ミヤマセセリと比べると数は多いハズなんですが……(高尾山・後編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。


マトモに撮れたのはこれが初めてですね。
去年、埼玉県の荒川沿いで撮ったのが初めてで、これが2度目。
ツマキチョウといい、別にそこまでレアな種というわけではなく
昆虫図鑑には大抵しっかりと載っているシロチョウの仲間です。
(マニアックな種は図鑑でも結構載っていないことが多い)

遭遇率 … 2
インパクト … 3
美しさ … 3
俊敏性 … 4

見た目はモンシロチョウによく似ていますが、翅の先が名前の通り黄色く、
裏側の模様なんかも全然違うので、見間違えることはほとんどないでしょう。
大きさは本種の方がやや小さめです。

このチョウ自体は分布域も広く、都内でも然るべき自然公園ではよく観察されるらしいのですが
なぜか謀ったように私の前には滅多に現れず、出てきても全然止まってくれないので
ここまでほとんど撮影のチャンスがありませんでした。
ただ、数が減少傾向にあること自体は事実らしいので、大事に見守ってあげましょう。

あと、見られるシーズンが春限定というのも遭遇率が低い理由の一つかも。





様々な生きものとの遭遇と筋肉痛を経て、山頂にたどり着きました。
道中よりも山頂の方が人口密度が高いです。
この時点で11:30。昼食にはちょうどいい時間帯です。12時回ると混んじゃうしね。



山頂からの眺め。奥に微かに見えるのは八王子の市街地か?
天気が良ければ新宿の都庁あたりも見えるかもしれません。



昼食は山菜うどん山菜の盛り合わせで。
やっぱり山に来たら、山らしいものを食べたいものですしね。

カレーライスとカレー南蛮みたいな組み合わせなのは割愛。



腹ごしらえを済ませたら一旦薬王院まで下山します。
まだ時間に余裕があるので、ルートを変えて再度頂上を目指します。

ちなみにここの近くにムササビがいるという話はとても有名ですが
夜行性ゆえ、私はまだ見たことがありません。
見学ツアーらしきものがあると聞きますので、興味のある方は調べてみてくださいませ。



 
登山に戻る前に、中腹にあるさる園・野草園(併設)に立ち寄ってみました。
入園料取られるので今まで敬遠していたのですが(別にそんな高いもんじゃないんですけどね)
一度も入らないというのもアレですしね。

サル山ではニホンザル(もちろん飼育ですが)の姿を間近で見られますが、
この日は少々暑かったためか、係員さん曰くあまり元気がよくなかったそうです。
野草園の方は、入り組んだ園路沿いに季節の山野草が植栽されている植物展示エリアで
この日はエビネやヒメシャガなどの春の花が多く見られました。
真夏だとレンゲショウマとかも咲くんでしょうかね?






↑ダメな休日の過ごし方







↑ダイエット推奨






野草園よりも、やはり山道で自生する植物を観察したいもの。
ただ、タツナミソウやフタリシズカ(写真)は頻繁に見かけるものの、
4月の石砂山のようなハッとする出合いはなかなかありません。



一応、道中に生えていたアミガサタケです。
石砂山周辺でも群落(?)を見かけましたっけ。
食べられますが、ここは国定公園の中なので採取は厳禁です。






おお、新顔のオサムシか? と期待しましたが、
残念ながら(?)これはアオオサムシ赤銅色タイプ。「アカ」でも「アオ」なんです。
なんかこの昆虫は色のバリエーションが多いらしいです。紛らわしいんだよなぁ……。

余談ですが、今月の私の貯金も「アカ」でした。





赤といえば、前編でも紹介したムナビロアカハネムシとかいう地味な昆虫。
下山中・再度登山中も朽木の上なんかで結構見かけましたが、
とうとうこんな奇妙なシーンを撮影できました。

ご覧ください。3Pです。
人間以外でもこんなことする生きものがいるとは知らなかった。

まあ単に、交尾中のカップルを別のオスが邪魔しているだけなのかもしれませんが。




黒いチョウを発見……と思いきや、これはガの仲間。
シロオビクロナミシャクといい、シャクガ科に属する昼間に飛ぶガだそうです。

遭遇率 … 2
インパクト … 2
美しさ … 3
俊敏性 … 3

地味な昆虫ですが、昨年撮ったアゲハモドキやキンモンガなんかと一緒で
とまり方にしても形状にしてもやっぱりチョウによく似ていますね。
ただし、飛び方はチョウとは明らかに違います。
昼間の山中によく飛んでいるらしいので、ぜひ一度探して観察してみてくださいませ。

ちなみに大きさは中型のシジミチョウ(ウラナミシジミとか)と同じくらいでした。




山登りではお馴染みの甲虫、センチコガネです。
この日は下山中にあちこちで見かけました。
あれだけ多いということは、食料となる糞も多いということ。
ということはやはり哺乳類もどこか近くに……?




さて、本ブログでもすっかりお馴染みになったハムシファミリーの紹介です。
ここのところ外に出るたび何かしら新顔のハムシに会っているような気がします。
まあ、それだけ今までハムシの存在を無視してきたということなんですけどね。

写真の赤い個体はアカクビナガハムシ
光沢を持つ真紅の翅が特徴で、なかなか美しいハムシです。

遭遇率 … 3
インパクト … 1
美しさ … 4
俊敏性 … 2

美しいとは言ったものの
ハムシなのでとても小さく(左に見える私の指の大きさと比較してみてください)
いくら鮮やかな赤色といっても意識していなければ見落としてしまいそうです。
逆に、ここに限らず散策中に葉に着目していれば結構楽に会える……かも?






最後に、下山中に見かけた山野草よりこの日最もインパクトがデカかったものを。
これがギンリョウソウという、葉緑体を持たない腐生植物の一種であり、
キノコに見えますが(実際ユウレイタケという別名がある)これでも立派な多年草です。
恐らく実物を見たことがない方でも、名前くらいは聞いたことがあるのでは?

ただコレ、よく見ると花が散りかけていますね。
実際近くで同じ株を撮影していた野草愛好家のオッちゃんがいうには
今年は気温の上昇が早いせいで、花期が全体的に早い……とのこと。
うーん……サクラやバラに限らず、こういうところでも影響は出つつあるようですね。





ちなみに花が散るとこうなります。丸いのは子房でこの中に種があるのですが
もはや目玉おやじにしか見えず。

この日はパラパラと斜面に生えているのが見られただけでしたが、
場所によっては群生していることもあるそうです。
その奇抜なフォルムと透明感のある配色から結構人気も高い植物なのですが
ぶっちゃけ目玉が群生している様はあまり見たくなかったりします。(ー ー;)

余談ですが、漢字で書くと銀竜草。やはりその形を昇り竜に見立てているんでしょうかね。
中島みゆきの名曲「銀の龍の背に乗って」を髣髴とさせるカッコいい名前です。
(曲とこの植物は直接関係はしていないとは思いますが)
ただ、小さな植物なので乗ったら確実に潰れます。絶対やめましょう


【5/8 高尾山で撮影した生きもの】
鳥類・・・カルガモ、キセキレイ、シジュウカラ、ツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ
昆虫類・・・アオオサムシ、アオスジアゲハ、アカクビナガハムシ、アワフキムシ、イタドリハムシ、カラスアゲハ、キジバト、コジャノメ、コミスジ、サカハチチョウ、シオヤアブ、ジャコウアゲハ、ジョウカイボン、シロオビクロナミシャク、スカシヒロバカゲロウ、スジブトハシリグモ、センチコガネ、ツマキチョウ、テングチョウ、ニワハンミョウ、ヒシバッタ、ビロードツリアブ、ムナビロアカハネムシ、ムネアカオオアリ、ワカバグモ
その他・・・ニホントカゲ