“2014年の新顔”ランキング20を一挙に発表! | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

さてさて、2014年もあと3日となりました。

今年は新しいスポットに精力的に足を運んだこともあり、

初対面の生きものにも結構多く遭遇・撮影することができました。

今年撮影した新顔は合計72種類。昨年よりも大分増えましたね。

やはり散策するエリアを広げることは大事なようです。

 

今日は今年1年を振り返る意味も兼ねて、2014年に出会った新顔たちの中から

特に「感動した!(古)と思った生きもの20種をランキング形式でご紹介したいと思います。

(種名の後ろについている地名は、その生きものに初めて出会ったスポットです)


 


第20位 キリギリス(狭山公園・7月)

鳴き声は何度も聞いていましたが、出会ったのはこれが初めて。

低木の中にひっそりと隠れていました。

 



第19位 アカスジカメムシ(狭山公園・7月)

ハルジオン(ヒメジョオン?)の花にとまっているところを発見。作り物っぽい(爆)模様が特徴。

セリ科の植物にやってくるらしいので、探せば都心部でも会う機会はあるかも?

 



第18位 アオオサムシ(円海山周辺・10月)

素早く地面を歩き回って小さい虫やミミズを捕らえる、飛べない肉食昆虫。

厳密にいうと初対面ではなく、2年半ぶりくらいの再会だったりします。

感動して思わず持ち上げたら、思い切り臭いをかけられました(爆)



 

第17位 オグロシギ(東京港野鳥公園・8月)

干潟で遭遇した、渡りのシギの一種。少々光が足りなくてすみません……。

その名の通り尾っぽの羽が黒いのが特徴です。

環境条件が整っていれば、首都圏でもそれなりに見られるそうな。

 


第16位 シュレーゲルアオガエル(川名清水谷戸・7月)

キリギリスと並ぶ、鳴き声は聞くけど姿を見られない生きものの決定版。

声をよく聞くのは田んぼですが、出会ったのは川名の森の中でした。

長いこと見られず散々フラストレーションが溜まっていたので、珍種というわけではないですが

こうして真っ当に撮れた時は本当にうれしかったものです。


 


第15位 アカシジミ(野山北・六道山公園・7月)

狭山丘陵の一角で遭遇したゼフィルス(樹上性のシジミチョウの総称)の一種。

少し弱っていたのか、樹上ではなく里山の草むらを漂っていました。

 



第14位 アズマヒキガエル(新宿中央公園・3月)

新宿新都心に隣接する、夜の公園で撮影。まだ寒さの残る時期でした。

夜中に土から出て繁殖を行います。そういうわけで、よく見ると落ち葉や身体に付着しています。

ここは公園自体があまり治安のいいところではないので、夜は極力お1人ではいかないように。

特に女性の方はお気を付けください。ついでにカエルを踏んづけないようご注意ください。

 



第13位 クロヘリアメフラシ(江の島・4月)

タイドプールなどに見られるウミウシの一種ですが、水中カメラのない私には撮影は困難。

この日は、岩場の非常に浅い水たまりに取り残されている個体を見つけました。

ちなみに本家のアメフラシと違い、つついても紫色の液体は出しませんでした。

 



第12位 ヨシガモ(茅ヶ崎里山公園・2月)

頭部のエメラルドグリーンが美しい冬ガモ。初対面は、雪の積もった茅ヶ崎里山公園の池でした。

関東圏では珍しく積雪量が20センチ近くありましたが、わざわざ足を運んだ甲斐はありました。

その後、渡良瀬遊水地ではごく普通に群れで飛来しているのを見つけました。

 



第11位 アオゲラ(舞岡公園・3月)

今年の本ブログではそこそこよく登場した、大型のキツツキ。コゲラとは一味違う外見です。

できれば相方のアカゲラにも会いたかったのですが、それは叶わず……来年に期待ですね。

ちなみに上の写真は12月に撮影したものですが、初対面は3月の初頭です。



 

~ここからはベスト10です~



第10位 アオバセセリ(ネイチャーランド浦山・9月)

 

名前は知っていたものの、都心部ではまるで会う機会のなかったセセリチョウ。

体色が美しく、よく見るイチモンジセセリとは(失礼ながら)一線を画していますね。

直接出会うと、セセリチョウに対する認識が一変すること請け合いです。

奥秩父みたいな山中まで行かないと出会えないのかどうかはわかりかねますが、

少なくとも都心市街地のど真ん中で会えるような昆虫ではないようですね。

 



第9位 ニホンザル(ネイチャーランド浦山周辺・9月)

 

唯一の哺乳類の新顔。本当ならもっと上のランクに入れてもよかったのですが

如何せん撮れた写真がこれだけということもあり、しかも結構ぶれたのでこの位置に。

ハチの撮影をしている最中、ふと振り返ったら行動を横切っていましたもので

とっさにカメラを向けましたが少々時間が足りませんでした。

どうにかもう一回、今度は真っ当に撮影したいのですが……。




 

第8位 アカテガニ(小網代の森・8月)

 

2014年に遊歩道がオープンしたばかりの、三浦半島南端部 小網代の森にて遭遇。

「赤手」の名の通りハサミが真っ赤ですが、個体によっては身体の上半分が赤くなります。

警戒心が強いらしく、変に音を立てたり近付き過ぎたりすると岩穴などに隠れてしまいます。

ちなみに、実は多摩川の河川敷でも群れているのを見たことがあります。
 


 

第7位 アサギマダラ(くりはま花の国・10月)

 

渡りをするチョウとして有名ですね。花の国のフジバカマで吸蜜していました。

タテハチョウの仲間だそうですが、こうして改めて見ると翅が大きく、

アゲハチョウにも見劣りしません。浅葱色の翅の透かしが美しいですね。

激しく羽ばたくのではなく、ふわふわと漂うように宙を舞います。

長距離移動に有利な省エネ飛行スタイルなのかもしれません。


 


 

第6位 ヒバカリ(川名清水谷戸・5月)

 

首都圏でよく会うアオダイショウ、ヤマカガシ、シマヘビの3トップと比較すると

明らかに出会う機会の少ないヘビ。湿った場所が好きなのか、初対面の川名清水谷戸に続き、
雨上がりの円海山や小菅ヶ谷北公園の水場などでも遭遇しています。

本ブログでは、多分アオゲラ辺りと同じくらいの頻度で登場しているんじゃないかと。

ヘビということで敬遠されがちですが、赤味を帯びた身体はヘビの中では結構美しいです。

(ヤマカガシみたいな毒々しさはないです。実際ヒバカリは無毒ですしね)
 


 

第5位 ギフチョウ(石砂山・4月)


あまりにも有名な希少種のアゲハチョウ。本種目当てで早春には多くのカメラマンが集まります。

石砂山のギフチョウは神奈川県の天然記念物に指定されており、手厚く保護されていますので

間違えても捕まえたりしてはいけません。写真は、山頂付近で翅を休めているシーンです。
ちなみに今年は5月以降、左の写真を会社のデスクトップ画像としてずっと使用していました。

 


 

第4位 ベニイトトンボ(舎人公園・7月)


国の準絶滅危惧(少し前までは絶滅危惧Ⅱ類)種に指定される、真紅のイトトンボ。

この日は雨天のため、やむなく近場で暇つぶししようと舎人公園まで出かけたのですが

まさかあんな市街地に近い公園で遭遇するとは思ってもみませんでした。後で識別してビックリ。

ちなみに東京都公園協会のWebサイトでも「菖蒲田でよく見かけます」とか紹介されています。

どうやら以前から有名な生息地だったようです。近年は少し生息数も回復してきているのかな?



 

~ここからはベスト3です~


 

第3位 ミサゴ(長浜公園・9月)

 

魚を主食とする猛禽類。アオオサムシ同様に、これもまた再会した種の一種です。

それまで最後に会ったのは2011年の秋のこと。もちろんブログを開設してからは今年の秋まで

一向に見かける機会もありませんでした。なお、3年前に会ったのも長浜公園のほぼ同じ場所。

ミサゴの寿命(7年以上?)を考慮すると、ガチの再会である可能性が存在します。

まあ、向こうは私のことなど覚えていないと思いますが(汗)とにかく感動が大きかったです。

白と黒のツートンカラーが目立ちます。大柄で精悍な顔つきは、まさに猛禽といったところ。

右の写真は、12月に渡良瀬上空を飛来していた個体。雨天のため、写りは少々悪いです。
 

 



 

第2位 キバネツノトンボ(埼玉県某所・4月)

 

春の乾いた草原を高速で飛び回る昆虫。トンボではなく、カゲロウに近い仲間ですが

食性は限りなくトンボに近く、獰猛な肉食性です。実は本種も2011年に遭遇したことがあり、

その時は仕事として猛禽調査に来た際に会っただけなので、マトモな撮影はできませんでした。

今回4月に改めて撮りに行ったわけですが、個体数自体はなかなかのもの。

ただ分布が局所的なようで、乾燥した広い草原がなければまず見かけないとのことです。

実際、埼玉県でも絶滅危惧種に指定されています。そっと見守りたいところですね。

翅の付け根にある黄色い模様がいいアクセントになっており、チョウ顔負けの美しさです。

かなり高解像度でくっきり撮影できたこともあり、久々の再会も相俟って強く印象に残っています。

 

ちなみに余談ですが、

右の写真がどうもヒゲ面おっさんジト目でこっちを睨んでいるように見えてなりません(爆)

 

 

 

 

第1位 チュウヒ(渡良瀬遊水地・2月)


栄えある1位は、渡良瀬遊水地のシンボル チュウヒです。本ブログで紹介する生きものの中でも

国のカテゴリで絶滅危惧ⅠB類にランクされるなど、希少性の高い種であることが理由の一つ。

加えて、やはり猛禽らしい精悍さと、ヨシ原の環境の良さを象徴する生きものである点、

さらにはごく低空をV字飛行で舞うため、意外と近くで観察できるのも嬉しいポイントです。

広大な渡良瀬の景観にマッチし、私を含め多くのバードウォッチャーの心を鷲掴みします。

多少足が疲れても、渡良瀬に出かけたらヨシ原の園路を歩き回って探していただきたいですね。

 

左写真は、奥から手前に向かって滑るように突っ込んでくる独特のアングル。

この角度で撮れたのは全くの偶然ですが、とっさだった割にはそこそこきれいに撮れたかも?

飛び方の特性上、慣れてくれば飛んでいる個体もそれなりにちゃんと撮影できるはず。

2015年に向けて、今からリベンジを予定しております。



 

以上、こうして振り返ってみると、

やはり今年新しく足を運んだスポットで遭遇した種が多いですね。

ベスト20でも、1、2、4、5、7、8、9、10、16、19、20位はすべて新規スポットで撮影したもの。

改めて直接足を運ぶことの大切さを思い知らされた1年でございました。

特に渡良瀬遊水地狭山丘陵ネイチャーランド浦山周辺(奥秩父)については

都心部ではほぼ見る機会のない様々な生きものと遭遇したものです。

交通費こそかかったものの、それだけの価値は十分にあったように感じます。

 

できれば来年は、哺乳類のラインナップをもう少し増やしたいところ。

自然と奥秩父辺りに足を運ぶ機会が多くなりそうです。

可能なら奥多摩にも行ってみましょうかね。


 

次回、大晦日にもう一本記事を書きたいと思います。