あの引きこもりを太陽の下に引っ張り出すプロジェクト(寺家ふるさと村) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。


この手の里山をぶらぶら歩いていると、
田んぼの方からカラカラコロコロと無数の鳴き声が聞こえてきますよね。
少しでも散策したことのある方なら覚えていらっしゃるでしょうし、
その正体が何者なのかご存知の方も多いことでしょう。

鳴き声は嫌というほど聞こえてくるのに姿が一向に見えないので
春の生きものめぐりにおけるストレスの一因となることも多々あります。


 
すっかり緑が濃くなった谷戸空間。
右写真で咲いているブルーの花は、多分カキツバタです。
(ハナショウブだったらごめんなさい)



ハルジオンにやってきたアオスジアゲハ
静止したアゲハを撮るには、花の近くで張り込むのが一番です。
なお、チョウによって吸蜜対象が微妙に変わるので、その点は要注意。



コガタルリハムシがいました。これまた本ブログでは新顔ですね。
つーか今年の新顔、ハムシばっかりになりそうな勢いです。

遭遇率 … 3
インパクト … 1
美しさ … 3
俊敏性 … 2

大きさはせいぜい6㎜程度といったところでしょうか?
色は濃い藍色一色で、金属光沢があります。
サイズは小さいけれど葉っぱの上などにいれば割と目立つかもしれませんね。





池の畔に、カイツブリの巣がありました。
ちゃんとカップルで使用していうようです。浮いている方がオス、巣にいる方がメスね。

ちなみにカメラを買って5年以上になりますが、
この鳥が陸地に上がっているシーンは未だに見たことがありません。
(写真は浮巣なので陸とはいえませんし)





おお、タマゴが2つもありました。
間に柵があるのでそもそも絶対近付くことはできないのですが
それでも刺激しないよう、音を立てずにそっと撮影しました。
(まあ、それでもさすがに気づかれているとは思いますけれどね)





タマゴを温め続けるメス。
邪魔しちゃまずいので、ここいらで撤退します。



深い池以外にも、ここには谷戸らしく小川と田園があります。
要するに水環境に多様性があるということですね。

写真は、田んぼに隣接した小川で見つけたスジエビです。2匹写っていますね。



あれ?小さな水たまりにカラカラコロコロの鳴き声の主が出てきましたよ。
こうやって視界に入ってくることは滅多にないのですが、油断して逃げ遅れたんでしょうかね。

里山においては普段は泥の中にかくれているため、外から見ていてもまず気づけません。
もちろん土を掘り起こしでもすれば見つかるんでしょうが、人様の田んぼでそんなことをすれば
マナー違反を通り越して犯罪行為なので絶対厳禁です。
田んぼ以外では植物の葉の上などに出てくることもあるので(2年前に撮影した時もそうでした)
鳴き声を頼りにそちらで探してみるのが一番いいかもしれません。



上の間抜けな個体を手に持ってみました。
シュレーゲルアオガエルですね。アマガエルによく似ていますが、全身が完全に緑で
アマガエルにあるような黒い過眼線がありません。大きさはこっちの方がやや上かな?

なお、皮膚にがありますので、本来ならフリーハンドで直接持つのはおススメできません。
毒性はかなり強く、触れた後の手で目をこすったりすると激しく痛み、
場合によっては失明することもあるらしいです。お子さん連れの方は特に要注意!
持った後は必ず手をよく洗うようにしましょう。




超クローズアップ版。
皮膚表面のヌメヌメ感と超微細なイボイボ感が両方表れています。

なお、臆病な引きこもり体質かと思いきや、
こんなふうにフリーな状態でもなかなか逃げ出そうとはしませんでした。
単に恐怖で硬直しているだけなのかもしれませんが、表情からはその辺の感情は読み取れません。





一通り観察・撮影できて満足。
ひき続き好きなだけ引きこもらせてあげるために、近くの足場に下ろしてあげました。

その後10分ほど席を外してもう一度確認しに戻ってきたら、同じ場所に留まって鳴いていました。
上述の表に出てきちゃった件も然り、単にコイツが面倒くさがり屋なだけなのかもしれません。
目も眠たそうだしね(それは本種の共通事項でしょうが)。



ちなみに田んぼや泥濘では、表に出てきてしまうとこんなに目立ちます。
これでは外敵に見つかるのも時間の問題ですので、普段引きこもっているのも頷けますね。

余談ですが、カエルが鳴く理由の一つに異性へのアプローチがあるそうですが
どんなに鳴いても土中から出てこないこの連中は、どうやって異性と出合っているんでしょうか?


【5/13 寺家ふるさと村で撮影した生きもの】
鳥類・・・アオサギ、カイツブリ、ガビチョウ、カルガモ、コサギ、ムクドリ
昆虫類・・・アオスジアゲハ、アメンボ、エンマコオロギ、クロウリハムシ、クロヒカゲ、コガタルリハムシ、シオヤトンボ、ヤブキリ、ヤマトシリアゲ
その他・・・アカミミガメ、シュレーゲルアオガエル、スジエビ、ニホンカナヘビ、ミミズ