昨日は青葉区のフィリアホールで

至福の時を過ごしました。

 

この3日間

道志村で過ごしていて

 

今朝

10時ごろ道志村を出発し

午後のこのコンサートに行ってきました。

 

横浜音祭りという

3年に1度の音楽祭があるようで

そのイベントの一環

ピアニストの阪田知樹さんによる

3日間通してのイベント

 

ベートーヴェンのピアノソナタ後期の3曲

第30番、31番、32番

 

そしてリストの3つの演奏会用練習曲

悲しみ、軽やかさ、ため息

 

を主軸に

 

ラフマニノフの楽興の時 第1,2,5,6番

ショパンのノクターン16番、バラード1番

 

という演目を3日間に分けて演奏するというものです。

 

初日の今日は

阪田さんの解説がとても興味深く

どんな意図でこのプログラムを組んだのかが

とてもよく分かりました。

 

最初のラフマニノフは

阪田さんが最も尊敬する音楽家の一人であり

ピアニストとしてだけではなく、指揮者、作曲家として

かなり高いレベルで活躍しており

阪田さん自身が目指すところ、とのことで選曲されたとのこと

 

ベートーヴェンのピアノソナタは後期の作品が

他のソナタとは、また違う意味を持っているとのこと

 

第30番はベートーヴェンのやさしさが感じられる作品

 

第31番は音楽の系譜をたどるような作品で

ベートーヴェン以降のロマン派への橋渡し的な作品と言われているが

橋渡しというよりロマン派そのものが内包されている作品

すべてが浄化されるかのような作品

 

第32番は天と地を両方持っている作品 革新的、ともおっしゃっていたような

 

 

リストはベートーヴェンの孫弟子という関係と

 

阪田さん自身がリストをライフワークにしており

また、リスト国際音楽コンクールでの優勝経験から

リストの曲をリクエストされることが多いのだが

リストの代名詞的な超絶技巧ばかりではなく

リストの繊細な部分や情緒あふれる側面、革新的な側面なども

紹介していきたいとのことで

3つの演奏会用練習曲を選んだとのこと

 

そしてこの曲はショパンのように繊細で情緒あふれるロマン的な要素がある

 

とのことで

 

ショパンのノクターン16番とバラード1番が続くようでした。

 

何ともスマートな流れ。そして演奏が楽しみになるような要素が満載。

 

ただ演奏を聴くよりも

その背景を知った方が何倍も楽しめます。

そして演奏者がその解説をしてくれると

もう臨場感Maxですね。

 

私を含め聴衆の皆様、きっと今日の作品は

長く思い出にとどまることでしょう

 

さて

 

すべての作品を通して

今日は臨場感が高かった

 

これは奏者の臨場感が一番影響するが

おそらく会場全体の臨場感も

阪田さんの解説の後で高まっていたのと

もちろん私の臨場感も高まっていたので

相乗効果であの状態になっていたのだと思います。

 

個人的には

ショパンのノクターン16番

いつも小山実稚恵さんのCDで聴いていたので

奏者によってこんなに違うものなのかと

聴き入ってしまいました。

一つ一つの音に意味を感じ

でもまとまりとして音楽になっている

そんな感覚になりました。

丁寧に紡がれる一音一音に

こだわりを感じました。

 

またまたショパンですが

バラード1番は何度か阪田さんの演奏を聴いていますが

今日は本当に興味深かった

いろんな方が弾いているので

それぞれの解釈があるけど

阪田さんは

曲の世界に入りつつ

でも自分から抜けていないので

見ていても聴いていてもここちよい

 

私自身も曲の中に入ったり

出て俯瞰したりしている感じでした。

最後の数小節の

不安定な揺らぎが素晴らしかった。

昂る不安、絶望、嘆き

高音から不協和音で下降する

その一瞬、ふと希望を見て

柔らかな音になるけれど

すぐに引き戻され

絶望の激情をぶつける最期の低音

ここだけでもこんなにストーリーが浮かぶ

表現者として素晴らしいです、本当に。

演奏会は一期一会だなと改めて感じました。

 

リスト、軽やかさ、は

ショパンの曲のような情緒的な音を繋ぐ

繊細なタッチの調整が見事でした。

 

 

そして

ベートーヴェンのピアノソナタ第31番

これはもう最初から最後まで

私は夢と現実を行ったり来たりしていました。

阪田さんがおっしゃっていた通り

すべての要素が入っている

そしてそれを表現して

私たちに聴かせてくれる

ストーリーテーラーのような演奏

フィナーレは会場の盛り上がりも

ピークとなり

最期の和音が終わるなり

拍手の嵐でした。

 

感動的な演奏に胸が熱くなりました。

阪田さんの演奏は

楽曲の魅力をストレートに見せてくれる

不純物のないそのものの魅力を

追求している姿勢が感じられます。

だから、何度も足を運びたくなる

 

以上、初日のコンサートレポでした!

 

2日目旭区サンハートのレポはこちら

最終レポ前編金沢公会堂レポ①

最終レポ後編金沢公会堂レポ②

 

 

ここからは

日常に戻ります。

 

 

不思議なことに

というか、当然なのかもしれないけれど

こういう感動的な演奏を聴いた後って

あ~、私もこんな風に弾けたらいいのにな~って

ある種のくやしさ、うらやましさ、嫉妬みたいな感情がこみあげてきます。

聴いているだけでこんなに感動するのだから

自分がこんな風に弾けたら

ものすごい幸せだろうな~って。

 

 

そして無性にピアノを弾きたくなる

ので、帰ってきて子供にご飯作ったら

こどもが食べている隙に

弾きまくる

 

そして現実を突きつけられ

我に返る

 

脳が勘違いして

自分とピアニストを同化してるけど

そんなことしても意味がない

 

馬鹿な脳みそさん

 

そして

私はどんなふうに弾くのが

幸せか

という原点にもどり

 

自分が心地よいように弾き始める

すると

ピアノもいい音になるんです。

 

ピアノは正直ですね

 

肩の脱臼の痛みもだいぶ良くなり

ピアノも弾けるようになってきたので

またぼちぼち練習開始します。

 

長い一日でした^^