来週まで名前覚えている自信が1ミリもねえ(裏高尾~高尾山) ※前編 | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

緊急事態宣言が明け、もういい加減に県境を跨ごうかなと

一昨年・昨年に引き続きセッコク(ラン)の撮影のため、

高尾山に足を運びました。昨年は高尾山口から登りましたが

今回は早朝から高尾駅→裏高尾と移動し、

裏高尾から茶屋をハシゴしながら高尾山に向かいます。

 

詳しくは後編でお話しますが、高尾山は東京屈指の観光名所。

宣言が解除された途端に人が集まることは想定済だったらしく、

感染症予防のための各種対策が実施されていました。

 

写真はお馴染みのカラスアゲハ

羽ばたいていたので満足な写真は撮れませんでしたが

そもそも撮影のチャンス自体が少ないので、まあ我儘は言いますまい……。

 

 

 

 

 

 

裏高尾は4月上旬ならシュンランやイカリソウなど

早春の山野草が多く見られるのですが、5月下旬では花期も終わっています。

一方で、フタリシズカ(左)は山道のあちこちに見られました。

石砂山で見たヒトリシズカよりも開花期は遅れるようです。

 

右は恐らくクサイチゴ。食用のキイチゴの中でも美味とされていますが

腹壊したくないのであればちゃんと洗うことをおススメします。

 

 

 

 

 

便所の壁に貼り付いて(?)いたウラギンスジヒョウモン♂。

少し前に紹介したクモガタヒョウモンと比べると

後翅の黒い斑点が接触していることで識別できる……らしい。

 

しかし、こうした差は何度も目にして慣れないとなかなか気づけません。

ヒョウモンチョウの系統で都心(戸田市も含む)でも観察できるのは

残念ながらツマグロヒョウモンだけですので

観察眼を鍛えるのであれば郊外に足を運ぶ必要があります。

 

 

 

 

 

こちらも便所の壁で確認した昆虫です。

オオカギバという蛾の仲間で、本ブログでは新顔となります。

 

遭遇率・・・2 (希少種ではないみたいですが)

インパクト・・・3 (結構大きいです)

美しさ・・・2

俊敏性・・・3(驚くと結構素早く飛び去って行きました)

 

色は地味ですが、サイズが大きいので結構目立つ種。

幼虫がウリノキいう植物を食草としているらしいのですが

このウリノキは都心だとなかなか見る機会のない植物。

一方で高尾山ではそれなりに見られるため、

本種もそこそこいるのではないかと推察されます。

(ちなみにウリノキは去年の高尾山の記事でも紹介しております)

 

 

 

 

 

毎年お世話になっている景信茶屋

裏高尾から高尾山山頂を目指す際、最初に通過する休憩処です。

それなりに登山客もいましたが、ごった返すようなものではありません。

もっとも、裏高尾は高尾山と比べるとそもそも人が少ないので

この時期は毎年こんなもんです。(紅葉シーズンは混むかも?)

 

 

 

 

 

この時期の山地を象徴するウツギの花。

ノイバラを彷彿とさせる白い花で、昆虫もよく飛来します。

 

 

 

 

 

 

2番目の休憩処である城山茶屋。景信からは大分1時間くらいです。

駅前などよりも割高ですが飲み物も売っていますので

尽きる前にちゃんとここでチャージしておきましょう。

ここから次の茶屋までは長い道のりになりますので……。

 

例年通りなめこ汁(右)もいただきました。

今回訪れた3つの茶屋ではどこでも売っていますが

中身(?)や値段は異なる場合がありますので要確認です。

お腹と懐に余裕があるなら食べ比べてみるのもいいかもしれません。

 

 

 

 

 

道中はほぼ高木に囲まれていますが、たまにこうして視界が開けることも。

特別展望台としてデッキ等が設けられているわけではないのですが

登山客の皆さんはよく足を止め、こうした場所で写真を撮られます。

 

 

 

 

 

ハルジオン(外来種)で食事するマドガ(日本在来種)

先日、例のキバネツノトンボの出るスポットでも

同じようなシーンを撮影しましたね。

 

 

 

 

 

この花はエゴノキ。よくヤマガラが実を食べになることで

バードウォッチャーの間では有名な樹木だったりします。

冬はヤマガラの糧となる一方、初夏になって花が咲けば

こうしてクマバチ(写真)などの昆虫にとっても貴重な食事の場になります。

 

 

 

 

 

モミジの種。プロペラ状で、風に吹かれて遠くまで運ばれます。

ちなみに種ができるということで、当然花も咲きます。

もしかしたら4月初頭のシュンラン・イカリソウのシーズンなら

ちょっと地味ではありますが花も観賞できるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

山頂まであと少しというところに位置する3番目の茶屋。

今回は山頂の食堂は使えないだろうと予想していましたため

(毎年人が集まり満席になるため、恐らくお休みだろうと予想)

コンビニで昼食を買い、ここの近くのベンチで食事を済ませました。

 

この辺りの山頂付近になるといよいよ人の数も増えてきますが

それでもやはり街中と比べると密環境にはなりにくく

ストレスも軽減されます。ただ、狭い山道で人とすれ違うことは多いので

基本的に山道ではマスクを着用した方がいいかもしれません。

(ただし熱中症の可能性もあるため、自己判断を要求されることも)

 

あと、個人的に控えた方がいいんじゃないかとたまに感じるのが

山歩きのマナーとされている「あいさつ」

すれ違う際には「こんにちは」というのが礼儀とされているのですが

感染症対策を考えるならば面と向かって口を開くのは極力避けたいところ。

お辞儀で済ませた方が、寂しいですがリスクは軽減できるかもしれません。

 

 

 

 

 

山頂広場近くで遭遇したアオジョウカイ

やや光沢が鈍いですが、本種もメタリックグリーンを帯びており

毎回出合うたびに魅入られてしまいます。

 

一方で、サイズではアオジョウカイに遠く及ばないものの

美しさでは凌駕する昆虫も。↓

 

 

 

 

 

これです。恐らく以前に本ブログで紹介したことはあるものの

その時点では種名がわからずそのまま放置していた昆虫です。

今回、色々と検索方法を変えて調べてみましたところ

ゾウムシの仲間で、ヒラズネヒゲボソゾウムシというそうです。

…100%来週には忘れるわコレ

 

遭遇率・・・3 (以前にも高尾山で会っています)

インパクト・・・1(小さいのでなかなか気づけません)

美しさ・・・4(メタリックグリーンの「粉」に覆われています)

俊敏性・・・4

 

名前は忘れそうでも、美しいので過去に見たことはちゃんと覚えていました。

ぶっちゃけ今の時代はその気で検索すればすぐ何者か識別できますので

変に名前を「暗記」しようと無理するより、生きものに出遭って感動したという

「体験」を大事にする方向に考えればそれでいいのかな?と思っています。

 

 

 

 

 

前半の締めとしまして、高尾山の山頂広場です。

大半のお店のシャッターが閉まっていたため

やはり例年よりも大分人が減っていました。

なお、山頂のビジターセンターは受付カウンターのみオープンし

入場者数の制限等を実施していました。

 

元々人の多くない裏高尾の茶屋は感染対策してオープンし

どうしても溜まってしまう山頂広場では厳しい制限を設ける……

すべてに規制を課すのではなく

ピンポイントで感染リスクを潰そうという意図がよくわかります。

 

 

 

さて、お目当てのセッコクにつきましては後編にて。

昨年は大分ケ●シに悩まされましたが今年は大丈夫だろうか?

 

 

<後編に続く>