山間の白い妖精……と自信もって言えるか?(裏高尾~高尾山) ※後編 | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

 

山頂広場を後にして、山下りへ。

道中で今年もサイハイランを見かけました。

地上に葉っぱが出ていないので、

人によってはキノコか何かと勘違いしてしまうかもしれません。

そして派手な花でないためか、道行く人たちが誰も注目しておらず

(少なくとも密接を心配する程度には人通りがあったにも拘らず)

いつぞやの彩湖のサクラソウを思い出させます。

 

最近数が減っていて結構貴重な花なんですけどね……。

 

 

 

 

 

山道で見かけたマイマイカブリ

捕獲のチャンスもあったのですが、近くに手を洗う場所がなく、

その悪臭の恐ろしさは前回実体験済みなので(汗)

この日は証拠写真だけに留めました。

 

つーか悪臭とかかわいいものじゃなく

目に入れば失明するかもしれないですからね(汗)。

 

 

 

 

 

アサギマダラ……の証拠写真です(汗)

ものすごい遠方にいたのでこれが限界でした。

 

 

 

 

 

岩の隙間で何かが一瞬動いたので

中を覗いてみたら、こんなのがウゾゾモゾゾとガーン

珍しい昆虫ではないですが、本ブログでは新顔です。

マダラカマドウマといいます。「便所コオロギ」と呼ばれることも。

 

遭遇率・・・3 (暗い洞窟や岩の隙間などに屯していることも)

インパクト・・・3 (人によっては4や5になることも)

美しさ・・・1(GKBRほどではないにせよお察しください)

俊敏性・・・4(GKBRほどではry

 

以前よく似たクラズミウマという昆虫を紹介したことがありますね。

よく似ていますが、こちらの方がやや小型かもしれません。

確実に一つだけ言えるのは、追いかけて撮るようなものじゃないなと(汗)

お家で追いかけて捕るそして殺すお母さんはいるかもしれませんが。

 

 

 

 

 

便所コオロギネタで気分を害された方もいらっしゃるでしょうし

ここいらで本命を。見ての通り、今年もセッコクに合うことができました。

写真の白い点々すべてがセッコクの花。

去年と同じ木にたんまりと花を咲かせています。

 

何人かが足を止めてこの木を撮影している時

道行く若いカップルが何事かと尋ねてきたので

木の上に咲く野生ランである旨をお伝えしました。

デジカメや双眼鏡でズームしなければよく見えない位置に咲いていますし

そもそもが地味な白色なので、気づかない人は本当に気づきません。

ただ、この時期限定の高尾山の名物なのですし

可能であれば訪れたすべての人に見ていただきたい……そう思うのです。

 

 

 

 

 

クローズアップ。

 

 

 

 

 

もっとクローズアップ。

ここまでこんもり咲いているのは結構稀有です。

 

 

 

 

 

極限までクローズアップ。

ここまで拡大すると

ちゃんと蘭ねーちゃんの髪の毛ランの形をしているのがわかります。

そういやコナンの最新映画の公開が来年春に延期されたそうですね。

 

蝋細工のような美しさと同時に怪しさも有するセッコクの花は

初夏限定の、高尾山を彩る白い妖精と言えるでしょう。

(実際、薄暗い中で咲いているシーンは結構不気味です)

 

 

 

 

 

ケーブルカーの駅構内にも咲いています。

ここにあるのは人の手で維持管理されている株かもしれません。

目立つ位置にあるため、観光客がよく撮影しています。

 

 

 

 

 

 

白いといえばこんなものも。

ユキノシタ(右)は山の麓を中心にあちこちで咲いていましたが

(逆に山頂付近では全くと言っていいほど咲いていない)

ギンリョウソウ(左)は数が少なく、しかもマダツボミでした。

きっと今の時期辺りであれば開花していると思われますが

これを探すのは結構至難の業です。

 

ちなみにギンリョウソウの別名はユウレイタケ(幽霊茸?)。

やっぱりキノコと勘違いされがちですが、れっきとした種子植物です。

……前にも書いた気がしますけどね。

 

 

 

 

 

前編でオオカギバの食草として書いた、ウリノキの花。

散策路の途中でも見かけますが、これまた数は多くないため

気づかずに素通りしてしまう人もいるんじゃないかと。

ただし、妙ちきりんな形をしているため

気づいた人は大抵決まって足を止めます。撮影する人も多いです。

 

 

 

 

 

でも、白い妖精と言えばむしろコレが一番当てはまる気も……。

山間部を白いものがひらひらとたくさん舞っています。

 

またしても道行く若いカップルがこれに気づき

「キレイなちょうちょだ」「妖精みたい」などと感動(?)していました。

 

 

 

 

……言えない。

あれが全部ドクガだなんて言えないっっっっ!!!

 

 

 

 

 

というかカップルは気づかなかったのだろうか?

ここまでの山道のあちこち(主に手すりや木塀)に

コイツの抜け殻、さなぎ、そして幼虫(ケ●シ)

凄まじい数くっついていたことに。

 

 

 

 

 

ただ、当のドクガ(キアシドクガ)は見た目結構美しく

おまけにドクガ科のくせに幼虫に毒針がありません。

ミズキの木を食害する点を除けば、人には無害な存在なのです。

(ケ●シ嫌いの私にとってはそういう問題じゃないのですが)

 

上記の通り、真実を伝えることも可能ではありましたが

もし伝えるのであれば、あれはドクガだけれど毒はなく、

人に害を及ぼすものではないということ。

そして、成虫は御覧の通りなかなか美しいということ。

そこまでちゃんと伝えなくてはいけないと個人的に考えます。

 

単に「飛んでいるのは全部ドクガです」と伝えただけじゃ

「キモい」「ありえない」「もう二度と来たくない」などと思い

せっかくの高尾山の思い出が台無しになってしまうかもしれません。

トリビア 知識を披露したいのなら、ちゃんと責任持って

プラスの方向に落としどころを持っていかないとあかんでしょう。

 

 

 

 

 

シロオビクロナミシャク。高尾山ではおなじみの昼間飛ぶ蛾です。

名前の通りの白い帯がお洒落なだけでなく

光の当たり具合によっては、翅が鈍い金属光沢を放ちます。

数は多いですが、もちろんキアシドクガよりは大分少ないです。

 

 

 

 

 

タツナミソウの大群落。珍しいものではないですが

こうした日本在来の野草がごく普通に見られるのは

やはり国定公園である所以という印象です。

 

 

 

 

 

ちなみに、2人乗りのリフトは設備工事と感染症拡大防止のためにお休み。

(ただし6月10日から再開されたそうです)

ケーブルカーについても、待機所に目印を配置するなどして

人が密接しないように工夫されているようでした。

 

テレビ局が登山客の密集シーン目当てで張り込みするなど、

観光スポットとして知名度の高い高尾山ですが、

それだけに対策はしっかりと考えていらっしゃるようです。

 

 

 

【5/30 裏高尾~高尾山で撮影した生きもの】

鳥類・・・イソヒヨドリ、カルガモ、キセキレイ、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ

昆虫類・・・アオジョウカイ、アオスジアゲハ、アカタテハ、アカボシゴマダラ、アサギマダラ、イチモンジチョウ、ウラギンスジヒョウモン、オオカギバ、カマキリの幼虫、カラスアゲハ、カワトンボ、キアシドクガ、キタテハ、キマダラセセリ、クヌギカメムシ、クマバチ、クロウリハムシ、コアオハナムグリ、コチャバネセセリ、コミスジ、シマアメンボ、シモフリコメツキ、ジャコウアゲハ、ジョウカイボン、シロオビクロナミシャク、スジブトハシリグモ、センチコガネ、ダイミョウセセリ、タンザワフキバッタ、ツマグロヒョウモン、テングチョウ、ナナフシ、ハサミムシ、ヒメギス、ヒメジャノメ、ヒラズネヒゲボソゾウムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、マイマイカブリ、マダラカマドウマ、マドガ、ムシヒキアブ、ムネアカオオアリ、モンシロチョウ、ヤマトシリアゲ、ユウマダラエダシャク

その他・・・ミスジマイマイ