GW最終日の山登り(高尾山・前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。


久々に来たら高尾山口駅がグレードアップしていました。
まあ、一回うちで出している雑誌でちらと情報を乗せたことがあるので、
来たことはなくても知ってはいたんですけれどね。

GW最終日(5/5)というだけあって人多いですね。
今年は4日の大嵐を除いて基本的に天候が良かった気がします。
おかげさまで色々な場所に足を運べました。今回はある意味その締めくくりのようなものです。


 
そういえば山の麓にこんな施設ができました。
「TAKAO599Museum」というそうな。599ってのは恐らく高尾山の標高のことですね。
高尾山は山頂にビジターセンターがあるのですが、当然山を登らにゃいけないわけで
利便性という点ではこちらに軍配が上がりそうです。

中には動植物の標本(右写真)を始め、高尾山情報が満載。
カフェなども併設していますので、一休みしたい時にももってこいです。
(まあ立地上、山登り中に休憩に訪れることは絶対不可能ですが)



高尾山口のケーブルカー駅にて。
ツバメの巣が複数見られました。ヒナの鳴き声も聞こえましたよ。



高尾山の環境と生きものの生息状況を確認することが目的ですので、
当然リフトやケーブルカーなんて使いません。全部徒歩です(爆)。
真夏にコレをやると、いくら日陰とはいえまた熱中症になるかも……。





上の林道で遭遇した、小さくてとても繊細そうな昆虫です。
翅を持つのすら憚られましたが、そこは調査なのでご協力いただきましょう。
この時点では正体がわからず、後にWebで調べて調べました。
スカシヒロバカゲロウという、やはりというべきかカゲロウの仲間でした。

遭遇率 … 3
インパクト … 2
美しさ … 4
俊敏性 … 2

基本的に小川沿いを頼りなくひらひらと舞っています。
長時間飛び続けることができないため、撮影するのも捕まえるのも簡単です。
とは言え非常に脆く寿命も短いので、観察できたらちゃんと逃がしてあげましょう。





道中で見かけました。これはイタドリハムシですね。
早戸川で撮ったものは紋が赤色で形状も違った気がしますが、
この種は個体差が結構激しいそうです。識別時は要注意。


 
こちらはやや距離の離れた中木の花で蜜を吸っていた、新顔のチョウ。
サカハチチョウといい、やや小型のタテハチョウの仲間です。

遭遇率 … 2
インパクト … 3
美しさ … 4
俊敏性 … 4

図鑑などでもかなり登場頻度の高い、昆虫ファンには割と知られたチョウ。
ただし、山地の渓流沿いや森に暮らすため、首都圏で会うのはそれなりに困難です。
名前の由来は、翅の表側に逆さまの「八」の字の模様があるからなのですが
そこは野生の昆虫、こちらの希望通りに翅をおっぴろげてくれるわけもなく……。
まあそれでも、外見の特徴はハッキリしているので識別には然程苦労しませんでした。

以前から図鑑で名前は知っていたので、会えた時は結構感動しましたね。
同時に、市街地と山の生物層の違いを改めて実感しました。



山を登ります。結構ケーブルカーに頼らず歩いている人も多かったですよ。



道中で見かけたタツナミソウという野草。
ワラスボ(魚類)みたいな形をした花弁が何よりの特徴です。
山地特有というわけではなく、その辺の自然公園でも割とよく見られます。



高尾山には途中いくつかの分岐があり、それぞれ特色のある山道を歩けます。
すべて制覇したいのであれば、途中何度か引き返さなくてはいけません。
ただし、どの園路も転落防止の柵らしいものはほぼ存在しませんので
歩く際にはそれなりの準備が必要です。もちろん足下には十分気を付けましょう。
(仮に滑落しても誰も責任とっちゃくれません)



こちらはラショウモンカズラ。山頂近くの一部に群生していました。
それほど珍しいものではありません。1つの花の大きさはタツナミソウよりやや大きいくらい。


 
高尾山は東京でも有数のスミレの宝庫なのですが、さすがにこの時はシーズンも終わりかけ。
一部で、右写真の小さな白い花が斜面に咲いているのを見たくらいです。
このスミレは何なんだろう? タカオスミレ……かな?



生田緑地にも生えていたフタリシズカ
名前の通り、花軸が2本です。



珍しくというべきでしょうか、GW終わりの時期にまだビロードツリアブが残っていました。
見られたのはこの1匹だけ。多分、今はもうこの世にいないでしょう……。
早春の一時しか見られないこの昆虫。次はまた来年の3月くらいまでお別れですかね。

余談ですが、本ブログで“アブ”をとりあげているのは
本種とシオヤアブの系統くらいです。
アブファン(?)の方には申し訳ないのですが、他はハエと同じで割愛しています。





道中、なぜか一株だけミヤマオダマキが生えていました。
元々ここに自生していたのか、八ヶ岳みたいにどこかから種が飛んできたのか……。




後編でも出てきますが、こんな小さなカミキリムシみたいな奴も出てきました。
ムナビロアカハネムシといい、ホタルでもカミキリムシでもなく、アカハネムシ科というそうな。
……アカハネムシ科ってなんぞ?

遭遇率 … 3
インパクト … 2
美しさ … 3
俊敏性 … 2

小さく、赤色で目立ちますがかなり地味な存在です。
自治体なんかが出している簡易な自然図鑑や、ビジターセンターの写真等では
まず扱われていません。本当に誰も注目してくれないのでしょう。

この日は高尾山の至る所で見られ、下山時にはちょっと見逃せない姿を目撃しましたので
その辺りは後半で詳しくお話しいたします。
まあ、そんなにおったまげるようなお話じゃないですが……(弱気)。




【まるで関係ない余談】
Perfumeの「FLASH」のMVは中毒性高過ぎ(何度再生したかわからん)



<後半に続く>