謎の集団ホバリング(酒匂川河口域) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

台湾編を経てふたたび首都圏に戻ってまいりました。

とはいっても、今日紹介するのは台湾出張の前の記録だったりします。

まあ、酒匂川コアジサシはもうしばらく見られると思いますので

もしよろしければ河川敷まで足を運んでくださいませ。

(スポーツ公園も兼ねているのでやや賑やかです。ご了承ください)

 

あと、日を遮るものがほとんどないのが困りどころ。

普通の公園と違って「木陰で休む」ということがほとんどできず

ベンチもほぼ設置されていないので、熱中症には気をつけましょう。

 

 

 

 

 

早速コアジサシの姿を確認。

歩いて渡れない対岸にいてやや距離がありますが、

数が多いですし、白色で目立つのですぐに気がつくでしょう。

結構活発に動きますしね。

 

飛んでいることが多いですが、運がいいと大群で着陸している姿を見かけます。

 

 

 

 

 

全体的に例年より個体数が多いのか、はたまたドンピシャのタイミングだったのか、

やたらと着陸している個体を多く見かけました。

台湾に持っていった社長のカメラならもっと鮮明に撮れたんだけどな

 

 

 

 

 

カモメの仲間ながらサイズが小さいので、飛んでいる姿を撮るのは至難の業……

と思いきや、ツバメのような外見に反してあまりスピーディには飛ばず、

空中で静止することも多いので、何気に私のカメラでもそこそこは撮れます。

 

 

 

 

 

おや? 飛んでいる個体の数がやや増えてきた。

 

 

 

 

 

一気に増えた!

 

中州に下りていた個体が一斉に飛び立ち、集団でホバリングしながら

やかましく鳴き続けていました。一体何があったのやら?

何か敵が接近したのかと思いましたが、見える範囲には獣も鷹もいません。

では対岸で撮影するバードウォッチャーを警戒したのか? それも違う。

(バードウォッチャーはほとんど動いておらず、距離があり過ぎる)

もしかしたら我々が遠距離からでは視認できないような……

例えばヘビなどが現れたのかもしれません。

 

過去何度か訪問する中で、これだけまとまって飛ぶ姿を見たのは初めてです。

今年は当たり年なのか? 大量繁殖してくれることを切に祈ります。

 

 

 

 

 

右奥にいる2羽は逢引(古)してるんでしょうかね……。

少なくとも争っている様子は見られませんでした。

 

 

 

 

 

 

快晴でなおかつ風もあまりない理想的な気候でしたが、

これから先のシーズンは「暑さ」が最大の大敵。

上記の通り川沿いを歩いていると日光を遮るものがほとんどないので

夏場はくれぐれも熱中症に気をつけてください。

 

黒い服は避け、コアジサシにちなんで白い服で少しでも日光を反射しましょう(汗)

コアジサシの頭は黒い気もしますが

 

 

 

 

 

河口域ではなく、完全なる河口

砂浜なので草木はほとんど見られません。

 

 

 

 

 

河口からやや離れたところ。カニが組み合っています。

逢引(古)なのかケンカなのかはちょっとわかりませんでしたが

少なくとも激しく攻撃する様子はありませんでした。

 

川の流れがやや急であり、かつここは干潟ではないので

カニの数・種類に関しては小網代ほどは期待できません。

カニを多数確認できるポイントは、河口近くの一部に絞られます。

(ほとんどベンケイガニの系統だけですけれどね)

 

 

 

 

 

 

ショウリョウバッタの幼虫(左)と、アカツメクサを訪れたモンキチョウ

まだまだ小さなショウリョウバッタですが、フォルムの特徴はしっかり出ていますね。

河原にはアカツメクサ、シロツメクサを始めマメ科植物が多いので

モンキチョウなどのシロチョウの仲間にとっては幼虫期~成虫期を通じて

大事な食事の場となっています。外来植物なのがちょっと気がかりですが。

 

何? もっと間近で拝みたいと?↓

 

 

 

 

 

 

 

吸蜜中のモンキチョウを素手でキャッチ。

すばしっこいチョウですが、食事中は無防備になりやすく、

網がなくても思いのほか簡単に捕まえられます。

 

身体は細かな毛で覆われていて、パッと見この時期は暑苦しそうです(汗)

毛深いチョウといえば石砂山に出るギフチョウが特に顕著ですが

どのチョウも長短の差はあれど毛は生えているようです。

 

 

 

 

 

コチドリを数羽見かけました。

コアジサシと違い、人のうろつく近くまで寄ってくることもあります。

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの酒匂川河口域、近くにコンビニやチェーン店レストランがないため

食事はあらかじめ済ませておくか、お弁当持参がおススメです。

ただ、1ヶ所だけ東南アジアの料理店が開店していたので、お昼はここで済ませました。

 

 

最後に1つだけ、前にも書いたかもしれませんが

酒匂川河口のコアジサシはちょっとした河川敷の環境変化により(大雨による増水など)

簡単に繁殖に失敗してしまいます。無論、天候に起因するものだけでなく

不用意に釣り人やバードウォッチャーが中州(本来徒歩で渡るところじゃない)に

立ち入ることで、驚いて繁殖機会を損ねてしまうこともあると聞いています。

 

対岸の河川敷から観察・撮影する分には、距離がありますし、

元々河川敷はサッカー少年などで賑やかなので問題はないはずです。

それが、一部のマナー違反によって台無しになってしまうのは由々しき問題です。

人の手が加わって繁殖地が整備され、徐々に数が回復しつつあるコアジサシ。

どうか、温かい目で見守っていきたいところです。

 

 

 

【6/3 酒匂川河口域で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、ウミネコ、カワウ、キジバト、コアジサシ、コチドリ、ツバメ、トビ、ハクセキレイ

昆虫類・・・アメンボ、キタキチョウ、コフキゾウムシ、ショウリョウバッタ、トノサマバッタ、モンキチョウ

その他・・・クロベンケイガニ(?)