魅惑!?金のテントウムシ(東高根森林公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

せっかくのGWだったので久しぶりに新スポットを開拓。

ここは東高根森林公園といいまして、最寄は向ヶ丘遊園駅。つまり生田緑地と同じです。

ただしあちらと比べて大分離れていますので、駅からバスを利用しましょう。


ちなみにこの日は5/4。GWの中で唯一午前中天候が荒れ、

雨が上がった後も暴風が吹くというイマイチなコンディションでした。

写真では全然わからないですが……。




 

この公園の中央部には学術上価値の高いシラカシ林があり、

県指定の天然記念物となっています。(右の写真は違います)




小高い丘の上には広々とした芝生広場が。

実はここでは弥生時代の竪穴住居跡が出土しており、現地にはそのことを伝える看板があります。

あいにく登呂遺跡とかみたいに住居が再現されていたりはせず、ただの原っぱ。

せっかく歴史的なスポットなのだからそれらしいものを設置すればいいのに……と

個人的には思うのですが如何でしょうか?




思いっきり色々なところで紹介されているのでぼかさず書いちゃいますと

ここにもキンランが見られます。普通に園路沿いに見られましたが、

今の時期はもう花期が終わっているかも?




基本的にキンランの生える場所には、このギンランも生えています。

なお、花期がほぼ被っているので、キンランが散ったらこちらも大抵お終いです。




うお、結構群生してるじゃん。


神奈川県内でこれだけまとまっている場所はそうそうないかも。




風が強いと、昆虫の活動は控え目になるもの。

特にチョウやトンボのような活発に飛ぶタイプのものは、草陰などに身を隠してしまいます。

写真は一昨年狭山丘陵で撮影したキマダラカミキリ。手に持つとキーキーと鳴きました。

さして獰猛な昆虫というわけでもありませんが、木を噛み砕く鋭い顎を持っていますので

迂闊に口元に手を出したりするのは禁物です。流血沙汰になる可能性もあります。







風にあおられ、飛ばされまいと懸命に掴まるチョウ。

強風時にしか撮れない画ですね。チョウ自体はただのコジャノメなのですが。






 

森もあれば水辺もあり。

そこまで極端に広くはないものの、環境のバリエーションが多彩な公園です 。

左写真はワスレナグサ(勿忘草)。湿地や池の畔などに群生していました。

ヨーロッパ原産の外来性植物です。




丘の原っぱの近くにある古代植物園

何が“古代”なのかといいますと、それこそ食用、染料、住宅建材など様々な形で

人の暮らしの支えとなってきた植物が植栽展示されています。

この時はまだ花があまり咲いていませんでしたが、

歴史・文化という観点では結構勉強になるかもしれませんね。






この公園も“森林公園”と謳っているだけあり、日陰の濃い林内を歩く遊歩道が随所に通っています。

この手摺をチェックしていると結構多くの昆虫に出合えますが、

案の定小網代の森と同じくイモ●シ・ケ●シの類が多いこと多いこと。

迂闊に手を伸ばせばうっかり握ってしまいそうなので、常に一定の距離を置いて歩きました。


写真は、そうした幼虫系統にとって恐ろしい天敵となりる存在。

形状はシオヤアブに似ていますし、他の昆虫の体液を吸う点もよく似ていますが

本種はアオメアブといい、本ブログにおいては新顔です。


遭遇率 … 3

インパクト … 2

美しさ … 2

俊敏性 … 4

写真を見る限りですと、どうやらカメノコハムシの類を捕らえたようですね。

甲虫の装甲も、これらの吸血アブ(?)の前ではほぼ何の役にも立ちません。あなおそろし。

一昨年の狭山丘陵では、確かシオヤアブがマメコガネを襲っているシーンを撮りましたね。






近くに位置する生田緑地は毎年ナナフシが多く発生するスポットですが、

似たような環境を有するこの公園でも幼虫を何匹か見かけました。


木の枝などと違って周囲がすっきりしている園路の手摺は、昆虫等の姿を見つけやすく

本来であれば要チェックのポイントといえるでしょう。実際、ちらと目を向けるだけでも

色々気づくものは多いです。無論、同じくらいあるいはそれ以上にケ●シに気づいてしまうので

私にとっては酷極まりない話でもあるのですが、これも公園の真の生態系を知るため。

たびたび寒気を感じながらも目を逸らさないようにして散策しました。その結果……。↓






なんと、金色に輝く美しいテントウムシが!


……実際は黄色なのですが、フラッシュの光の当たり具合のためか金色に見えます。

ただ、ほのかに金属光沢を持っているのも事実ですので、少なくともキンランよりは金色かも?

名前はムーアシロホシテントウ。こんな名前ですが日本在来種です。


遭遇率 … 3

インパクト … 1

美しさ … 4

俊敏性 … 2

写真だとわかりにくいでしょうが、実は非常に小さなテントウムシで

全長はせいぜい5~6mm程度といったところ。目立つ色とはいえ見落としがちです。

数自体は、ナナホシテントウのような普通種と比べればもちろん少ないものの

首都圏内でもそれなりには見かける機会がある模様。

ササやエノキの葉などの上によく現れるらしいので、チェックしてみるといいでしょう。

その美しさゆえに、見かけるとちょっとだけ幸せな気分になれる……はず。






やばい!逃げて~!!!(>_<)



……結局クモの方が気付かなかったの腹一杯だったのか、

無視してどこかへ行ってしまいました。一安心。



強風が吹き荒れる中でも結構な数の昆虫が確認でき、山野草の数・種類もなかなかのもの。

交通の便はやや難ありですが、決して遠くはないので今後もコンスタントに訪ねてみたいところ。

また一つ、魅力的なスポットがラインナップにならびました。



【5/4 東高根森林公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・エナガ、カルガモ、キジバト、シジュウカラ、ヒヨドリ

昆虫類・・・アオメアブ、アカスジキンカメムシ、キマダラカミキリ、クロヒカゲ、コアオハナムグリ、コジャノメ、コミスジ、シオヤアブ、スジグロシロチョウ、ツマグロヒョウモン、ナナフシ、ハナグモ、ヒカゲチョウ、ムーアシロホシテントウ、ヤブキリ、ヨコヅナサシガメ、ワカバグモ

その他・・・アメリカザリガニ