2019.10/4 唐詩選 李白 陪族叔刑部侍郎皣及中書舎人賈遊洞庭湖 | サワラ君の日誌

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「墨場必携 唐詩選を書く」(日本習字普及協会)より選句、習字
 
李白
陪族叔刑部侍郎皣及中書舎人賈遊洞庭湖
 族叔(ぞくしゅく)の刑部侍郎(けいぶじろう)皣(よう)及び中書舎人賈(か)に陪(ばい)して洞庭湖に遊ぶ
 

洞庭西望楚江分 洞庭 西に望めば楚江(そこう)分(あきら)かに

水盡南天不見雲 水尽きて 南天 雲を見ず

日落長沙秋色遠 日落ちて 長沙 秋色遠し

不知何處弔湘君 知らず何れの処にか湘君を弔わん

 

洞庭湖、西を望むと楚江に分流し

湖水の尽きた南の空には雲ひとつない

日落ちて遠く長沙のあたりまで秋色みなぎり

湘君をどこに弔ってよいものか見当もつかない

 

洞庭湖とくれば孟浩然の次の漢詩「望洞庭湖贈張丞相」

 

八月湖水平 八月 湖水 平らかに

涵虚混太淸 虚を涵(ひた)して太淸に混ず

氣蒸雲夢澤 気は蒸す 雲夢(うんぼう)の沢

波撼岳陽城 波は撼(ゆる)がす 岳陽城

欲濟無舟楫 済(わた)らんと欲するも舟楫無く

端居恥聖明 端居して聖明に恥ず

坐觀垂釣者 坐(そぞろ)に釣を垂るる者を観て

徒有羨魚情 徒(いたずら)に魚を羨むの情有り

 

 謀反の疑いが晴れ護送中に赦免された李白は、旅の途中、洞庭湖を臨む岳陽で皣(よう)君と賈(か)君と会って、舟遊びをする。李白はプー太郎、皣(よう)君と賈(か)君はともに左遷の憂き目に遭い左遷先へ赴任旅行中であった。

 一方、孟浩然は、役人になるためのリクルート就職活動中。プー太郎で天子に対して我が身を恥じるとか、役人になっている人(釣を垂るる者)を羨むとか、岳陽楼で決意も新たな風情ではあるが、その後、面接試験でやる気のなさを見抜かれ、就職失敗。

 詩の壮大さと、失業状態にある作者の立ち位置が釣り合わない。そこを僻んだりいじけたりしないところが大詩人たる特質か。

 

湖のある句

蕪村 湖へ富士をもどすやさつき雨