カートン光学の古い双眼鏡を買いました | さとしんの星日和

さとしんの星日和

古スコやB級品を使って星を楽しむブログです。

カートン光学の古い双眼鏡を中古で買いました。

 

 

私が中学生のときにカートンの6cm屈経を買ってもらったことはこのブログにも何度も書いてきましたが、そのときよりカートン光学というメーカーに私は親しみを覚える様になりました。

メガネ屋に並んでいる望遠鏡から選んだメーカーがたまたまカートン光学だったというだけですがこれも何かの縁でしょうか。

 

 

その後、カートン光学は様々な特徴ある商品を発売してゆきました。コメットシーカーという短焦点屈折やスカイハンターという当時としては広角な双眼鏡や今でも名機と呼ばれるアドラブリックという双眼鏡、スマートな赤道儀など、性能はともかくデザインが新しいという印象です。

その後カートン光学は残念ながら望遠鏡作りを止めて、昨年は双眼鏡からも撤退をして顕微鏡とルーペだけに特化しており残念な状況ですが、私の記憶の中にはあの頃のカートンのイメージが残っています。

 

 

今回は、懐かしいあの頃のカートン光学の双眼鏡が安く販売されていたので懐古趣味として買ってみました。双眼鏡は現在12台ありますがこれで13台になって全ての有効活用は益々難しくなって行きますが、しかし沼の微妙な入り口にいる私としてはカートン双眼鏡がぜひ欲しくなったのです。

 

 

 

 

カートン光学 8×30カスタム 8.5度

 

 

この双眼鏡はおそらく1975年あたりのもので、当時の価格で15,000円ぐらいで販売されていたものだと思いますので現在でいうと25,000円ぐらいの中級機になるでしょうか。

カートンには8倍機の場合、広角10度のスカイハンターがあるのですがなかなか見掛けません。この双眼鏡は7.5度のスタンダード機から一段広角の8.5度なのでカスタムなのでしょう、B級オタクの私にはよく分かりませんが詮索はこの辺にして早速見てみましょう。

 

 

 

 

まず、本体がスリムで小さく感じます。同クラスのケンコーミラージュ8×30Wと比較してもプリズムが小さいのかとてもスマートです。今の双眼鏡は性能向上と共にプリズムハウスが大きく、ラバーで巻かれてどっしりとしているものが多いのでこの小ささは新鮮に感じます。

 

 

 

 

 

 

よって手に持った感じもしっくり来ます。昔のクラシックタイプの双眼鏡の良いところでしょうか。指がピントノブにもすぐ届いて操作しやすく片手でさっと夜空を眺めることができそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

接眼部の様子です。

コーティングは青色で電灯の反射で確認すると表一面のモノコートで、多少曇りがありますが問題ない程度です。中古の状態としては良い方でしょう。

 

 

 

 

 

対物レンズは裏一面のモノコートでした。またコバ塗りもされていません。中をのぞくと鏡胴内部にも多少光沢があってコントラストの低下が予想されます。またレンズ裏面に拭き跡の様な薄っすらとした曇りもあるのですが、レンズを外さないと拭けないところです。

まぁ、中古ですし見え方に大きな影響は無さそうですのでこのままにします。

 

 

 

三脚用取り付け穴もあるのですがここはカートンから発売されていた三脚穴の無い双眼鏡用のアダプタ、ビノシーカーを使わないといけないでしょう。私は当時これを買って持っています。

 

 

カートン ビノシーカー (三脚取り付けアダプタ)

 

 

 

では、ビノシーカーで双眼鏡を三脚に取り付けていつものあるあるです。

 

 

 

瞳を見てみますと四辺の翳りがみえますので廉価なBK7プリズムが使われていることが分かります。光軸は合っている様ですが、プリズムの肩が光路に少し出ていてわずかなケラレが見えます。筒先からのぞいたときに光沢が見えた様に内面反射の光もありますね。

ただ、45年前のスタンダード機なので全般的な光学処理はこんなもんでしょう、という印象です。

 

 

 

 

それでは、見え方をケンコーミラージュと比較してご覧頂きます。

 

 

カートン光学 8×30カスタム 8.5度

 

 

接眼レンズが少し奥に引っ込んでいるので、視野円がきれいに出ませんが撮りました。中央の解像度はまぁまぁという感じであまりシャープでは無いです。広角8.5度の平坦度もまずまず実用的で良像範囲は50%程度でしょうか、色彩はあっさりしていて少し薄い感じでコントラストもやや低いです。周辺湾曲も広角機らしくそこそこありますが緩やかに歪んでいるのであまり気にならないです。

 

 

 

ケンコー ミラージュ8×30W 8.2度

 

 

何度も比較対象に使われるケンコーミラージュです。3,000円の激安のくせに国産で良く見えるで有名な双眼鏡です。

とはいうものの、それは値段の割にはという意味で上の画像をご覧頂くとその特徴はお分かり頂けるでしょう。

中心部は結構シャープです。色彩もカートンよりは濃くコントラストもあります。良像範囲は狭く30%程度でしょうか、少し片ボケも入り周辺湾曲もカートンより大きいです。

45年前のスタンダード機と同様の見え方が、現代は3,000円で提供されるというのをむしろ良しとすべきでしょう。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、カートンの古い双眼鏡の見え方は今一つパッとしませんが小さく手軽に扱えてちょっとした星見の確認用に便利そうです。そして性能より何より私の様な回顧趣味の星オタが、お気に入りカートンの双眼鏡を通して45年前の星空を見ているという空想にかられることが楽しいのです。

凄いよく見える賞月観星やニコンとはまた別に、この双眼鏡も私の星友として観望の傍らにいる回数が多くなりそうです。

 

 

 

それでは、今日も双眼鏡のB級なレビューにお付き合い頂いてありがとうございました。(^^)