以前このブログでも紹介したリストのラ・カンパネラを演奏する海苔漁師の徳永義昭さんのドキュメンタリーが昨夜NHK[ETV特集」で放映されました。
徳永さんは52歳の時にフジコ・ヘミングが演奏する「ラ・カンパネラ」に感激し、自分も弾きたいと思い立ち1日8時間を超える猛練習の末各地でコンサートやコンクールにも出場するまでになりました。
このドキュメンタリーはそんな徳永さんに寄り添い、支え続けるピアノ講師である奥様との夫婦の「旅」の物語なのであります。
3年前、このブログで徳永さんのことを紹介したことがあります。
驚愕のピアノ演奏家 Ⅱ | 狭山与太郎のどですかでん (ameblo.jp)
52歳からピアノを始めたというのはいくら何でも嘘ではないかと書きましたが、本当でした。ごめんなさい。
置いてあるピアノがスタインウエイのグランドピアノでしたから、奥様もそれなりのピアニストではないかと思いましたが、この放送の冒頭で、実はピアノの側面に印刷されているスタインウエイのロゴはシールであるという説明がされ実際はヤマハのピアノでした。
それくらい私にとっては信じ難かったということなんであります。
奥様は音大を卒業しピアノ講師として家庭でピアノを教えているようですが奥様自身はこの「ラ・カンパネラ」は弾けません。
ですから技術的な指導は全くしていないそうです。
では、どうやって弾けるようになったのかという点についてはYouTubeで覚えた筈なのですがそのことについては全く触れていません。
宣伝になってしまうからというNHKならではの配慮なのでしょうか。
他の曲も弾きたいと思う時があるけれども、そちらに時間を割くとその分ラ・カンパネラを練習する時間が減るからと他の「大曲」には手を付けていないそうなのであります。
私も恥ずかしながら全く独学でピアノを弾き始めてから約40年近くになりますが、その間レパートリーも数十曲と増えてはいますがどれ一つ完璧に弾ける曲というのはありません。
一回ずつ弾いたとしても約3時間ほどになり、どんなに好きでも一日2時間以上は体力的にも精神的にも弾いていられません。
しかも同じ曲だけを何回も弾く気にはなりません。
ですからいくらやることがないと言っても一日8時間も10時間も練習するというのはそれだけでもすごいことです。
同時にプロのピアニストのものすごさを改めて思い知らされます。
幼少期からひたすら練習を積み重ねた結果ですね。
3年前のYouTube映像では取り敢えず弾けるみたいな感じがしましたが、昨夜の放送では滅茶苦茶上達していることがよくわかりました。
フジコ・ヘミングのコンサートの前座で演奏した時には彼女が「わたしより上手に弾いちゃだめよ」と言ってるのが笑えました。
フジコ・ヘミングはNHKのドキュメンタリー番組で紹介され一躍有名になり本格的なプロ活動の扉が開かれることになりました。
徳永さんのこのドキュメンタリーも多くの人たちの感動を呼ぶことは間違いありません。
エンディングで奥様がカッチーニの「アヴェ・マリア」を弾いている時に徳永さんがそっと部屋に入ってきてそれをソファに座って黙って聞くシーンがこの音楽とマッチングし非常に感動的でした。
2月15日木曜日の深夜0時から再放送が予定されています。