チェルヴィニアのオークス制覇を受けて、「なぜハービンジャー産駒のこの馬を指名できたのか」という質問があった。POGで指名した人の大半は、6月第1週デビューの木村厩舎の評判馬で、兄ノッキングポイントや母チェッキーノの存在があってのことだろう。ワタシもそれらが大きな決め手となったのは確かだが、血統背景的には実はもっともっと熱いドラマがあった。
POGを始めた93年当時、シンコウラブリイの活躍もあって、毎年その母系に注目するようになった。そのなかで出逢ったのが、チェルヴィニアの四代母ロイコンの子で、シンコウラブリイの近親になるロイヤルブライド。ちょうどワタシ自身が結婚する年だったので、自然と馬名に目がいったのかもしれない。そのロイヤルブライドの子、
タイキエルドラド(94年産)
タイキトレジャー(96年産)
を指名したのが歴史の始まり。
ロイコンの2番子で、シンコウラブリイの母として有名なハッピートレイルズからは、サンタフェトレイルを経て、
キングストレイル(02年産)
同じくハッピーパスを経て、
カービングパス(12年産)
に出逢った。
そのカービングパスの1つ下の妹がチェッキーノ。だが、姉の不甲斐なさから妹の指名は見送り、その代わりにシンハライトを持っていたので、オークスではチェッキーノの前に大きな壁となって立ちはだかってしまった。そんな因縁のチェッキーノの子を獲ろうと思ったのは、エアグルーヴとビワハイジの関係に似ていたから。“昨日の敵は今日の友”作戦である。
これにより、
ノッキングポイント(20年産)
チェッキーノ(21年産)
と、きょうだいを続けて指名し、ワタシとハッピートレイルズ系との30年近くに及ぶ壮大な夢物語は、ようやくハッピーな区切りを迎えたのだった。
やみくもに打ち合うのもPOGの楽しさだが、より競馬を楽しむなら、母系を大事にして、そこで結果を出したときに、生産者・馬主・調教師…といったすべての関係者の気持ちを疑似体験できる真のPOGにたどり着く。だからこそ、チェルヴィニアのオークス制覇は格別だった。
さて、POG。
未定になっていたダノンエアズロックのダービーのパートナーが、引き続きモレイラに決まった。ここまで決定を引き延ばしたのは、僚馬ゴンバデカーブースの動向も影響していたのだろうが、あちらは松山でこちらはマジックマンと落ち着くところに落ち着いた感じだ。
これでダービー制覇の可能性がさらに大きくなった。肝心の馬の状態も、最終追い切りを3頭併せの真ん中で思い切り負荷をかけられるくらい順調で、一頓挫明けだったプリンシパルSより上積み十分のV仕上げで当日を迎えられそう。
あとは枠順だが、ある程度先行して我慢が利くタイプだけに、はっきり言ってどこでもドンと来いなのだが、あえて希望を言うなら外よりは内がよさそうだ。あと3日。本番が待ち遠しい。