動って消えましたね

 

 

 

 

 

同じ草原で見かけたカマキリの幼虫。

やや大きくなってきたものの、

これではまだサシガメには到底敵いません。

 

カマキリ達が席巻するようになるには

まだ2ヶ月ほど早いと言えます。

それに合わせるようにバッタの数も増えてくるので

同じ場所でも食物連鎖を構成する要員は

季節によってガラリと変わることがよくわかります。

 

 

 

 

 

一方の花壇。花粉や蜜目当ての昆虫が飛来する上に

草原と比べてオープンで撮影しやすいので

ついでに綺麗で撮れ高も期待できるので毎度チェックしています。

 

 

 

 

 

写真のシモツケソウで見かけたカマキリの幼虫。

シモツケソウはそろそろ開花期終了という感じでしたが

それでもチョウやハチが訪れることはありますので

こうした「待ち伏せ」する肉食昆虫はよく見られます。

 

もちろん「待ちぼうけ」になることもありますが……。

 

 

 

 

 

 

池の畔で見かけたコシアキトンボ(左)と

上記とは違う草原で見かけたモリチャバネゴキブリ(右)。

ゴキブリの方は葉についている白い何かを

食べているようでした。おかげでジッとしてくれたので

今までより鮮明に撮影することができましたが

それを望んでいる人がいるのかは微妙かなり微妙。

良い写りの割にはさりげなく小さい写真で表示しているのも重要

 

 

 

 

 

水辺の石にケツをこすりつけている

ルリボシヤンマらしき大きなトンボ。

上のゴキブリ君と違いやたら動き回っていたため

鮮明な写真は撮れず、識別も自信ありません。

ただ、そんなにどこでも撮れるような

ポピュラーなトンボでなかったことは確かです。

 

石神井公園は森・草原・水辺の環境が

それぞれ都心部の公園としてはかなり充実しているので

生きものめぐりにはうってつけのスポットです。

冬になれば猛禽を始め鳥も期待できますしね。

いずれ、講座でもご案内できればと考えております。

 

 

 

 

 

こちらは野草観察園。ちょうどホタルブクロが満開でした。

その他にも日本在来種を中心とした山野草が

多数植栽されていますが、吸蜜に適した植物は意外と少なく

日照もあまりよろしくないため、昆虫を観察するのであれば

実はあまりここは適していなかったりします。

 

 

 

 

 

程よく木漏れ日の差し込む手摺の上で

日光浴をしているらしいカナヘビ君

余程気持ちがよろしいのか

結構接近しても動きませんでした。

 

こういう爬虫類も直射日光を避けるため

普段は石組の隙間や草原に隠れているのですが

そういう所を探っても逃げられてしまうのがオチ。

逆に石神井公園のように生息個体数の多いスポットなら

こうしたオープンな環境をチェックした方が

より手軽に出合えますし、撮影もしやすかったりします。

 

 

 

 

 

子供から大人への境界線上にいると思われる

カイツブリです。他にも何羽か石神井池で

観察できました。どこかで繁殖しているのかも。

 

 

 

 

 

これはちょっと驚き。草で隠れてしまっていますが

冬鳥のオナガガモ♂が1羽だけ残っていました。

いたのはこの1羽だけでしたので

何らかの理由で旅立ち損ねたようです。

 

 

 

 

 

三宝寺池もチェック。

中央にカワセミが止まっています。

 

 

 

 

 

別のカワセミをクローズアップ。

外来種捕獲用のトラップにとまっています。

 

ちなみに石神井池側よりもこちらの三宝寺池側の方が

総合的な自然度は高いため、この池の周辺を

ウロウロしていた方が生きものとの遭遇率は

高い……かどうかは少々怪しい所です。

こちら側は三宝寺池沼沢植物群落が天然記念物に

指定されている関係上、立入禁止の区域が多く

全体的に日陰で、蜜源となる花や草原も少なめです。

ゆえに今回のように短時間での散策ともなると

石神井池側を歩いた方が効率が良い……かもしんない。

(ただしカワセミについては三宝寺池の方が圧倒的に見つけやすい)

 

真相は如何に? それにつきましては

いずれ講座でここを散策した時にでも

検証(?)してみましょう。

……大分先になるような気がしますけれど。

 

 

 

 

【6/17 石神井公園で撮影した生きもの】※滞在時間2時間弱

鳥類・・・アオサギ、オナガガモ、カイツブリ、カワセミ、キジバト

昆虫類・・・アカサシガメ、アメンボ、カマキリの幼虫、クマバチ、クロウリハムシ、コシアキトンボ、ササグモ、シオヤアブ、ショウリョウバッタ、シロテンハナムグリ、セイヨウミツバチ、セグロアシナガバチ、テングチョウ、ナミテントウ、ハサミムシ、ヒメカメノコテントウ、ヒメジャノメ、モンシロチョウ、モリチャバネゴキブリ、ヤツボシハムシ、ヤマトシジミ、ルリボシヤンマ?

その他・・・ニホンカナヘビ、ニホントカゲ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年7月16日(土)&17日(日)に開催いたします。

 行先は「朝比奈切通~鎌倉市北東部(予定)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。