コンサートレポ最終回です。

 

横浜音祭りのイベントの一環

ピアニストの阪田知樹さんによる

3日間連続公演最終日は

今年リニューアルした金沢区の

金沢公会堂で開催されました。

 

 

初日2日目のレポはこちら

初日青葉区フィリアホール

2日目旭区サンハート

 

このホールはとてもゆったりとしていて

広がりのある空間で

客席間のゆとりもあり

隣の人との距離が全く気になりませんでした。

 

入った瞬間

真白な舞台が目に入り

壁も白

天上も白

 

とても開放感のあるホールでした。

 

そして、舞台上には

阪田さんが選定したピアノ

スタインウェイ フルコンサートピアノ D-274

 

このピアノは金沢区民の皆さんと企業、団体の

寄付金により購入されたもの、とのこと

 

金沢区民の皆さんの

心にいつも一緒にいるような

末永く愛されるようなピアノを選んだ

と、阪田さん

 

ご自身で選んだピアノでの演奏

 

とても楽しみです。

 

 

さあ、コンサートが始まりました。

 

一曲目は

ショパンノクターン16番

 

この曲は初日のフィリアホールで聴いたときに

すごくロマンティックに

丁寧に一音一音を

紡いでいたのが印象的で

この2日間

いろいろな人の演奏をネットで聴きました。

 

私がいつも聞いていたのは

小山実稚恵さんのショパン名曲集のCD

 

YouTubeで聴いたのは

晩年のホロヴィッツ

アシュケナージ、ポゴレリッチ

アルゲリッチ、ユンディリ

コルトー、クラウディオ・アラウ

ダニエル・バレンボイム

 

会場に着く直前まで

ノクターン16番を聞いていました。

 

好みの演奏って

その時の自分の状態によって

変わったりすると思います。

 

今の私にはホロヴィッツがとても心に響きました。

実はシューベルトの即興曲第3番も

1987年のホロヴィッツの演奏が好き

低音が体に響きます。

とてもロマンティックで夢の中にいるような

柔らかい響きの中に分厚い低音が入ってくる

このコントラストがぐっときます。

 

話はもどり

 

1曲目のノクターン16番は

ピアノの音色の変化が良く伝わってきました。

ピアノ自体の音色がつややかで張りがあり

クリアでよくとおる音

ホールの音響の効果もあり

初日のフィリアホールでの演奏よりも

音がクリアに聞こえて

微妙なタッチの変化も

感じることができました。

ちなみにホール中央真ん中の席でした。

 

甘美な、そして少し切ないノクターン

 

左手のメロディラインと右手のメロディの掛け合い

追いかけて近づいていき

触れそうなのに

触れない

そのもどかしさのようなものが

終盤に向かうにつれ

和らいでいき

最後は統合された安堵とともに

終わってしまうもの悲しさ

夢から覚めてしまう名残惜しさを感じる

 

 

最後数小節の和音の連なり

それまでの夢見心地の柔らかな

なめらかな音質から

かたい音質へ

教会の鐘の音

朝を告げる鐘の音とともに

夢から覚めてしまった

そんな光景が浮かびます。

 

見事な演奏でした。

 

左手のメロディラインを

大事に大事に奏でている

もちろん右手の美しいメロディも

愛おしく大切なひとを愛でるように

奏でていましたが

左手のメロディラインのコントロールが

独特な印象でした。

違う曲を聴いているような錯覚を覚えるほど。

 

素敵なオープニングでした。

 

続いて阪田さんのトークタイム

 

このプログラムへの想いを語ってくれました。

 

3日間連続公演

 

しかも横浜市内の

比較的近い場所を3か所巡る

コンサートはめったにない経験なので

 

連続性を持ったプログラムにしたいとのことで

ベートーヴェンの後期ピアノソナタ30,31,32番を

演奏したら、何か起こるんじゃないか、と

まずはこの3曲を主軸に考え

それぞれのホールの響きと

曲の相性を考慮したとのこと

 

そしてベートーヴェンの孫弟子であるリスト

ご自身もリストをライフワークとされていることもあり

リストの曲を何か、と考えたときに

リストの抒情的でロマンティックな側面も紹介したいとのことで

3つの演奏会用練習曲を選んだそうです。

 

実はこの3曲

悲しみ、軽やかさ、ため息 と副題がついているのですが

リスト自身が付けたものではなく

出版社が勝手につけたものとのこと

 

どうりで副題と曲の内容がかみ合わないはず

そういわれればそんな気がするけど

人は一度インプットされた情報は

ぬぐい切れないもので

そういう副題を聞いてしまったら

その要素を探してしまう(笑)

2日目のレポをどうぞ

それもまた愛くるしいのでよしとする

 

楽しいトークが終わり

ショパンのバラード1番

リストの3つの演奏会用練習曲第3番 ため息

ベートーヴェン ピアノソナタ第32番

 

続けての演奏が始まった。

 

と、ここまで書いたけれど

エネルギーがなくなってきたので

 

後編に続く。。。。