地球外生命体へのメッセージを公募
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140520005
もし地球外生命体にメッセージを送る機会を得たら、あなたが伝えたい内容を想像してみて欲しい。
先週、ワシントンD.C.のスミソニアン博物館で、「The Future Is Here」というイベントが開催された。地球外生命体に向けたメッセージをNASAの無人探査機ニューホライズンに送信するプロジェクト、「ニューホライズン・メッセージ・イニシアチブ」(www.newhorizonsmessage.com
)の主催者、ジョン・ロンバーグ(Jon Lomberg)氏とアルバート・ユーミン・リン(Albert Yu-Min Lin)氏は、一般から募ったデジタルメッセージの送信に関して、NASAの同意を得たと明らかにした。
ニューホライズン・メッセージ・イニシアチブは全世界の人々を対象としたプロジェクトで、メッセージの内容は参加者によって決定される。2015年に冥王星のフライバイを予定するニューホライズンが、収集した科学データを地球へ送信した後にメッセージが送られるという。
人類初の太陽系外縁天体探査機ニューホライズンは、計画が順調に進めばいずれ太陽系を離れるコースを目指す。太陽系外に出る人工構造物としては、パイオニア10号と11号、ボイジャー1号と2号に続いて5番目となるが、ニューホライズンだけは地球外知的生命体に向けたメッセージを搭載していない。
ミッションの主席研究官を務めるアラン・スターン(Alan Stern)氏によると、打ち上げ当時の2006年は予算が非常に限られていたため、さまざまなミッションが除外されることになったという。
「(地球外知的生命体への)メッセージ搭載は、計画の本来の目的から外れると判断した。デジタルメッセージを地球から送信するというアイデアは素晴らしいと思う。データ受信に専用機器は必要ないので、それほどコストはかからない」とスターン氏は話す。
◆メッセージの内容は自由
このアイデアを思い付いたのは、「ニューホライズン・メッセージ・イニシアチブ」のロンバーグ氏だ。同氏は1977年、科学者で作家のカール・セーガンらとともに、ボイジャーに搭載された“ゴールデンレコード”の制作にも関わっている。当時、地球外知的生命体による発見を期待して、地球上の自然や生物、文化的所産などを伝える数々の画像や音声が金メッキのレコード盤に収録された。
だが今回のプロジェクトは、ボイジャーの試みとは全く別物と言ってよい。ごく一部の専門家がわずか6週間という短期間で制作したゴールデンレコードとは異なり、ニューホライズンに送信されるメッセージは、不特定多数から募集した内容になるからだ。
プロジェクトの応募は世界中の誰でも可能で、画像や音声、ソフトウェアなどのフォーマットが予定されている。また、実際に送信する内容を決定する投票にも参加できる。ロンバーグ氏は、「全体的な構成についてはこちらから提示する予定だが、内容に関して制約は設けないつもりだ」と語る。
◆送信までには数年かかる可能性も
プロジェクトの正式な発足は今年の8月25日に予定されている。だが、メッセージの送信は数年後になる可能性もあるという。ニューホライズンが冥王星の観測データ送信を完了するには1年以上必要だが、それまでは搭載コンピューターの記憶容量に余裕がないからだ。「地球からはるか遠くのニューホライズンは、ダイヤルアップ接続並みの速度でデータをダウンロードする」とロンバーグ氏。
ニューホライズンのミッションは、冥王星の探査以降も続く可能性がある。NASAのスターン氏は、太陽系外の天体密集領域、エッジワース・カイパーベルトでもフライバイを試みたいと考えており、メッセージの送信はさらに先送りされることになる。「今回のプロジェクトは、科学的探査に支障をきたさない範囲で実施したい」とスターン氏は話す。
ただし、ロンバーグ氏は楽観的だ。「ニューホライズンが無事で無線が使える状態ならば、急いでメッセージを送信する必要はない」。
この機会にあなたも考えてみてはいかがだろうか。青い地球に存在する生命について伝えたいメッセージがあるか。さらに、一生命体として、われわれ自身と未知の地球外生命体に向かって何を語るべきなのかということを。
(2014年5月20日 National Geographic News)