新井浩文氏弁護人よりマスコミのみなさまへ | 空気を読まずに生きる

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弁護士 趙 誠峰(第二東京弁護士会・Kollectアーツ法律事務所)の情報発信。

裁判員、刑事司法、ロースクールなどを事務所の意向に関係なく語る。https://kollect-arts.jp/

本日の第1回公判において、裁判長が公判前整理手続の結果顕出として本件の争点について整理した内容は以下のとおりです。

 

争点は2つ。

①被告人がAさんに刑法177条所定の「暴行」を加えたか?

②性交について被告人がAさんの合意があると誤信することはなかったか?

 

①について、刑法177条(強制性交等罪)の「暴行」というのは、最高裁判例によって「被害者の抗拒(反抗)を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りる」とされています。

つまり、新井氏が「被害者(Aさん)の反抗を著しく困難ならしめる程度の暴行」を加えたと言えるかどうかが争点とされています。

 

②について、私たちは性交についてAさんの合意があったと主張していません。合意があったと誤信していたと主張しています。

「合意があった」という主張と、「合意があったと誤信していた」との主張は意味合いが全く違います。

 

本日の新井氏の起訴状に対する意見陳述も同じ趣旨で述べたものです。

 

しかし本日のマスコミ報道の多くは、「同意があった」との主張をしたかのようなものでした。

(1つ1つの記事を列挙することも考えましたが、余りに数が多いためそれはしません。)

しかしこれらはすべて誤報です。

 

誤った報道がなされることにより、さまざまな誤解が生ずる危険があります。その誤解は取り返しのつかない不利益をもたらすことがあります。

報道の威力はみなさんが想像しているよりも遙かに大きいものです。正しい報道をしていただきますようお願いいたします。