--
(前回のオーケストラのメールの通し番号が間違ってました。正しくは(その843)。なので、このメールは(その844)です。
--
最近、日本人の文明は世界の四大文明よりもだいぶ前から始まっていて、ひろしが小学校、中学校と習っていた歴史とはかなり違ってきています。
(世界の四大文明、というのも日本だけで教えていることで、これもオオウソです。念のため)
例えば、日本人の起源は5万年位前にアフリカで人類が発祥し、それがヨーロッパ、中東→インド→東南アジア、中国、朝鮮半島→日本、と移動してきた、という説を教え込まれた。
これは、現在の『人類』が『同じ祖先』という前提で考えられている。
今の人類は『ホモ・サピエンス』という種類。
が、最近は、日本人の起源は今から15万年前に遡(さかのぼ)る、という説が出てきて、かなり信憑性(しんぴょうせい)がある。
これは『歯型』から起源を遡(さかのぼ)り、『ヒト』という種類を分類していく方法でわかってきたことで、歯型から『どれとどれが同じ』で、『どれとどれは違う』、ということがわかるそうだ。
それを調べると『西欧人(ヨーロッパ、アメリカ)』、『中東』、『東南アジア』、『中国』、『朝鮮半島』の人類は同じ種別になり、『日本人(の多く)』はそれらとは違う種別になるという。
もちろん途中で混血しているので、完全に分かれているわけではない。
とはいえ、日本人の祖先が15万年前まで遡れ、西欧人たち(中東、東南アジア、中国、朝鮮半島含む)の祖先が5万年前に遡る、ということであればその間に10万年という開きが出てくる。
この10万年の開きが日本人の感覚と西欧人の感覚の違いを生んでいるわけだ。
--
例えば、ついこの前読み終わった本に『肉食の思想(鯖田豊之著)(←1966年刊。ひろしが生まれる前に出版された本)』があるんだけど、ここでは冒頭、ヨーロッパの人は、焼き鳥を食べる日本人を見て『小鳥を頭からかじるとは、なんと残酷な!』と言いながら豚の頭や兎の丸煮をフォークで突(つつ)いている、というような文節がある。
しかも日本人が肉を食べるときはその動物は原型を留(とど)めていないことが多いが、ヨーロッパの場合は原型が分かる状態で食卓に載ることが多い。
つまり、豚肉を食べる場合、豚の頭とかがそのままの状態で調理され、食卓に載る。
それを家族で突いて食べるわけだ。
そんな日本人の感覚では到底考えられないようなことを平気でしながら、ヨーロッパの人は小鳥よりはるかに大きい牛、豚、馬などを屠畜(とちく)をして喰う一方で動物愛護を声高々に訴える。
この『肉食の思想』という本はここからヨーロッパの文化と日本の文化の違いを紐解(ひもと)いていくわけだけど、どっちがいい、悪い、ではないけど、それでもヨーロッパと日本だと随分、感覚が違うわけだ。
--
で、ハナシを日本の歴史に戻すわけだけど、例えば『青銅器』とか『鉄』を日本人が使い始めた時期もひろしが習ったころとは随分変わってきている。
例えば『鉄』については、4~5世紀(西暦300年代~400年代)にかけて、仏教と共に中国で使われていた鉄が、朝鮮を経由して伝わってきた、と習った。
中国、朝鮮の方が文化が進んでいて、日本は遅れていた、ということだ。
が、その『鉄』は福岡県春日市(かすがし)の赤井手(あかいで)遺跡で紀元前10世紀(紀元前940年ころ)に作られた鉄が出土している。
そして、鉄が伝わってきたとされる前の3~4世紀には淡路島に『鉄の生産工場』が作られていたことが遺跡によってわかってきた。
更に言うと、こういったことから日本で鉄が作られ始めた頃を逆算する(実際の遺跡などからの出土品から考える)と今から6,000年くらい前という推測が立つそうです。
そうすると日本が鉄の文化を輸入したのではなく、逆に輸出していた、という推測もできる。
つまり、ヨーロッパで鉄が作られるようになったのは3,000年くらい前だそう。
そうなると日本で作られていた鉄が西へ西へと広がってヨーロッパに伝わったと考えるのが筋になってくる。
で、日本から普及した鉄は日本では専(もっぱ)ら農機具(鍬(くわ)など)に使われ、ヨーロッパでは農機具としてももちろん使われただろうが『武器』としても使われた。
人を傷つける道具になったわけだ。
日本ではみんなが幸せになるために鉄を使い、ヨーロッパでは戦争の道具として使われた。
この違いは大きいと思うのだ。
--
人類の歴史としても10万年の差があるわけで、もちろん気候により作ることができる農作物も違ってくるわけであるけど、この10万年の叡智(えいち)の蓄積が日本人の優れたところだ、と思う次第。