「ファジル・サイ」と聞いてすぐにピンと来る人はよっぽどのクラシックファンでしょう。
彼はトルコの天才ピアニスト作曲家で日本でも多くのファンがいます。
我が家にも一枚だけ彼のCD「シャコンヌ!〜サイ・プレイズ・バッハ」があり、車で遠出するときにはよく眠気覚ましに聞いています。
今朝の東京新聞朝刊の「本音のコラム」に師岡カリーマ氏のファジル・サイについての記事が掲載されています。
この記事によれば
彼がSNSに投稿した内容が理由で、スイスにおける英国オーケストラとの共演が一方的に中止されたということです。
その内容の要約は
「長年イスラエルで公演してきたが、音楽でも科学でも秀でた美しい国だ。でもその幸せがパレスチナ人蹂躙の上に成立していることは人類の良心の汚点。人権は万人に補償されるべきで、イスラエル人とパレスチナ人、ユダヤ人とアラブ人が平和的に共存してほしい。ネタニヤフ首相の無慈悲な政策に将来はない。トルコのエルドアン大統領は、ハマスの攻撃とガザの破壊、両方を強く非難し、和平への明確な道筋を提案しており、この点において彼を支持する」
というものです。
(因みに、これを裏付ける情報がネット上にないか色々と探してみましたが見つかりませんでした。)
この至極当たり前の常識的な意見を捉えて公演を中止にする主催者も主催者ですが、クラシックのアーティストにはユダヤ人が多く存在するため気を回したということなのでしょうか。
村上春樹がイスラエル最高の文学賞エルサレム賞を受賞した記念講演で、遠回しではありますがイスラエルのガザへの攻撃を批判したのは2009年の事でした。
これにより彼のノーベル文学賞受賞ははるか彼方に遠ざかりました。
asahi.com(朝日新聞社):村上春樹さん、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判 - ガザ侵攻1
この時ガザの一般市民1300人が犠牲になっています。
先日のグテーレス国連事務総長の発言に対し、イスラエル側のヒステリックな反応振りは世界中に反イスラエル感情を抱かせるに十分な出来事でした。
国連混迷イスラエル“怒りあらわ” グテーレス氏発言巡り辞任要求 (tv-asahi.co.jp)
このニュースを見て世界中の人たちは呆れかえったんじゃないでしょうか。
これによってハマスを批判する声は英米椅子以外からはあまり聞こえなくなっています。
イスラエルに関しては至極当然なことが全く受け入れられないというのは、背景にユダヤ人に対する歴史的な差別や虐待があるからなのでしょうが、現在のイスラエルの政策は現在世界中に存在するユダヤ人の地位や生命や安全に決していい効果は及ぼさない、ますます彼らを孤立化させるのではないでしょうか。
所詮は私のような日本人にとっては他人事で好きなことを勝手に言っているだけなのかもしれませんが・・・。
余談ですが、ファジル・サイという人は従来から政治的な発言をしている人らしくて今から10年ほど前にもツイッターでイスラム教批判を書き込み、トルコで禁錮10カ月、執行猶予5年の刑を言い渡されています。
トルコの著名ピアニスト、「イスラム侮辱」のツイートで有罪 - CNN.co.jp
日本ではモノ申すアーティストとして坂本龍一がいました。
彼の場合は非常に穏健で刺激的な発言はしませんでしたね。
だからこそ説得力があったのかもしれませんが原発反対を唱えるようになってからはマスメディアに登場することは殆ど無くなりました。