簿記1級保持者は簿記論に独学で合格できる? | 40代の税理士試験 挑戦の記録

40代の税理士試験 挑戦の記録

2019年に税理士事務所に転職し、税理士資格取得に挑戦。

地獄のような試験勉強の日々の記録を残します。

税理士試験1年目編に区切りがついたところで、簿記1級に合格した人は独学で簿記論に合格することができるのかどうかを考えてみたいと思います。

 

 

結論を先にいうと「戦略によっては独学でもいける」と思います。

 

 

もちろんスクールを利用したほうが合格確率は上がるとは思います

 

根拠を書いていきます。

 

 

 

①難易度は同等

 

私自身が感じた簿記関連資格の難易度の比較です。

 

簿記論を難易度10とした場合、

簿記1級は難易度9

簿記2級は難易度2です。(今の簿記2級は難易度4ぐらいあるのかも)

 

簿記2級から簿記1級へのステップアップはかなりの労力が必要です。

それに比べ簿記1級から簿記論へのステップアップはさほど苦労しないと思います。

 

 

なお、簿記1級は工業簿記と原価計算の学習が必要ですが、簿記論は簿記2級レベルの工業簿記の知識で対応できます。

工業簿記、原価計算が苦手な人にとっては、簿記論のほうが簡単かもしれません。

 

 

商業簿記に至っては、試験範囲はほぼ一緒です。

簿記論には簿記1級と違い、推定簿記という論点がありますが簿記1級の知識で十分対応することが可能です。

そのほか、簿記論のほうが深い知識を求められる論点もありますが、基本は簿記1級で学習済みのためあまり労力はかかりません。

 

簿記1級合格者は、市販の簿記論のテキストを1周するだけで試験範囲はほぼ網羅することができると思います。

 

 

 

②解答スピードは段違い

 

では、なぜ簿記論のほうが簿記1級より難易度が高いのか。

簿記論は超高速解答が求められるためです。

 

 

簿記1級(商業簿記・会計学)と簿記論の問題ボリュームを比較します。

 

私は簿記1級の受験当時、試験時間の90分を次のように割り振っていました。

総合問題(商業簿記) 60分

理論問題(会計学) 10分

個別問題(会計学) 20分

 

 

簿記1合格後、力試しに簿記論の過去問を解いてみました。

そのとき掛かった時間は次の通りです。

問1(個別問題×2) 40分

問2(個別問題×2) 40分

問3(総合問題) 90分

合計 170分

 

 

得点はボーダー近い点数をとることができました。ただ、掛かった時間は約3時間です。

本試験ではこのボリュームを2時間で対応しなければなりません。

ひえー。

 

 

もし独学で簿記論に挑戦しようと考えるのであれば、基本問題を繰り返し解いて問題慣れをする必要があります。問題を見た瞬間に電卓をたたき出すぐらいです。

 

また過去問や模試を分析し、時間が掛かる問題を見極める力と、その問題を切り捨てる覚悟を養う必要があります。

自分なりの解答戦略をきちんと確立することができれば、独学でも対応可能だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

次にスクールで学習するメリットを考えようと思います。

 

 

 

①簿記論では高速解答が必要なことを教えてくれる

 

私が受講した大原に限れば、頑張って早く解きましょう!と教えてくれます。

ただ、解答スピードを上げるためのテクニックはあまり教えてくれませんでした。スピードアップはあくまでも個人で試行錯誤する必要があります。

 

 

私自身は、簿記1級を学習したプロ簿記で教えてもらった時短テクニックが多いに役に立ちました。

簿記論に合格したときは大原には連絡しませんでしたが、プロ簿記の先生には報告のメールをすぐにしたぐらいです。

 

 

 

②演習が豊富

 

簿記論に関していえば、スクールを選択するメリットはここに集約されていると思います。

 

大原では、本試験直前期となるGW付近からは毎週のように模試が実施されます。

もちろん順位も出ます。

本試験形式の模試は、目標を定めて勉強に取り組むことができるためモチベーションの維につながります。

 

 

PCのフォルダを整理していたら当時の模試結果が出てきたのですが、GW直後にあった実力判定公開模試の私の成績は上位71%でした。

つまり、受験者が1000人いたら710位です。

 

当然おしりに火が付きます。

当時は財務諸表論の理論暗記ばっかりしていましたが、簿記論に本腰を入れるきっかけになりました。

 

 

解答スピードを上げるためにも、模試での演習は有効です。

大原では問題ごとの正答率が公表されます。

受験者の30%未満しか正答できていない問題は難問です。時短のために捨てるべきです。

逆に受験者の70%以上が正答できている問題は必ず正答しなければなりません。

 

このような分析は、限られた試験時間を有効に使う上でとても参考になります。

 

 

 

 

 

 

まとめ。

 

独学を選択するメリットはスクール費用を節約できることぐらいだと思います。

もし、お金に余裕があるならスクールで学習したほうが無難です。

 

だけど、簿記論単独で年間約20万円の出費は痛いですよね。

 

 

そのため、簿記1級合格者に限れば、模試が中心となる「直前対策コース」(大原の場合)だけでも受講することがオススメです。

 

簿記論を含めすべての科目において言えることですが、税理士試験は他の受験生と順位を争う試験です。

ほかの受験者のレベルを知ることはとても重要です。

 

 

 

もし、完全独学で臨もうと考えているなら、参考書で勉強するだけでなく、試験対策、解答戦略をネットで調べたり、簿記論合格者に聞いたりする必要があると思います。

 

ただ、茨の道になる覚悟は持っておいたほうがいいかもしれません。