私のブログを読んでくれているお友達から、
「最近、赤身のお肉を食べてるよー」とメッセージが来ました。
お友達や読者の方からいろいろな反応をいただけるのは、とても嬉しいです。
アメリカに住んでいるうちは、仕事(医療行為)はできません。
しかし、お友達と気兼ねないお付き合いができた中から、
普段どんなことに悩んでいるのか、どういうことが知りたかったのか、
そういう「患者様の声」を拾えたことは、本当に大きな財産ですし、
ブログを読んで実践したよ!という報告や、質問などなど、
私の励みになっています。
日常診療では、なかなかゆっくりお話しできませんし、
どうしても「治療」の比重が大きくなってしまいますから…
日本にいる時と形こそ違えど、周りの方のお役に立てて、とても嬉しく思っています。
さて、赤身のお肉やお魚を食べるといいですよ、というお話は
何回もブログで書いているのですが、
今日は栄養素とコラーゲンに焦点を当ててみます。
コラーゲンは真皮に含まれる線維で、肌の弾力を維持するのに必要な要素です。
コラーゲンと聞くと、コラーゲン入り化粧品やコラーゲン鍋が思い浮かびますが、
これらは残念ながら、真皮のコラーゲンに直接は結びつきません。
↑化粧品は、表皮の一番上の角質層までに留まるんでしたね。
(図で言うと、黄色の平べったい長方形が並んでいるところです)
化粧品に入っているコラーゲンは、角質層に水分を集めるために入っています。
そのまま真皮に潜り込んでいくわけではないんです。
コラーゲン鍋に入っているコラーゲンは、消化の過程で一度アミノ酸にまで分解されてから、
再び体のあちこちで繋ぎ合わされ、たんぱく質になります。
食べた分の一部は皮膚に分配されますが、全てがコラーゲンに戻るわけではないんですね。
さて、そのコラーゲンを合成するためには、様々な栄養素が必要です。
コラーゲンと言えばビタミンC!というのはよく知られているのですが、
実はそれだけではダメなんですよ。
コラーゲンは、アミノ酸が数珠つなぎに繋がってできているのですが、
丈夫な線維になるために、3重のらせん構造になっています。
より糸のようになっているんですね。
↑ちょっとオシャレな写真で例えると…
1個1個の真珠がアミノ酸、それが繋がってたんぱく質(コラーゲン線維の元)となり、
それが合わさって3重らせん構造を作り、コラーゲン線維になります。
この写真では2重らせんですが…実際はもう1本加わるということですね。
この、らせん構造を作る時に、ビタミンCと鉄分が必要なのです。
ここで言うビタミンCは、体の内側からのビタミンCです。
つまり、口から摂取した分ですね。
化粧品で塗ったビタミンCではないので、ご注意を。
まとめると、コラーゲンを作るのに必要なのは、
原料のアミノ酸(食事で言うとたんぱく質)、ビタミンC、鉄分となりますね。
鉄分にはいろいろな種類がありますが、
動物性の食材に含まれるヘム鉄が、吸収効率の面で優れています。
そのため、赤身のお肉やお魚(カツオなど)がいいよ、と
お伝えしていたんですね。
たんぱく質も、しっかり摂れますし。
ただし、ビタミンCはお肉やお魚では少ないので、別の食材から摂ってくださいね。
特に女性は、生理で周期的に血液を失いますので、
鉄分が不足してしまいます。
成長期のお子さんにも、鉄分が必要です。
ご家族みんなで意識的に摂りたい栄養素ですね。
妊娠中にシミができやすくなる理由にも、鉄分が関係していますよ。
鉄分は、一般的に貧血というイメージが強く、
美容と結びつきにくいかもしれません。
しかし、いろいろなところで役に立っている栄養素なので、
ぜひ意識して取り入れてみてくださいね。
あ、コラーゲンと言えば…
コラーゲンは「焦げ付きやすい」たんぱく質です。
肌のくすみの原因の1つになるので、ぜひこちらの記事もご覧下さいね。