人生はチョコレートボックス①。~ジェニーに見るサバイバーの心理:映画「フォレスト・ガンプ」~
人生はチョコレートボックス②。~ジェニーを保護できたのはなぜ?アメリカにおける性的虐待対応~
引き続き、フォレスト・ガンプのジェニーについて、追いかけていきましょう~◎
5歳で母親を亡くし、父親からは性的虐待を受けていたジェニー。。。
畑での祈りが届いたのか・・・、ある日、警察に保護されます。

そして、フォレストの家の近所に住む、町のおばあさんに引き取られます。
保護された後もジェニーは、夜になると「怖いから」と言って、
フォレストの家に忍び込んだり、泊まったりします。

学童期のジェニーについての描写はここまでです。
その後は高校、大学、卒業後と、2人は別々になったり、再会したりを繰り返しますが、
出会うたびにジェニーは道を外して落ちぶれていってしまいます。
戦後のアメリカの闇に飲み込まれながらも、
必死に生きていくジェニーの足跡をたどります。。。
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高校生まで仲良く一緒に過ごしたジェニーとフォレストは、別々の大学へ進学。
ジェニーは女子大に進学し、寮に入ったため、なかなか会えない日々。
ある日、ジェニーに会いに来たフォレストが寮の入り口で待っていると、一台の車が。。。
幼馴染のジェニーが、目の前で、他の男といちゃついている・・・;
「痛い!」の声に動揺し、慌てて男に殴りかかるフォレスト。

慌てて止めに入るジェニー。
ジェニーを守ろうとしたつもりが怒らせてしまい、戸惑うフォレスト。
フォレストには分からないよねきっと。。。
怒っても仕方がないという感じで、この後ジェニーは、フォレストを連れて寮に帰ります。
雨でびしょ濡れになった服を着替えながら、なんのためらいもなしに下着姿になるジェニー。。。
ルームメイトが寝ている後ろで、ジェニーはフォレストに迫ります。
(映画ならではのユーモアだね!)

にしてもジェニー、男の前で脱ぐことに、明らかに慣れている、、、。
「僕は僕だよ」と答えたフォレストとは対照的に、大人の世界に進みつつあるジェニーなのでした。
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大学卒業後、軍隊に入隊したフォレストは、隊員からもらった雑誌でジェニーを発見。
制服姿でグラビアに載ったことがバレて、大学を中退していたのです。

このグラビアが関係者の目にとまり、ジェニーはメンフィスの劇場で歌うようになります。
ジェニーに会うため劇場へと足を運ぶフォレスト。
劇場は劇場でも、そこはストリップ劇場だったのでした・・・

きついメイクと髪型、そして裸にギター一本でステージに立つジェニーの姿が。。。
しかもここで Bob Dylan の「風に吹かれて」を弾き語るのです。
酔っ払いに馬鹿にされ、からかわれている様子を観て怒ったフォレストが、ジェニーを連れ出そうとします。
外では口論になり、
ジ 「私を守ろうとするのはやめて、放っておいて」
フォ 「"i can't help it, I love you. " それはできない、君を愛しているんだ」
ジ 「"you don' know what love is. " 愛が何か知りもしないで・・・」
そしてふと、子どもの頃のことを思い返します。
どこか遠くに逃げたくて、鳥になりたいと祈った、幼いころのジェニー。。
橋の下を見下ろし、「この橋から飛べる?」と、自殺をほのめかすセリフをぽつり。

すっかり落ちぶれてこんなになってしまった自分に、
フォレストの想いは、きれいすぎて、透明すぎて、まっすぐすぎて・・・
自分がいっそう汚れて醜く感じるから、いっそ消えてしまいたい・・・
"Stay away from me, please." 私に関わらないで。
フォレストにそう言い残し、通りがかった車を止めて、「どこへでも」と車に乗るジェニー。
きっとこうやって、彼女は色んな町を転々としながら生き抜いてきたんでしょう。。。
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性的虐待から保護されたとはいえ、家族のいない環境で育ったジェニーに
適切な心理的ケアが施されることはなく、
(60年代だしね。。。 ※2020年代の日本は、60年代のアメリカと大して変わらない。ジェンダーギャップ121位が物語る真実。)
学もない、お金もない、自尊心もとっくに奪われて、
それでも生きるしかないため、逸脱していくジェニー。
性的虐待のその後を生きるサバイバーの姿として、リアリティがあるなって個人的に思います。
なぜ逸脱するのかの詳細なサバイバー心理については、また改めて書きたい。
(参考)
1992年に行われた全米女性調査では、レイプ被害者の健康状態について以下のように統計が出ています。
・うつ病発症率・・・・・30% (犯罪被害者でない場合の発症率は10%)
・アルコール依存・・・・・非被害者の13.4倍
・薬物依存・・・・・非被害者の26.0倍
かつて私にも、ジェニーのような人生を歩んだ友人がいました。
彼女はもう天国にいます。
このブログを書いてて、昨日のことのように、彼女と過ごした日々の記憶が蘇ります。
日本の社会ももっと、この事実に向き合って欲しいと切に願ってます。
今日は国際女性デー。。。世界中のジェニーに花束を・・・。
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Bob Dylan の「風に吹かれてには」こんな歌詞があります。
一体いくつの大陸を越えれば
鳥は羽を休めることができるのか
幼いジェニーの「鳥にしてください」という切実な祈りと、
成人したジェニーの「この橋から飛べる?」の一言がリンクして、また味わい深くなります・・・。
いったいどれほどの人たちの叫びを代弁したのだろう。この歌は。
では今日はこの辺で・・・。