同性愛の矯正治療。映画「ある少年の告白」感想(ネタバレを含む)。 | キッカ。のブログ

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皆さん、こんにちは。

 

 

先日から観たいということで予告のように書いていましたが、

 

 

同性愛者の矯正治療の実体験を描いた映画、

 

 

 

 

 

「ある少年の告白」

原題"BOY ERASED"

 

 

 

 

 

 

を観てきました。

 

 

実話ですね。

 

 

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限られた場所での全国公開なので、

 

 

近場で観れない方のために今回も少しネタバレを含む内容と、

 

 

僕が個人的に思ったお話をさせて頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

男性同性愛者でありますアメリカ人のガラルド・コンリーさんの実体験を基にした原作本(2016年)、

 

 

"Boy Erased: A Memoir of Identity, Faith, and Family(消された少年:アイデンティティと信仰、家族の回想)"

 

 

が基になっていて(日本語本は発売されていません)ほぼ原作と並んだ形で映画化されているようです。

 

 

 

 

アメリカで大ベストセラーとなったそうですが(ぜひ僕も読みたい)、

 

 

実体験をされたガラルドさんが約10年の月日を経て、

 

 

同性愛の矯正治療する施設の虐待を赤裸々に語った内容になっています。

 

 

 

日本ではあまり馴染みがないお話かもしれませんが、

 

 

これは同性愛のみならずトランスジェンダーの方もそうなのですけど、

 

 

アメリカではこういう矯正治療を行う人間の施設が昔からあって(キリスト教も関わっているとされている)、

 

 

実は未だに一部の州を除き(法で禁止)、今も存在しています。

 

 

トランプ政権の前のオバマ元大統領がこういった施設を無くすべきだという措置は取られましたが、

 

 

それでもまだあるという感じです。

 

 

 

想像できないかもしれませんが、

 

 

矯正治療することで自分の性的指向を無理にでも変えるということですよねw。

 

 

僕だったら本当に耐えられないと思うのだけどw、

 

 

未だにそういう信者の方や親御さんっていらっしゃるんです。

 

 

そして中身を開けてみると体罰といった虐待をしていたり(だいたい治療は非公開で事実上の隠蔽)、

 

 

わざと治療スパンを延長してお金を巻き上げるなんて人もいたり(詐欺目的もおそらくある)・・・。

 

 

この施設に行った多くの人が今もトラウマや社会不安障害、うつ病、自傷行為に悩まされていて、

 

 

あとあとで哀しいことに自殺されている方もいらっしゃいます。

 

 

アメリカでは今まで約70万人が利用してきた統計で、

 

 

そのうち半分の約35万人が未成年者だそうです。

 

 

驚きの数ですね・・・。

 

 

 

 

 

この映画ではその矯正施設で被害受けた実態をリアルに描いています。

 

 

過去、似たような映画に、

 

 

レズビアンのキャメロン役を演じたクロエ・グレース・モレッツさん主演の、

 

 

「ミスエデュケーション」

 

 

があります(字幕なしの英語のみの音声)。

 

 

この映画よりももっとディープでしたね・・・。

 

 

 

 

 

ということで感想です。

 

 

 

 

 

 

 

本当に胸が痛む・・・。

そして気の毒でならない・・・。

 

 

 

 

 

そのくらいリアルに描かれていて、

 

 

自殺者まで出ます・・・。

 

 

本当に洗脳って怖いなぁ~っとも思うけど、

 

 

中盤まではお決まりの「神がどうのこうの」とか、

 

 

「神に委ねなさい」とか、

 

 

「あなたが同性愛者であるかどうかは選べる」とか、

 

 

自分の性的指向や外見を侮辱されて脅迫されたり・・・。

 

 

最初は不謹慎かもしれないけどあまりにお粗末すぎてかえって笑ってしまいたくなるくらいでしたが、

 

 

だんだんだんだんエスカレートして笑えなくなってくる・・・w。

 

 

 

 

 

 

 

ここからネタバレを含んでいきます。

 

 

ひとまず映画の最初ですが、

 

 

最初は原作者ガラルドさんの幼少期のホームビデオが実際に流れます。

 

 

そこからガラルドを基にしたジャレッド役を演じる青年のルーカス・ヘッジズさんにチェンジする感じです。

 

 

ストーリー展開の仕方も先日観た「ビューティフル・ボーイ」同様、

 

 

現在のシーンと過去の回想シーンが交差する感じで進んでいきます。

 

 

なので時々「ん?今のシーンは過去?現在?」と切替が大変な時もありますが、

 

 

ストーリーが進んでいけば把握できていく感じ。

 

 

 

 

 

それでジャレッドの両親は同性愛に否定的な価値観の方・・・。

 

 

特にお父さん(ラッセル・クロウさん演じる)が典型的な聖書を文字通りにしか解釈できないクリスチャン思想の牧師で、

 

 

当然同性愛はご法度で異性愛者であるべきという感じですよね。

 

 

そしてお母さん(ニコール・キッドマンさん演じる)もそれに乗っかるという感じ・・・。

 

 

シャレッドさん自身は自らカミングアウトしたことは一切ないし、

 

 

むしろ高校の時までは無理して彼女と付き合っていた感じで(大学の入学前に別れる)、

 

 

大学で仲良くなった男友達ヘンリーから寮でレイプされそうになったことからどん底が始まります。

 

 

 

 

この乱暴されそうになったことを機にヘンリーとは距離を開け実家へ一時的に戻るわけなのですが、

 

 

ある日実家に「大学のカウンセラー」と名乗る人物から電話がかかり、

 

 

シャレッドが同性同士で性的行為があったことをアウティングされてしまいます。

 

 

電話の主が誰なのかは定かではありませんが、

 

 

おそらく乱暴しようとしたヘンリーが警察への通報を恐れて電話したのではないか?という推測・・・。

 

 

このアウティングに両親も動揺となり家族会議で、

 

 

ガラルドさんがホモセクシャルなのかそうじゃないのか問い詰められます。

 

 

最初ははぐらかしていたけど最終的に自分がゲイであることを認め・・・。

 

 

これが矯正治療のキッカケとなってしまいます。

 

 

 

 

複雑な赴きながらも矯正施設に12日間という約束で入所しますが、

 

 

施設では異常なほどの禁止事項。

 

 

携帯は没収、飲酒、喫煙はNG、日記もダメ、入所者同士の接触もダメ、

 

 

治療の妨げになる本やアクセサリー等もダメ。

 

 

施設では必ず白シャツ着用で、正式行事はネクタイ。

 

 

そして治療内容はすべて内密にし外部に漏らさないという約束(怖いよね・・・w)。

 

 

そして一番治療で大事なのは、

 

 

 

 

 

「同性愛者に生まれるというが違う。それぞれの選択の自由だ。」

 

 

 

 

 

矯正治療のプログラム自体も度肝を抜かれるというかw、

 

 

「こうなってしまうのは彼らが君たちを作ったんだ」と言うと自分の親族の家系図を書かされ、

 

 

問題のある親族の名前の横に「アル中」とか「ギャンブル依存」とか「薬物中毒」とか・・・(苦笑)。

 

 

そして、「君の家系はひどいなぁ~・・・」と言われれば、

 

 

みんな色々選択を間違えている云々・・・w。

 

 

 

 

また別の日では、

 

 

男らしさを取り戻すために軍隊のような過酷な運動やスポーツをやらされたり、

 

 

入所者全員の前で同性同士の性的な行いを懺悔することを課せられたり・・・。

 

 

 

 

 

施設での矯正治療は入所者との会話もあるけどみんな終始暗い顔だしw、

 

 

「ここを早く出たかったら偽ってでも治っているフリを演じろ!」とアドバイスされたり・・・。

 

 

ところがお話した通りだんだんエスカレートしていきます。

 

 

 

ちょっと恰幅のいいゲイの入所者の青年キャメロンがなかなか治療が向かず、

 

 

きつく問い詰められた翌日、

 

 

蝋燭が灯されたお棺が置かれていて、

 

 

入所者だけでなく家族なのでしょうか?見てる前で、

 

 

「悪魔の餌食となったから追い出す」ということで、

 

 

おもいっきり聖書で背中をそれぞれ代わりばんこで殴る・・・。

 

 

これは本当に見ていて辛かったです。

 

 

 

これをきっかけにジャレッドも違和感を感じながらも、

 

 

ついに懺悔の時間は自分の番。

 

 

事実を話しているのに施設の牧師からさらに「嘘をつくな!」呼ばわりをされ、ついに怒りが露わに出ていきます。

 

 

彼らにつかまらないよう逃げた先は受付。

 

 

強引に押し入って携帯をかっぱらい母親にヘルプの電話を入れ、

 

 

聴いている治療の内容と違うことを知った母も急遽迎えに行き施設から彼を戻します。

 

 

そこから施設脱却・・・。

 

 

まだ母親に理解があってよかったと本当に心から思うw。

 

 

 

 

家に戻った後日、

 

 

ある日警察が訪問。

 

 

入所者のキャメロンが自殺したという連絡が・・・。

 

 

こんなこと言うと不謹慎だけど、

 

 

「やっぱりなっちゃったかぁ~・・・」

 

 

という感じです。

 

 

本当に胸を痛めますね。

 

 

 

物語の最後はそれから4年後になり、

 

 

施設での出来事の告白が新聞記事に載ることになりますが、

 

 

両親は別居状態。

 

 

父親とも疎遠になっており、

 

 

この記事掲載の許可のために父親の元へ会いにいくことになります。

 

 

ここで言うジャレッドのセリフと、

 

 

父親が言うセリフ、

 

 

とても複雑で苦しくもあるけど好きです。

 

 

同性愛者である息子をまだ受容はできないと言われてしまうけれど、

 

 

相応に憎まず理解し合うことを誓うんです。

 

 

ここのシーンなかなかよかったですね。

 

 

ちょっと涙出そうになりました。

 

 

やっぱりお互いがいがみ合うんじゃなくて調和だよねぇ~。

 

 

それぞれがゆっくり合わさっていけばいいと思うと今の活動家さんたちの多くに言いたいくらい・・・w。

 

 

 

 

ちなみに言い忘れましたが、

 

 

映画のシーンでもう一つ気に入ったシーンがあって、

 

 

実はジャレッドにはもう一人ゲイのゼイヴィアと交流がありました。

 

 

ここでジャレッドが彼に弱音を打ち明けます。

 

 

「神が僕を試して、辛い想いをさせるんだ。」

 

 

するとゼイヴィアが一緒に手を握ってベッドで言うんですよね。

 

 

おそらくここのシーンが一番この映画で伝えたい部分でもあるんじゃないかと思う。

 

 

確か英語でこんなことを言っていたと思います。

 

 

I think we're our own God.

(僕たち自身が神なんだよ)

 

I mean, I think he's in us.

(つまり、神は僕たちの中だ)

 

In all of us, not, you know, somewhere hiding and watching.

(僕たち全員にどこかに隠れて眺めているわけじゃない)

 

I'll prove to you that God won't strike you down.

(僕は知ってるんだ。神は君を打ち倒すことはしないって)

 

 

 

本当にここの部分、感動しましたね。

 

 

その通りだと思う。

 

 

 

 

結局この映画を観て思ったのは、

 

 

同性愛を矯正治療するなんてやっぱり馬鹿げていると思う。

 

 

本人が矯正したいと言うならまだ話は別だけど、

 

 

本人の意思に反して矯正治療だなんて変だよねぇ~。

 

 

しかも僕からすると完全に金儲けとしか思えない感じがします。

 

 

あとあとトラウマになってPTSDを抱えてしまうくらいなら本当に無益だと思う。

 

 

この原作者のガラルドさんは今も完全に心の傷は癒えていないと言います。

 

 

現在はパートナーの旦那さんと一緒に同棲し作家さんとなっているようですが、

 

 

本当に残りますよね、精神的苦痛って・・・。

 

 

 

 

 

もうすぐレインボーウィークです。

 

 

ぜひ皆さんも興味や機会があればご覧になることをオススメします。

 

 

本当に公開されている劇場が少ないのが辛いですね・・・。

 

 

日本は恵まれてますよ、本当に。

 

 

ありがたいことだらけですね。

 

 

 

 

 

ちなみに今回主人公のジャレッド役を演じたルーカス・ヘッジズさん、

 

 

レディ・バード

 

 

という映画でもゲイ役を演じました。

 

 

「ビューティフル・ボーイ」に出演したティモシー・シャラメさんも出演されてます。

 

 

 

また、

 

 

もうすぐ公開になる映画、ドラッグ依存をテーマにした映画

 

 

「ベン・イズ・バック」

 

 

では、ジュリア・ロバーツさんと親子役として薬物依存の主人公を演じます。

 

 

この映画も劇場公開が限られていますが5月24日から公開予定だそうです。

 

 

 

マンチェスター・バイ・ザ・シー

 

 

では、主人公の両親がいない甥っ子役を演じています。

 

 

 

これらも興味があればぜひ!