普段と違って(?)少々マジメな話から始めます。
キンラン・ギンランといった自生ランの類は、最も盗掘の被害を受けやすい植物です。
森林に咲く山野草の中でも一際花が美しく、その希少性の高さゆえにファンも多いのですが
そのためにマニアや悪質な業者などに狙われ、各地で被害が生じています。
数の減少自体は盗掘よりむしろ雑木林の環境変化(遷移や開発)が原因なのですが
絶対数自体が少ないため、1人の盗掘だけでもそのスポットから消えてしまう恐れがあります。
実際のところ、この手の野生ランは地中の菌類と共生しているため
株だけ持ち帰ったところでそう簡単に育てることはできず、ほとんどは枯らすだけ。
そうやって無駄に死んでいったキンラン・ギンランがどれほどあるかは計り知れません。
それでもなお瞬間的な美しさや金のために盗掘する輩がいるらしく、どうしたものかと……。
そういうわけで具体的な場所を明かすことができず心苦しい限りですが、
ここは神奈川県内のとある公園にある雑木林です。公園として管理されており、
いくつかの個人ブログなどでは園名まで明記されて紹介されているのですが
やはりリスクは抑えたいので本ブログでは一旦場所はぼかさせていただきます。
まあ、希少種とはいえ(キンランは絶滅危惧Ⅱ類)、
1990年頃までは比較的どこでも見られる山野草であったらしいので、
保全の行き届いた雑木林のある自然公園であれば、割とあっさり見つかったりもします。
まだ今の時期なら咲いているかもしれませんし、ぜひ近場で探してみていただければと思います。
(写真のバックのような雑木林に生えています。宮ケ瀬などの山まで行く必要はありません)
一応念のため、見て写真を撮るだけに留めてください。m(_ _)m
黄色のキンランに対し、白色だからギンラン。
ただし株はキンランよりも遥かに小さいので、林床をよく観察しないと見落とす可能性があります。
それどころか場合によっては踏んづけてしまう恐れもあるため、注意が必要です。
このスポットでは、キンランとギンランがセットで咲いている場所もあります。
ちなみに上記のラン科植物はすべて遊歩道のすぐ近くに生えていますので、
変に進入禁止のロープを乗り越えたりする必要はまったくありません。
シーズン終わりかけと思われるイカリソウ。
さすがにもう散っちゃっているかな?
こちらはヤマブキソウ。ラン科植物と違い割とよく見られる種です。
ここの雑木林では群生しています。
あくまで公園なので、園芸植物の植栽されたスポットもあります。
写真はモッコウバラです。よく庭先のフェンスなどに這わせて誘引されます。
ここからはいつも通り、見かけた生きものの情報です。
写真は、今年初めて見たカミキリムシ。大きさはジョウカイボンなどと同じか、やや小さいくらい。
図鑑でチェックし、トゲヒゲトラカミキリという種であることがわかりました。
遭遇率 … 3
インパクト … 2
美しさ … 2
俊敏性 … 2
キイロトラカミキリなどと近い種なのでしょうが、配色が地味なうえに小さいので見つけにくく
実際私も今回初めて撮影しました。生態は多分他のカミキリムシと同じかと思われるので
こうした雑木林をチェックしていれば割と簡単に会えるものと思われます。
甲虫(ハムシ)の一種なのですが、翅が透き通っているのが特徴です。
イチモンジカメノコハムシというそうです。
遭遇率 … 3
インパクト … 1
美しさ … 3
俊敏性 … 2
この手の翅が透けるハムシとしてはジンガサハムシという種が一番有名で人気も高いのですが
近似種が多いため、透けていれば全部ジンガサというわけではありません。
身かkたらその都度図鑑やネットで調べてみた方がいいでしょう。
大きさや模様の入り方などがどれも大分異なるため、然程識別は難しくありません。
こちらはイノコヅチカメノコハムシといい、その名の通りイノコヅチの葉を好む小型種です。
遭遇率 … 4
インパクト … 1
美しさ … 3
俊敏性 … 2
テントウムシなどよりも遥かに小さく、意図しても見つけるのは骨が折れますが
主な食草のイノコヅチは雑木林に限らずあちこちで見られますので
夏場になったら随時チェックしてみるといいでしょう。ただしケム●とのエンカウントには要注意。
一方でこんな変な奴にも遭遇。
カゲロウなんかと近い種であることは一目でわかりますが、
かなりマニアックな種なので図鑑などでも載っていないことがあるようです。
ラクダムシというそうで、手持ちの図鑑ではカマキリモドキの下に載っていました。
(その前のページには、本ブログでもお馴染みのキバネツノトンボが載っています)
遭遇率 … 3
インパクト … 2
美しさ … 2
俊敏性 … 3
妙に長く突き出した前胸部が何よりの特徴。
あと、尾の産卵管が長いのも目立ちます。つーことはこの個体はメスか。
こんなナリで完全変態の肉食性昆虫らしく、発達した顎で小昆虫を捕食するそうです。
(要するにあのキバネツノトンボと同じ。あちらのように俊敏に飛ぶことはできないようですが)
余談ですが、カマキリモドキという昆虫にも一度会ってみたいところ。
本家(?)のカマキリには夏~秋にかけて嫌というほどよく出くわしますが
モドキの方はまだ撮影はおろか遭遇したこともありません。
最後に、公園の出口付近で見かけたツグミです。
撮影したのは5月1日。GWの連休中でした。
冬鳥であるツグミは本来であればもう旅立っている頃。
恐らく、他の仲間よりもやや出遅れてしまっただけでしょう。
これで完全に冬鳥とはお別れかと思われます。
また晩秋あたりに会えることを楽しみに、ここからは本格的に昆虫のシーズンが始まります。
【5/1 神奈川県内某所で撮影した生きもの】
鳥類・・・エナガ、カイツブリ、キジバト、コゲラ、ツグミ、バン
昆虫類・・・アオスジアゲハ、アオモンイトトンボ、アカスジキンカメムシ、イチモンジカメノコハムシ、イチモンジセセリ、イノコヅチカメノコハムシ、クマバチ、コアオハナムグリ、ツバメシジミ、トゲヒゲトラカミキリ、ナナホシテントウ、ハナグモ、ヒメホシカメムシ、ヤブキリ、ラクダムシ