水中カメラマンのデスクワークな日々 -2ページ目

31台の山車が整列「はんだ山車まつり」(愛知県半田市)



先週末(10月28日)愛知県半田市で6年ぶりに開催された「はんだ山車まつり」へ行ってきました。

このお祭りの最大の見所は、31台の山車が一か所に集まり1列に並ぶ所です。

曳山祭りの撮影は、今まで何度も行っているのですが、ほとんどの曳山祭りで山車が一か所に集結し一列に並ぶ場面があります。

映像 ”映え” として、それが最大の見所なのでそのシーンを撮影する事が大切です。

多くの曳山祭りでは、山車の数は多くてもも10台前後ですが、「はんだ山車まつり」ではなんと31台。

しかも、5年に一度しか開催されないお祭りなので、これはなんとしても撮影しなければと思い行ってきました。

今回も 3D VR180 での撮影が主目的です。

31台の山車が勢揃いする壮観なシーンは、3D VR180映像だからこそ伝わる映像表現だと思います。

いろんな祭りを3D VR180 で撮影していて思う事に、祭りの会場の雰囲気もよく伝わると感じます。
通常の映像(動画でも写真でも)は、いい場面だけをフレームで切り取ります。
つまり、撮影者の主観で、不要な部分は写さないよう「構図をキメる」わけです。
結果的に、祭りの会場の本当の雰囲気が動画や写真を見てもわからないわけです。


VRの場合、180度でも360度でも、本来の撮影者の主観では写したくない不要な部分まで写ってしまう事で祭りの会場の雰囲気までもよく伝わるというわけです。

動画( 3D VR180 )をYoutubeにアップしました。



2023年9月の伊豆大島ロケから 3D VR180映像

伊豆大島はロケ先としてよく行く撮影地です。

 

伊豆大島へよく行くきっかけとなったのは、伊豆大島のダイビングショップの集まりである「大島ダイビング協議会」が行ってくれている「プロ水中カメラマン誘致企画」です。

 

かつては、つまり、インターネットの影響力があまりなく、ダイビング雑誌のメディアがダイバーにとっての最大の情報源であり、ダイビングショップにとってはPR手段であり、唯一の広告媒体であった時代は、 ダイビングショップがダイビング雑誌へ広告費を支払う事で、ダイビング雑誌社がプロ水中カメラマンを派遣しロケを行い雑誌に特集記事と広告を掲載するというビジネスモデルが成り立っていました。

 

しかし、時代は代わり、インターネットやSNSの普及によりダイビング雑誌の影響力が無くなり、そして廃刊。


ダイビングショップもプロ水中カメラマンも、それぞれ独自に新しい活路を見出さなければならなくなりました。
独自に新しい活路を見出すといっても、単独でできる事には限界があります。


プロ水中カメラマン誘致企画」は、伊豆大島のダイビングショップとってもプロ水中カメラマンにとっても、WIN-WINの関係が築けるとても素晴らしい企画だと思います。

 

また、私の場合、水中撮影だけではなく、陸上の撮影も同じくらい、むしろ陸上撮影の方が多いくらいなのですが、それでも寛大に受け入れてくれてとても感謝しています。

 

先月の伊豆大島ロケは、3D VR180 の水中撮影が最大の目的ではありましたが、伊豆大島の魅力はダイビングだけでなく、島の各地でみれる火山島ならではの独特の景観もあります。

 

3D VR180でなんとか撮影したかった伊豆大島の動画をYoutubeにアップしました。

 

是非ともVRヘッドマウントディスプレイで視聴して頂きたいと思います。

まさに伊豆大島の現地のその場にいつような体験ができます。

 

 

[ 8K 3D VR180 ] 伊豆大島・裏砂漠~三原山:YouTubeのリンクはここ

 

[ 8K 3D VR180 ] 伊豆大島の海岸風景:YouTubeのリンクはここ

 

[ 8K 3D VR180 ] 伊豆大島「地層大切断面」:YouTubeのリンクはここ

 

[ 8K 3D VR180 ] 伊豆大島の神々しい森と神社:YouTubeのリンクはここ

 

最後に以前も紹介した伊豆大島ロケの「3D VR180の水中映像」

[ 8K 3D VR180 ] 伊豆大島 3D バーチャル・ダイビング:YouTubeのリンクはここ


 

浅草寺「金龍の舞」の 3D VR180 8K 60P 映像撮影




昨日は、地元の #浅草で 浅草寺の #金龍の舞 が行われました。

毎年3月18日と10月18日に奉演されます。
3月18日は、 本尊示現会も開催されるので、こちらも見応えがある行事(三社様の三基の本社神輿が浅草寺本殿へ堂入れ)です。

金龍の舞は本殿と伝法院との間の広場で行われますが、舞が始まる前に、

伝法院→仲見世通り→雷門→仲見世通り→宝蔵門→本殿

と移動してきます。
舞の後は、

本殿前でしばらく観光客へのサービスタイム? →宝蔵門→仲見世通り→伝法院

へと戻ります。

映像「映え」は、舞の前後の移動タイムがねらい目だと思います。



話は変わって、

いつもは、3D VR180 は、8K 30P に仕上げるのですが、今回は、8K 60P に仕上げました。

今まで沢山祭りの3D VR180を撮影編集してきましたが、動きの激しい被写体は、30P だと違和感を強く感じる事があります。

なので、動きの激しい被写体を狙う時は、60Pで撮影するのですが、

60Pで撮影する時のカメラの設定は、

GoPro Hero 11 の場合 4K60P

Panasonic Lumix の場合 3K60P

となり、実際に得られる 片眼の映像は 縦横3K の 60P

つまり、3D VR180映像 としては6K 60Pの映像となります。

今回は、8K 60P に仕上げているのは、素材を 136% 拡大しています。

最近の生成AIの進化で、AIによる映像の拡大(アップスケール)の品質はとてもすばらしく、200~300%の拡大ならまったく気にもならないレベルだと思います。
ただ、処理時間もそれなりにかかるので手軽に活用するわけにもいきません。

今回は、136% の拡大なので、AIではない通常の拡大処理に多少にシャープネスをかけた程度の処理です。

そもそも「動きの激しい被写体」の動画の場合、重要なのは、1カット毎を静止画で観た時の鮮明さより、自然なモーションブラー(動きによるブレ)です。

動画撮影で、わざわざNDフィルターをつけて、シャッター速度が速くなりすぎないようにして撮影するのは、自然なモーションブラーを得る為です。

なので、

6K 60P → 8K 60P

への多少の拡大処理は、さほど拘る必要もないかな?
とも感じています。

そしてなにより 8K 60Pの 3D VR180映像をスムーズ再生できる VRヘッドマウントディスプレイは、現状では最新機種のみと限られています。

そう思うと、8K 60Pに仕上げるより、6K 60P どころか 4K 60P に仕上げる方がより多くの視聴者には親切なのかもしれません。

ちなみに、私のヘッドマウントディスプレイ(MetaQuest2、PICO G3)も8K 60Pはカクカク再生してしまうので、4K 60Pにダウンコンしたものを再生して確認しています。

「動きの激しい被写体」の3D VR180場合 8K 30P より 4K 60P の方が、違和感なく観れる気がします。

なかなか悩ましいところです。


伊豆大島の 水中 3D VR180 映像

先週の伊豆大島ロケの「3D VR180の水中映像」をYoutubeにアップしました。



DEOVR と MetaQuest TV の方も、アップロードしています。

オリジナル8K 解像度ですが、Youtubeでは、4K解像度の画質に落ちてしまうのですが、VRヘッドマウントディスプレイをお持ちの方は、DEOVR や MetaQuest TV の方で是非ご視聴下さい。

DEOVR
https://deovr.com/channel/aquageographic
MetaQuest TV / Oculus TV
https://creator.oculus.com/community/116702404647474/


3D VR180の水中撮影機材は、前回のブログで紹介しました。

AOI製のワイコンは、画角が180度より狭くはなりますが、水中マスク越しの画角よりは広いので水中VR映像としては違和感がありません。
また、レンズ間距離(=IPD)が10cmと広くなる件に関しては、編集で視差を調整する事でかなり改善できたと思います。

MAXモジュラーレンズ対応防水ケースでの撮影映像は、フル180度のVR180ですが、画質がワンランク、いやツーランク落ちます。
画質に難があるとはいえ、被写体に思いっきり近づいて撮影できるので、このような用途に限定して今後は使用していこうと思います。
 

3D VR180 水中映像撮影用 水中カメラ機材

アクアジオグラフィックとして 3D VR180 で撮らなければならないのは、やはり水中映像です。

3Dカメラに限らずですが、カメラ/ビデオ機材のほとんどが、水中撮影用途の事なんてまったく 考慮していない設計です。

普通のカメラ/ビデオ機材でさえ水中用途で苦労する所を3D VR180 になるとなおさらです。

2023年の時点で考えられる機材の選択肢から現実的な運用を考えた上で用意したのが今回紹介する GoPro Hero 11 Black (9,10,12でもOK)で組んだこのシステムです。
 

画像上は、GoProの防水ケースに AOI製の 0.73倍のワイドコンバージョンレンズUWL-03を付けたものを2台並べたもの。

画像下は、MAXモジュラーレンズ対応のGoProの防水ケースを2台並べたものです。

MAXモジュラーレンズ対応のGoProの防水ケースは、純正品にはありませんが、amazonなどの通販サイトで何種類か見つける事ができます。
価格が、1台3千円前後と安いのはありがたいのですが、MAXモジュラーレンズを覆うドームポートの水中光学性能がやや難があります。

AOI製の 0.73倍ワイコンは、画角が140~150度程度なので厳密にはVR180より若干狭くなります。

MAXモジュラーレンズ対応の防水ケースは、画質にはやや難があるもののほぼ全周180度カバーします。

そして、画像下を見てわかるようにMAXモジュラーレンズ対応の防水ケースではレンズ間を寄せて撮る事ができるので、かなりの近接撮影でも、立体視3Dでは視差を小さくできます。

AOI製の 0.73倍ワイコンは、画質は良いのですが、レンズ径が大きい(約11cm)為、IPD(瞳孔間距離=レンズ間距離)も11cmと離れてしまい、近接撮影には不向きです。

水中撮影の場合、陸上風景と異なり水の透明度がどんなに良くても30m~40m、透明度が30m~40mあっても5m~10mも離れると水のフィルターで鮮明度は大きく失われます。

なので必然的に水中では被写体までの撮影距離が1m前後、できれば50cm以内、イルカのような大きな生き物でも2~3m以内が現実的な撮影距離となります。

このような事情からAOI製の 0.73倍ワイコンでのIPD(瞳孔間距離=レンズ間距離)11cmは離れすぎているのです。

そこで、3D VR180 の編集作業の前処理として細工を行います。

水中撮影では「水のフィルターにより遠景が写らない」という事を逆手に利用し、撮影映像のIPD(瞳孔間距離=レンズ間距離)を狭める=視差を狭くする、作業を行います。
3D VR180 の編集は、Adobe の After Effect で行っているのですが、細工作業を行っては VRヘッドマウントディスプレイで試写し確認し、また細工しては試写し確認をし最適な状態を探るという作業です。


あと、画像を見てお気づきだと思いますが、カメラの後ろ(ビデオライトのアーム)にいっぱいついているのはフロート(浮き)です。

カメラ機材が重いというわけではなく、フロート(浮き)を付けて上にぴっぱり上げ、相対的に重心を下にする事で、昔ながらのスタビライザー効果を得る事ができます


先週の伊豆大島ロケの「3D VR180の水中映像」をYoutubeにアップしました。