【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】月夜のスナフキン④ | シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you 島ちゑ

シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you 島ちゑ

シナリオ・センター大阪校代表取締役 小島与志絵 ペンネーム 島ちゑのブログです。

 友だちから幻の果実・やまもものジャムとコンポートが届きました。たいせつな人に贈るために、フードスタジオをなさっているご主人が木から実へと育て、丹念に作られたとのこと。爽やかな酸味に、ほっこり…

 ものごとって、みんなとてもあいまいなのよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけどね。

 ムーミンに語ったのはおしゃまさん。冬眠から覚めたムーミンをそっと導き春になるとみんなを起こすため手廻しオルガンを弾いて歩く。モデルはトーベのパートナー、トゥーリッキ・ピエティラと云う名前の銅板画家の女性です。

 スナフキンは秋に旅にでて、おしゃまさんは春になるとオルガンを弾いてみんなを起こし… 友は去り友はあらわれ、それでも人は個がたいせつと物語は教えてくれます。

 スナフキンにもモデルがいたそうです。トーベの永年の恋人で、政治家で哲学者のアトス・ヴィルタネンと云う男性。いつもくたびれた帽子をかぶっていたそうですよ。

 かつての恋のイデアがスナフキン。今の愛のイデアがおしゃまさん。同時に内在する、こうありたい自我が、スナフキンなのでしょう。

 トーベ・ヤンソンの世界は哲学の勉強になります。むずかしくて怖い顔した、いにしえの哲学者のおっちゃんからより、可愛いムーミンからなら、わかる、わかるとうなずけます。キャラクターの二面性も勉強になります。社会への視線が伝わり、第一にウィットが感じられます。そこが大人にも愛される所以なのでしょうね。

『TOVE』と云う映画があります。男性も女性も友人も家族も、そしてなにより自我を懸命に愛し、仕事したトーベ。子どもへのファンタジーを描いた彼女の、たいへん大人な葛藤が…