奈良市高畑町と言えばお寺は新薬師寺です
東門は閉まっていて南門から入りますが
南門の周りにはいろんなものがあります
新薬師寺 東門
南門の外に比賣神社(ひめかみしゃ)があり
十市皇女(とうちのひめみこ)が祀られてい
ます
左側の大きな屋根が新薬師寺でお寺の壁
のすぐ前にある鳥居が比賣神社です
比賣神社(ひめかみしゃ)と新薬師寺
御祭神
十市皇女(とうちひめみこ)
脇座
市来嶋比賣(いちきしまひめ)
昭和54年(1979年)に高畠町の東門近くの
奥さんがここ通ると『比賣塚』から
「祀ってくれ～」
と声が聞こえたそうで、このことを鏡神社の
宮司さんに相談すると比賣塚は十市皇女を
埋葬されているという伝承があるという事
でした
十市皇女をお祀りしよう！
しかしこの小さな9坪の土地は国有地
で勝手に祠を建てる事は出来ません
神像石(かむかたいし)と比賣神社
しかし
夫婦で財務省と交渉し、お金を出して
昭和56年(1981年)ここに比賣神社(ひめかみ
しゃ)を建立したそうです
土地は新薬師寺の所有で神社は近くの
南都鏡神社が管理しています
隣には大友皇子と十市皇女の夫婦仲
の良い石碑もあります
大友皇子と十市皇女の石碑
十市皇女は古代最大の内乱の壬申の乱の
時、父親(天武天皇)と夫(大友皇子)が戦い
夫が負け首を吊って自害しました
その心中いかばかり！
十市皇女は戦乱から助けられ6年後宮中で
突然病死、自殺説や暗殺説も出ていました
今は比賣神社は縁結びの御利益がある
パワースポットになっています
神像石(かむかたいし)
比賣神社のすぐ横の神像石も壬申の乱で
負けた大友皇子とともに子孫の人々が
お祀りされています
神像石(かむかたいし)と埋葬者
御祭神
大友皇子(弘文天皇追贈)と十市皇女
大友皇子は壬申の乱で非業の死を遂げた
葛野王(かどののおう)と王妃
葛野王は大友皇子の子供
池辺王(いけべのおおきみ)と王妃
池辺王は葛野王の子供
淡海三船(おうみのみふね)公と公妃
淡海三船は池辺王の子供
親子4代にわたって古くからお祀りされて
います
大友皇子の非業の死で怨霊になると
思った人が祀ったのでしょうか！？
大友皇子と子孫4代の墓です
南都鏡神社と新薬師寺
正面の山門が新薬師寺の南門でその横
の赤い鳥居が南都鏡神社です
南都鏡神社 鳥居
平安時代の大同元年(806年)平城天皇が
即位した年に新薬師寺の鎮守として建立
されました
肥前国唐津から鏡神社を招請したらしい
拝殿本殿
御祭神
天照皇大神(あまてらすすめおおかみ：天照大神)
藤原広嗣(ふじわらひろつぐ)公
地主神(地元の神様)
本殿は延享3年(1746年)春日大社の
第四十六次式年遷宮の時、春日大社
の旧第三殿をこちらの本殿に譲渡され
たそうです
現在本殿は修理中です
可愛いアマビエ様をあしらった疫病退散の
祈願絵馬もあります
疫病退散の祈願絵馬
大和は神様の宝庫なのにわざわざなんで
九州の佐賀県(肥前国)から鏡神社を招請し
たか？
というと
藤原広嗣公の怨霊を鎮めるためだと
思いますが・・・
天女の絵馬
奈良時代
藤原不比等の子供藤原四兄弟が権力を
握っていた時、天然痘でバタバタ亡くなり
権力は橘諸兄が右大臣となり、吉備真備や
玄昉などが権力の中枢を担うことになり
ます
諸願成就祈願の絵馬
藤原四兄弟の一人藤原宇合(うまかい)の
子供藤原広嗣は太宰府赴任を左遷と思い
藤原氏の没落を危惧した藤原広嗣は吉備
真備や玄昉の更迭を求める上奏をして
橘諸兄（たちばなのもろえ）が激怒し朝廷は
広嗣に都に戻るように勅命を出されたが...
都に戻ると殺されるのは必定！勅命に従わず
藤原広嗣は九州で1万の兵を挙げたが
朝廷軍に鎮圧され佐賀県の松浦郡で
捕まり処刑されます
藤原広嗣の和歌と玉垣
そして非業の死を迎えた藤原広嗣は
怨霊になります
玄昉は九州に左遷させるとすぐ死に
ますが広嗣の怨霊の仕業と言われ
玄昉の首は奈良の都の頭塔(ずとう)にまで
飛んで行ったと言い伝えられています
絵馬掛に広嗣の和歌があります
絵馬掛の和歌
万葉集1456
桜花を娘子(おとめ)に贈りてこの花の一瓣(ひとよ)のうちに百種(ももく
さ)の言ぞ籠(こも)れるおほろかにすな
意訳
この花の一枝に多くの花弁があるようにあなた
を愛する多くの言葉がここにこもっています
大事にしてください
その返歌は
万葉集1457
この花の一瓣(ひとよ)のうちは百種(ももく
さ)の言(こと)持ちかねて折らえけらずや
意訳
この花の一枝に多くの言葉を盛り過ぎて
折れたんじゃないのですか？
多くの女性に言いすぎて
結局、娘子には振られてしまった
ようですが楽しい歌です
藤原広嗣公は文武両道の楽しい人だった
ようですね！
鳥居の横の石碑
比賣神社 マップ
鳥居の横に「藤原廣嗣公奉祀」と書いて
ありました
もう一度
何故わざわざ九州から鏡神社を招請した
かというと
平城天皇(へいぜいてんのう)の生母
藤原乙牟漏(ふじわらのおとむろ)の伯父
さんが藤原広嗣だからで、一族の名誉
を回復したかったのでしょう
ついでに怨霊が鎮まるように
歯を磨くとついでに風邪の予防に
なります
↓
たかぼん
南都鏡神社
http://www1.kcn.ne.jp/~fujishrs/
不空院ブログ
頭塔ブログ
南都鏡神社 マップ