注:天文ファン以外の方には訳のわからない機材ばなしが、異常に長く続きますのでスルーで大丈夫です。(^^)
スカイウォッチャーのセット鏡筒、BKP130を中古で購入して縮小コリメートを楽しんでいますが、今一つ画像が良くないのでもっと改善したいと思い、いろいろ取り組んでみました。
最初はタカハシTS100で使っている、ビクセンの拡大撮影アダプターにタカハシLE30mmを入れたものを、BKP130に取り付けてみましたが残念ながらピントが合いませんでした。
ビクセン拡大撮影アダプター
TS100では、このセットにルミックスLX7を装着して撮影すると、視野円がくっきりして明るさムラの少ない写真が撮れます。なので、これをこのままBKP130に使いたかったのですがダメでした。
BKP130はF5の短焦点反射なので、この右部分にあたる42T接眼アダプターが長すぎてアイピースが後退してしまい、ピントが合いません。LE30mmのピントが合う為には、アイピースがもっと鏡筒側へ位置しないといけないのです。
仕方が無いので接眼部に42Tネジが切ってあるアイピースを使えば、ステップリングを使ってLX7を取り付けられるのでアイピースのピントも合って撮影できると思い、色々と探してアストロストリートのSV32mm拡大撮影用アイピースを買いました。
結果、これを使ってLX7で縮小コリメート撮影ができるのですが、このアイピースとBKP130では明るさムラが出やすいので、主点をずらす工夫をして撮影しています。
そこで、やはり元に戻ってタカハシLE30mmを使って縮小コリメートをする為に、ビクセン以外の拡大撮影アダプターを使ってみようと思い、まずはLE30mmによる焦点位置の図面化をして確認しました。
上記の図面がBKP130にLE30mmを取り付けて無限遠にピントが合っている状態です。BKP130のドロチューブの付け根から32.5mmの位置に、アイピース胴の下端が来るような拡大撮影アダプターが無いか探しました。
そしてネット通販サイトをあれこれ探した結果、以下のアダプターをアマゾンで見つけて購入しました。
以前に3倍バローレンズを買った中国メーカー、NEEWER社の拡大撮影アダプターです。今回もきれいで立派な箱に入って届きました。
まずは肝心のアイピース取り付け位置の確認ですが、ノギスで計ってみるとどうにかピントの出そうな位置にアイピースを持ってこれる事が分かりました。
次に、アイピースをアダプターの内側スリーブに入れようとしたところ・・・
カツン! なんということでしょう、入りません!
スリーブ内径38mmに対しアイピース胴径が39mmなので惜しいところで入りませんでした。各部の寸法をよく確認しなかった私のミスです。早々にこの拡大撮影アダプターでLE30mmを使う目論見はボツとなりました。
それでは、逆にこの内側スリーブに入る胴径30mm程度のアイピースを探して見ることにしました。そして、オークションサイトに中古で見つけたのがコレです。
米国メーカーの老舗、ミード社のPL32mmアイピースです。細身の形状で背も高く、接眼側も外側スリーブの穴に届きそうな形状で期待が持てました。
早速、拡大撮影アダプターのスリーブに入れてみると、今度はちゃんと入ってピントの出る位置もクリアしていました。ところが外側スリーブをかぶせてLX7を取り付けてみると・・・
*この写真はネットにあった写真を流用しています。
ご覧の様にこのアイピースは接眼側レンズの位置が深すぎて、LX7のレンズが寄り切れず主点が出ませんでした。アイピースの外形は適切だったので残念です。
これで、NEEWER社の拡大撮影アダプターにMEADE社のPL32mmアイピースを使う目論見もボツとなりました。
うーん、なかなか難しいですね。しかし、ここで諦めるわけにはゆきません、もうすでに2つの部品を空振りしています。
いっそのこと、オリジナルの部品を作ってもらったらいいのではないか、と考えました。またもやネットで調べると、個人向けで1個から部品を作ってくれるネット販売のメーカーを見つけました。
様々な注文を受けた作例を見ても、3,000円から高くても8,000円ぐらいで単純形状の部品をオーダーメイドしてくれています。
これはいいと、張り切って作図してメールで送付して、材質を最も安いアルミに指定して見積依頼をしました。下の図面に示す形状の撮影アダプターがあれば、確実にBKP130、LE30mm、LX7の組み合わせで縮小コリメートができます。
早速、翌日にはメーカーから見積り回答がありました。皆さん、この部品の見積りはいくらだと思います?
なんと、32,000円!
無い無い無い、望遠鏡買えますよ。(笑)
切削だけならマシなのですがネジ加工が入るととたんに高くなるのと、ちょっと加工の手数が多かったのだと思います。
さて、この方法もダメとなると、次はどうしましょうか。
いやまだあの手がありますよ。LE30mmが入る拡大撮影アダプターを探すというのが。失敗から学ぶ学習効果ですか。いやいや、目的の固定化によって意固地になってます。(笑)
わたくしのご用達、いつもお求めやすい価格のSVBONYはやってくれます。ありました、LE30mmが入る拡大撮影アダプター、SV187です。
こいつは太い!これなら大丈夫。LE30mmが入ってピント位置もクリアしてくれるはずです。
それではいってみましょう、いざ!
入りました! 続いてピント位置もクリアしました。それで接眼部はどうなった?
ダメでーす!!
あとコンマ数ミリのところで42Tネジの付いた穴を貫通しませんでした。惜しい、実に惜しい。これではLX7のレンズがアイピースの接眼レンズに寄り切れません。
万事休す、もはやこれまで。SVBONYの拡大撮影アダプターも、3つ目の空振りとなりました。
いやいや、冷静になろう。ここで初心に戻ってもう一度考えよう。
そして、ひらめきました! こうなったら、
切る!切るしかない。
冷静どころか逆上ぎみですが(笑)、当初にあったビクセンの長すぎた42T接眼アダプターをパイプカッターで切ってみようと思いました。シンプルな発想ほど、功を奏するに違いありません。
そこで、それが成り立つのかもう一度慎重に各部を計測して図面を書いてみると・・
5.5mmあったドロチューブの繰り込み代を無くしてぎりぎり前詰めにすれば、上図の様にわずか3mmのネジ代を残して42Tアダプターを切断することで、予備の繰り込み代は有りませんがLE30mmがちょうどピント位置になることが分かりました。
各部寸法の都合上これ以上鏡筒側には持って行けない限界位置なので、これでピントが出なければアウトとなりますが、やってみる価値はありそうです。
ところでそもそも、この硬そうな42T接眼アダプターは切る事ができるのでしょうか。
そこで登場です、パイプカッター。
これは、小口径の配管や足場パイプ、物干し竿が切れるカッターです。ミニ旋盤など持ってないし、金ノコで根気よく真っすぐ切る自信の無い私の強い味方です。
硬い鋼管とステンレスパイプは、1.2mmまでの肉厚まで切れると書いてありました。
今回の生贄となるビクセン42T接眼アダプターが到着しました。
それでは、いざ!
ぐるぐる、ぎりぎり、
タカハシのRCAをねじ込んで取っ手にして、少しづつ切り刃を下げながら回します。
すると、パカッ!
5分ぐらいで簡単に切れました。切り始めてみると、アダプターは材質がアルミだったので割と簡単でした。
短くなった42Tアダプターです。ちょっと予定の長さより0.5mmほど長くなったので、ピントが出るか少し心配です。切り口のバリを取ってTネジを復活させました。
BKP130側の接眼アダプターにTネジで接いで、ビクセンの拡大撮影アダプターを取り付けたら完成です。
LX7を装着してBKP130にセットアップしました。
とうとう、BKP130とタカハシLE30mmとルミックスLX7の組み合わせで試し撮りをする時がきました。地上の景色でテスト撮影です。
スカイウォッチャーBKP130+タカハシLE30mm+ルミックスLX7/24mmF1.4
縮小コリメート撮影
やや明るさムラが出ますがまずまずフラットな画像が撮れています。主点になっているので視野円もくっきりとしていますが左半分がぼやけているのは、42T接眼アダプターのネジが1本しかないので光軸が片寄る為で、これは仕方がありません。
だいたいうまく行ってる様ですが、ドロチューブを一番前に繰り込んでいますのでこれ以上遠くにピントを合わせられない中で、実際の星に向けてのピントがどうなのかという点と、長時間露出をかけて画像を見てみないと何とも言えないところです。
まぁ、とにかく試し撮りができる状態にまでは何とか持ってきましたので、後日撮影してみたいと思います。
それでは長々と低レベルな天体撮影の話を最後まで読んで頂いた天文ファンの皆様、本当にありがとうございました。興味をお持ちの方々への参考になれば幸いです。(^^)