3度目の正直。



頭の中でそうつぶやきながら、オレはある本屋を探し回っていた。


恵比寿の街中にある“NADiff”というブックショップ。


デザインやアートなどの関連書籍を取り揃えた本屋で、

かつて表参道にあったこの店は
閉店後はその活動再開をずいぶん待ちわびたアートファンも多かったそうだ。


以前知人からこの店に話は耳にしてから、
2度程、店探索を試みるが、

なかなか場所を見つけられず、

今日こそはと決心をして探していたのだが、


案の定、道に迷う・・・


もしかしてオレって方向音痴なのか?


いや、きっと店の場所がわかりにくいだけなんだ!

と自分を励ましながら、


やっとの思いで辿りつた場所は、

店というよりおしゃれなアパートといった感じだった。



SAWAクリップ

恵比寿の街中にぽつんと佇み、
一見見過ごしてしまいそうになるような
路地の中にある。


店内は白を基調にしたとってもおしゃれな空間で
1Fはデザイン、アート、など現代美術、写真を中心とした和洋書、展覧会図録、インディーズブックなどの書籍を扱う他、アートグッズも係の本と雑貨を集め、

2F、3Fはアーティストのギャラリーとして使われている。


感性を刺激する興味深い本がたくさん取り揃えられていた。


SAWAクリップ

なんかこう本屋に入った時のわくわくする感ていう感じ、


デザイン本など眺め空間としてもとても心地よく、

なにより感性や感覚を刺激するこの場所がとても気に入った。





と、

ご満悦の中本を眺めていたら


突如謎の腹痛に襲われる・・


どうも最近お腹の調子がすぐれないと思っていたらこんな時に・・


急激な腹痛を催したので
しぶしぶ店を出て家に帰りトイレに駆け込む。


今度はゆっくりとまた行きたいなぁと

トイレの中でNADiffの本達を思い出しながらふと思い返す。


でもやっぱり、

街にはこういった偶然の出会いがあるから面白い。


フラフラ~っとと歩いて行き当たりばったりで

店をのぞいて見てみたり、

知らない道を発見したり、


とても好奇心を掻き立てられる。


知らないことを知るすばらしさを改めて再確認

知らない事

つまり

余白があるってすばらしいことなんだな


とトイレのに座ってふと考えた。



正露丸必要かな。。












リハビリテーション病院というのは生と死が迫り合い、

本も読めないほど体の機能が弱っている方もいる。

そんな容赦ない場所に、切り込んでいかなければならなかった彼は、

最後まで本の持つパワーを誰よりも純粋に信じている。


幅氏はさらに自らの本に対する想いをこう括っている。


「本という伝統的なものを扱っていますが、個人的には新しいものが大好き。

常に新しくて面白いことを心がけてます。

そういう意味では「常に現状を疑っている」と言えるかもしれませんね。

キーワードとしては「落差」だったり「違和感」だったり。

そこから新しい事、面白い事がでてくるんだろうと思います。


その場所での必要性をきちんと汲み取れれば、

本ができることって本当にたくさんあります。


最終的には本の力が本当に「効く」、出会いの場をつくりたいのです。

その結果がこれまでにないスタイルの書店だったり、本のコーナーだったりするわけです。」



本当に素敵な仕事だとしばらく感慨にふけってしまいます。


“本”を通じて「コンセプト」を提供する仕事

ブックディレクターとはそんな職業なんだと感じました。


私らがやろうとしている広告にもきっとこんな考え方が必要で

どうやったら広告に価値を生み出し、人生に効く出会いを提供できるか。


そういった事をもっとコミュニケーションをベースにしながら

考えていかなければいけないのだと考えさせられました。


"本というのは「遅効性」の道具なんです"



ブックディレクター幅氏はこう語る。

SAWAクリップ



「さっと情報を得るだけならネットでもいい。
けれども本の本当の力は、今知りたいことにすぐ答えることではありません。」



たしかに私自身でもそう感じることがとても多くなっている。


最近本の存在がとても大きい。
TVやネットなどの膨大な量の情報から自分に必要な分だけフィルターをかけてストックしていく事はとても大事。


だけれども、

ある分野においての一人者の「編集」という工程を経て磨かれた情報を摂取することはとても意味がある。


たとえば、
バイキングで目的もなくお腹をいっぱいにするのと
おいしいイタリアン。それもトマトソースがとてもおいしいパスタを食べさせる店でお腹を満たすのは少し意味が変わってくる。


体験の質と記憶の熱量に違いがでる。


そう解釈してみると本って自分の人生をとても有意義なものに変えてくれる栄養なんだと気付く。



幅氏の手がけた仕事の中でもうひとつ
興味深いものを紹介します。


「千里リハビリテーション病院」という大阪府にある脳梗塞患者のための病院に2000冊の本を揃えるライブラリーづくりを依頼された時のこと。


SAWAクリップ


一般的な病院の本棚には病気にまつわる本や教養を伝える堅苦しい本が並ぶ、

だが病院だから病気の本、図書館だから優良書ではない。


幅氏のブックセレクトにおけるユニークなセンスは
こんなところでも光る。


たとえば大阪の昔の街や阪神が優勝した時の記録写真集や本。

「このころ俺はこうだった、ああだった」。本を見ることがきっかけで記憶や感情がじわじわと動き出す。


文学ならどこから読み始めてもよく、どこで終わってもいい詩や短歌や俳句。


紙をめくる作業という行動を伴うパラパラブック。

とっかかりはシンプルな内容であっても、本はゆっくりと確実に心と体に効いてくる。


そのうちに実は、往年の女優さんの写真集のリクエストもありました。
「エロ」は生命力と密接に結びついている。本を読むことで「生きたい」「人生って面白い」と生命が躍動し始めるのだそうだ。


さらにつづく