カエルを狙う、実に意外な鳥?(引地川親水公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

境川でキジを撮影した、その足で引地川親水公園へ。

相変わらずいい天気です。この時はまだ5月でしたが、

暖かかったのでそろそろカエルが出ているかな?と期待していました。


ちなみに上の写真、厳密に言いますと、左写真の木道は公園の中ですが

右写真の田んぼは個人の所有物で公園ではありません。

まあ、歩行者用に舗装された道路から水路や畔をチェックするくらいなら問題はないでしょう。

(さすがに無断で田んぼに踏み込む猛者(?)はいない……はず)




公園の一角にオオゴミムシが現れました。

昨年、秋ヶ瀬公園で初めて撮影した、比較的ポピュラーな甲虫ですね。

この日は歩道に出てきていたので簡単に観察できましたが、

普段は物陰にひっそり隠れているため、探したいなら石などをどける必要があります。


まあ、そこまでして観察したい昆虫じゃないと言われればそれまでですが(汗)

ゴミムシだしね……。






クローズアップするとこう。

こうしてみるとちょっとしたクワガタみたいです。

小型のスジクワガタあたりと比べると、何かこちらの方が強そうにすら見えます。


ちなみにこの上あご、結構強力で挟まれると痛いです。

まあ、流血沙汰になるほどではないですけれどね。






サッカー場の隅にある草原にて。

モンキチョウが無防備にアザミで蜜を吸っていたので、軽く捕まえてみました。
トンボと比べるとチョウを素手で捕まえるのはやや難しい(ついでに手が汚れる)ですが

こうして手に持って観察すると細部までよくわかります。

「顔が思ったほどかわいくない」という意見もちらほら(汗)






同じく草原にて。広い葉の上に金色に輝く小さな虫の姿が!

この夏いくつか紹介してきた、透明な翅を持つハムシの仲間にして、同系統の代表種

間違いありません。これこそがジンガサハムシです。


遭遇率 … 3

インパクト … 1

美しさ … 4

俊敏性 … 3



代表種ということで人気も高い種。確かに金属光沢が強く、ファンが多いのもわかります。

一方で、意外と警戒心が強くて逃げやすく、よく飛び回るので少々観察は困難だったり。

加えて小さいので、代表種といえど探すのは少々骨が折れます。


葉をひっくり返してチェックしている内に

うっかりケ●シとエンカウント……なんてこともあり得ますし、深入りは禁物です(汗)。

時間もかかりますしね。


結局上の写真を撮った直後に、飛んで逃げてしまいました。残念。






田んぼの畔近くにイトトンボの姿を確認。

この辺ではメジャーなアジアイトトンボですね。




で、期待通りにカエルの姿も見られました。

まずはニホンアマガエル。シュレーゲルとの識別は顔の黒いラインで。


道端の草むらを軽く突くと、よく飛び出して田んぼにダイブします。

写真の個体も私に驚いて水に飛び込んだもの。ただ、その後は逃げ出しませんでした。

カエルに限らずこの手の小動物は、一度警戒心を解けばこちらが変に動かない限り、

基本的に撮り放題です。






トウキョウダルマガエルも健在です。結構な数出てきていました。
このカエルは畔の草むらはもちろん、よく側溝を泳いでいますので

それとなく田んぼ周辺を散策しているだけでも結構見つかります。


写真のようにちょっと緑がかっていて背中にラインがあるタイプがメインですが、

時折黒味が強くてラインが目立たない個体もいるため、慣れない内は識別に苦労することも。

「?」と思った時には素直に図鑑を頼りましょう。






さすがに時期が少々早かったためか、まだサイズは小さめです。

手前にある私の指と比較してみてください。

ちなみにトウキョウダルマガエルは、成体になると7~8cmくらいになります。

日本のカエルの中では結構大型。トノサマガエルと誤認されるのもこの辺が理由かもしれません。




1匹だけですが、ツチガエルも見られました。

これだけクローズアップしても一瞬居場所がわからないくらい、土に溶け込む優秀な保護色。

動かずジッとしている本種を散策中に見つけることができたら、貴方は一流(?)です。



さて、カエルや昆虫が早くも出始めている5月末の引地川親水公園(と田んぼ)でしたが、

ここで少し意外な鳥が現れました。中央の足場にいる3羽の鳥、何だかわかりますか?

決して珍種というわけではありません。ただ、こんな環境で見たのは今回が初めてですね。






ご覧ください。本ブログでも割とよく登場するキアシシギです。

いわゆる“渡り”をするシギ・チドリの一種で、日本には晩春と秋に飛来します。

シギの中ではかなりポピュラーで飛来範囲も広い種。ただ、ご存知の通り干潟や磯などの

海岸域に飛来することがほとんどで、こんな内陸の田んぼにやってくるのはかなり稀です。

(まあ、ここは藤沢市。臨海都市の一角と言えないこともないんですけどね)


ただ、冷静に考えてみると、泥の中の虫や小動物を捕らえて食べるシギにとっては、
そこが海岸線でも内陸でもエサさえあれば大した問題はないようです。

田んぼ干潟も、淡水or海水という点を除けば確かに似たような環境ですし、

水深が浅いので、キアシシギくらいのサイズなら歩いて採餌が可能でしょう。


とは言え、シギが飛来するほどの干潟となるとそれなりに生きものの数が多いもの。

こうしてキアシシギが飛来するということは、ここの田んぼはやはり生きものの数が多く、

水質や生態系が健全に保たれているということの証明と言えるかもしれません。

そう考えると、非常に喜ばしいことと言えるのかも?



なお、金銭的な都合で(涙)今年の春は干潟の散策に行けなかったため、

(何気に谷津干潟、三番瀬、東京港野鳥公園、葛西臨海公園と軒並み行きそびれています)

このキアシシギが今年初めてマトモに撮れた渡りのシギだったりします。




【5/22 引地川親水公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・カルガモ、キアシシギ、コチドリ、ハクセキレイ、ホオジロ、ムクドリ、モズ

昆虫類・・・アジアイトトンボ、アメンボ、オオゴミムシ、サビキコリ、ジンガサハムシ、ナミテントウ、ニホンミツバチ、ヒメギス、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヤブキリ

その他・・・ツチガエル、トウキョウダルマガエル、ニホンアマガエル