かつて日本一汚いと言われた沼(手賀沼・前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

千葉県北西部に位置する手賀沼(てがぬま)。今回初めて足を運びました。

柏市と我孫子市にまたがるかなり大きな水場なのですが、

かつて水質調査で「日本一汚染された池沼」という不名誉な称号を与えられており、

事前の情報だけだとだとあまり印象のいいスポットではありません。


とはいえ、近年は全国的に水質の改善が進んでいることはご周知の通り。

多摩川でさえシギ・チドリが飛来するくらいですし、郊外なら鳥の飛来も期待できるかも?




JR柏駅から徒歩でやってきました。沼の西端部辺りです。

自然護岸ですし、特に水質が悪いようには見えませんね。

ちなみに大学時代には毎日柏駅を利用していましたので少々感慨深いものがありましたが、

当時は手賀沼の存在などまるで気づかなかった(というより意識していなかった)なぁ……。




川沿いを東に進んでいくと、道中でいきなりカワセミに遭遇。

いくら近年首都圏で増えてきたとはいえ、淀んだドブ川にいるような鳥ではありません。

どうやら水質は間違いなく改善しているようですね。



ダイサギ、コガモ、オオバンが一堂に会しています。

特に縄張り争いにはならないようですね。なお、オオバンは我孫子市の鳥に指定されています。

実際、この日は嫌というほどあちらこちらで出くわしました。




手賀沼西に位置する北柏ふるさと公園。その名の通り、北柏駅の近隣にあります。

タイミングよくハトの群れが写真に入ってきてくれました。




公園内の一角。釣り客が随分多いですね。

公園の案内板では、フナなどが釣れると書いてありましたが……。

なお、この写真で見て奥の方に手賀沼が広がっています。




木道とヨシの群落。

人通りは多いですが、生きものの集まりやすい環境が整っています。

シジュウカラ、ツグミなどを確認しました。




公園を出て、沼を右手に見ながら東方面へ。

道中、エナガの集団に出くわしました。木の枝に穴をあけて何か食べているようです。

もしくは、何か虫の卵かサナギでもあったのか……?この角度からだとちょっとわかりかねます。

ちなみにスズメ以上に身体が小さく、身軽な鳥。懸垂くらいはお手のものです。


余談ですが私は1度も懸垂ができません。以前書いたかもしれませんが。




東に2㎞弱歩いたところで、沼の名を冠した手賀沼公園に到着。

柏から歩くとさすがにしんどいですが、我孫子駅からだと10分もかかりません。


湖岸に随分鳥が集まってきていますが、これは来園者がエサをやっているため。

いつぞやの不忍池(上野恩賜公園)と同じ現象ですね。あちらほど数は多くありませんが……。




集まっている鳥はユリカモメを筆頭に、オオバンオナガガモカルガモ、そしてコブハクチョウ

白鳥と聞いて驚かれる方もいるかもしれませんが、ここにいるコブハクチョウは残念ながら外来種。

ヨーロッパ辺りから人の手によって移入されたものが繁殖した個体です。


ここまで大分歩きましたが、特に目立った成果はナシ。

新顔やレア度の高い鳥も特に出てきません。少々ハズレの予感を抱きつつ、

それでもせっかく来た新スポットなので、もう少し見て回ろうかと……。




上記の鳥の中では、飛行能力に長けたユリカモメのみエサを空中でキャッチすることができます。

調子に乗ると人の顔近くまで平気で寄ってくるので、注意が必要です。




 

手賀沼公園内にある我孫子市民図書館

軽食の取れるカフェや絵画作品の展示室等も兼ねています。休憩・情報収集にはピッタリかも?

ただ、手賀沼自体の情報を集めたいのであれば、後編で紹介する「水の館」の方がおススメです。




図書館の最上階には、芝生の広がるちょっとした屋上庭園も。

奥に見えるのが手賀沼。結構遠くまで見渡すことができます。




図書館を後にして、一旦ここで地図をチェック。上記の通り成果があまりよろしくなかったため

この時点では適当なところで引き返して水元公園(常磐線一本で行ける)にでも移動しようかと

考えていたのですが、やはり勿体ないのでもう少し周辺を歩いてみることにしました。


このあと結局沼を一周することになろうとは、この時点ではまるで考えていませんでした(汗)



鳥の集合地 その2

ここでも餌付けが横行してしまっています。気持ちはわかりますが(不忍池参照)

過度の餌付けは野生を損なわせるので、できれば避けた方がいいんですけどね……。


それにしても、こうして並んだ姿を見るとオオバンはやはりカモ類に似ています。

生きものに精通していない人が見たら、到底これがツルの仲間には見えないでしょう。

(一応、クチバシの形は明らかにカモのそれではないですが……)




手賀沼公園を後にして、さらに東へ。

道中で作家 志賀直哉のことを記したモニュメントを見つけました。

実は志賀直哉を始め、武者小路実篤などの作家達の一派「白樺派」の拠点が我孫子市にあったらしく

明治後期から大正時代にかけて、ここから「城之崎にて」など数々の名作が生まれたそうです。


この日は立ち寄りませんでしたが、手賀沼公園の近くに「白樺文学館」なる施設があるとのこと。

興味のある方は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?




東へ東へと歩を進めたところで、第3の鳥の集合地を発見。

とはいえ、ここではエサをやる人の姿はなく、ただのカモのたまり場となっていました。

なお、写真に写っているのは全部オナガガモのようです。




 
上記の鳥のたまり場に近い、手賀沼親水広場より。

左写真の奥に見える塔のついた建物は、手賀沼の環境や歴史に関する展示が楽しめる「水の館」

ここにも立ち寄りましたが、長くなるのでその辺りは後編にてお送りいたします。
ちなみに右は、遥か彼方の対岸に見えるヨシ原。後程ここにも直接足を運んだのですが、

これにつきましてもまた後日お送りいたします。今年中には書けるはずです。



(後編に続く)