ファミスコ60Sだって直焦できました | さとしんの星日和

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古スコやB級品を使って星を楽しむブログです。

最近の天体写真向けの屈折望遠鏡は、電視撮影の普及により小口径でもどんどん高性能化が進んで高額になってます。そこで、B級星オタを自他ともに認めるわたくしとしては、はるか昔のトイスコープであるお馴染みファミスコ60Sで、直焦撮影をして遊んでみた様子をご報告しましょう。

 

 

タカハシやビクセンの写真向け屈折鏡筒は低分散の高級レンズで構成されたアポクロマートで、更にフラットナーやレデューサーもラインアップされ、今ではちゃんとした写真を撮るにはどう頑張っても鏡筒だけで20万円近いお金が要る様ですので、いつもケチケチの私としては今回も安いものを使ってそれらしいことをして、そのプロセス自体を楽しもうという訳です。

 

 

 

ファミスコ60Sです。私のブログにたびたび登場するこの望遠鏡は、ボーグの前身として1985年ごろにおもちゃメーカーのトミーから1万2千円ぐらいで発売されました。私は数年前に中古で5千円ぐらいで入手しています。口径6cm焦点距離400mmでF6.6ですから、現在タカハシのFC60シリーズやビクセンのSD81シリーズにフラットナーを入れたぐらいのF値となり、直焦で星野が撮れるはずなのです。

 

 

 

 

そして、おもちゃ望遠鏡なのに搭載されているセミ・アポクロマートレンズ、40年前はタカハシも採用していた当時としての高級レンズで、F6.6の短焦点によって大きくなる様々な収差を軽減しているはずなのです。

 

 

 

 

早速、直焦で撮影する為にいろいろ工夫をします。M42システムで使っていたヘリコイドと薄型のカメラマウントを出してきました。

 

 

 

 

ファミスコの接眼部を外してヘリコイドを取り付けます。ヘリコイドのM42メスはピッチが1mmで、ファミスコのM42オスはピッチが0.75mmの為、途中までしか入りませんが何とかいけるでしょう。

 

 

 

 

薄型のカメラマウントを取り付けます。ヘリコイド側で焦点合わせをするために、ネジ式の対物レンズ鏡筒をネジぎりぎりまで後退させるので、この薄型のマウントでないとカメラのピントが出ません。

 

 

 

 

鏡筒底面に付いているカメラネジでは支持が弱いので、アストロリーベの小さいアリガタにスコープテックの鏡筒バンドを取り付けて、本体を支持することにしました。

 

 

 

 

ネジ式の対物レンズ鏡筒をネジの掛かりぎりぎりで位置決めをして、内筒の空いた部分に鏡筒バンドを取り付け、アリガタを使ってTS100の赤道儀に搭載します。

 

 

 

 

おーっ素晴らしい! ぱっと見は高級なフォトビジュアル鏡筒で宇宙を狙う構図ですよ。カメラ回転リングが無いのでカメラボディが逆さまになるのはご愛敬です。(笑)

 

 

 

 

ここで内蔵フリップミラー側に付属のH20mmアイピースを入れてスライド鏡筒で焦点を出しておいて、その後ヘリコイドでカメラ側の焦点を出すことで、倍率20倍でファインディングをした後にミラーを切り替えて撮影できる様に調整しました。

 

 

 

 

一方、極軸合わせの為に面倒くさいですがカメラマウントを一旦外して、SVBONYの接眼アダプターを付けてセレストロンズームの12mm33倍で極軸を設定できる様にしました。

 

 

 

以上で機材の準備は終わりです。オートガイドも何も無くやりっぱなしのノータッチガイドしかできないので、APS-CによるFL400mmのほったらかし追尾は私の極軸設定では厳しいと考え、露出時間を約60秒、ISO3200の1枚きり撮影でまいります。

 

 

 

 

さぁ、それでは張り切って行ってみましょう、春のDSOを狙え!(笑)

 

 

りょうけん座 M51 子持ち星雲

ファミスコ60S+ソニーNEX5ボディ直焦点 口径6cmFL400mm

露出72秒 ISO3200 タカハシTS100ノータッチガイド

 

おー、ちょっと星がボテボテしていますがなかなかではないでしょうか。ピントが甘いのか中心部でも星の形がいびつですが、フラットナーも無しのノートリミングでこの周辺像の流れ具合に留まっているのは優秀と思います。このショットでは色収差もあまり感じません。40年前のセミ・アポ侮りがたし、ですか(笑)

 

 

おおぐま座 M81、M82 ボーデ銀河

同撮影機材 露出72秒

 

これが普通のA級鏡筒なら、APS-Cのイメージサークルをフラットナー無しでカバーし、中心から16mmのスポットダイアグラムもほぼ許容範囲に収まる云々・・・・、てな記載になるのでしょうか? ならないですよね(笑)

 

 

おおぐま座 M101 回転花火銀河

同撮影機材 露出71秒

 

M101の回転花火はフリップミラー側のハイゲンス20mmで必死で探しても見えなかったので、星図から適当に写野を決めて撮影しました。やっぱり中心を大きく外しましたね。

 

 

 

次は散開星団にいってみましょう。

 

かに座 M44 プレセペ星団

同撮影機材 露出61秒

 

いいですねー、70年代の天ガ写真コーナーを見ている様な懐かしさです。セミ・アポとは言え色収差で星が青っぽいのですが、贅沢を言ってはいけません。何たって当時1万2千円のおもちゃ望遠鏡なんですから、これだけ写れば十分と思います。

もう少し私がディスク形状をまん丸にするピント合わせができればもっと良い写真になりそうです。

 

 

 

とも座 M46、M47 散開星団

同撮影機材 露出60秒

 

冬の銀河に埋もれるタイプの異なる対照的な2つの散開星団を、大きく捉えることができました。なかなかの迫力ですが天の川の中にあって星数が多いので、周辺像の流れもなかなかのものになりますね。

 

 

 

おおいぬ座 M41 散開星団

同撮影機材 露出68秒

 

もうだいぶ西に傾いて、地平方向の明かりに埋もれかかっていたので元気がありません。シリウスもぼんやりと明滅していました。もう冬の天体もシーズン終了ですね。

 

 

いつもは星雲星団を縮小コリメート撮影で丸い視野環にて20秒露出程度で撮影していましたが、たまにはカメラ直焦で本格風に撮るのも楽しいです。夏になったらもう一度、今度は星雲を狙ってみたくなりました。

 

 

 

 

 

以上毎度の古スコ遊びでしたが、今回も閲覧頂いて誠にありがとうございました。(^^)