sati37のブログ -5ページ目
<< 前のページへ最新 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5

「NINAGAWA十二夜」@新橋演舞場

27日の昼公演で、今回が再々演となる「NINAGAWA十二夜」を見てきました。 過去2回の歌舞伎座での公演も見ていますが、今回はこれまで上演してたエピソードの一部をカットしたことでリズムが生まれ、個人的には、いちばんよかったです。


シェイクスピアの登場人物を日本での出来事ということで、次のように置き換えています。それも主要人物をほぼすべて。司祭は出てきませんけどね。しかし、名前、よく考えたなぁと感心してしまいました。


ヴァイオラ(琵琶姫) 菊之助

シザーリオ(獅子丸) 菊之助

セバスチャン(斯波主膳之助) 菊之助


マルヴォーリオ(丸尾坊太夫) 菊五郎

フェステ(捨助) 菊五郎


オーシーノ公爵(大篠左大臣) 錦之助

オリヴィア(織笛姫) 時蔵

サー・トービー・ベルチ(左大弁 洞院鐘道) 左團次

サー・アンドルー・エーギュチーク(右大弁 安藤英竹) 翫雀

マライア(腰元 麻阿) 亀治郎

アントーニオ(海斗鳰兵衛) 権十郎

キューリオ(久利男) 松也

ヴァレンタイン(幡太) 秀調

フェービアン(比叡庵五郎) 團蔵 

船長(舟長 磯右衛門) 段四郎

役人(役人頭 嵯應覚兵衛) 亀三郎


話は「十二夜」の舞台をそのまま日本に移していますので、筋書きは省略しちゃいますが、オープニングのオリエンタルな感じで、歌舞伎だけど歌舞伎じゃないと思わせておいて、始まると思いっきり歌舞伎という蜷川さんの高笑いが聞こえてきそうな舞台です。それと、なんと言っても、菊五郎・菊之助親子が、一人何役も演じており、その早変わりも見ものです。菊之助さんは、ほんとうに綺麗で次世代を担う女形なんだなぁと見ほれてしまいました。しかし今回は、それにも増して菊五郎さんがすごいです。舞台に立っているとそこにスポットがあたっていなくても存在感がビンビン感じられるんですから。圧巻でした。



この日は、「NINAGAWA十二夜」の余韻にひたるべく演舞場から程近いワインバー「Le Nougat」に行き、昼公演後のまだギンギラ明るい銀座で飲んでしまいました。夜、野菜料理を食べに行くのに……。でもおいしかった。

二重な幸せ。



「狂言劇場 その六」@世田谷パブリックシアター

忘れないうちに書いておかないと。24日にAプロを観てきました。

今回は来月、世田谷パブリックシアターで上演されるミラノ・ピッコロ座の「アルレッキーノ ~二人の主人を一度にもつと」とシンクロするように企画されているようで、プログラムの巻頭に野村萬斎さんが下記のように書かれています。


私のイギリス留学中、狂言に対して同じく中世に起源を持つ / イタリア伝統の即興仮面喜劇(コンメディア・デッラルテ)との共通性を説く文章をたびたび目にしました。真偽の程は? / 今回は、コンメディア・デッラルテを現代に蘇らせたといわれる / ミラノ・ピッコロ座『アルレッキーノ』が7月で当劇場で上演されるのにあわせて、 / 東西の伝統喜劇を見比べていただこうと思います。 /『アルレッキーノ』の<二人の主人を一度にもつと>という副題にあわせ、 / その状況に共通性のある2つの狂言『二人大名』『縄綯』、そして面を使う『雷』『清水』、さらには古典狂言には珍しく即興の余地が残された『博奕十王』という作品を選びました。 / 狂言のバリエーションの豊富さをお楽しみいただき、 / また『アルレッキーノ』と見比べていただくと、なお面白くご覧いただけると思います。 / (以下略)



Aプロはこういうお話でした。


「二人大名」

通りがかりの男(万作さま)が、二人の大名に声をかけられて強引に家来にさせられ、太刀を持たされるが、とつぜん逆ギレして、持たされた刀を抜いて大名を脅す。脅された大名太刀は、今度は男の言うことを聞かざるを得なくなり……。


「縄綯」(なわない)

太郎冠者(萬斎さん)は、バクチに負けた主人の借金のカタにされてしまうが、そのことを聞かされずに相手の家に行かされる。行った先で売られたことを知り、へそを曲げた太郎冠者は新しい主人の言うことをなにも聞かないのでクレームとなる。そこで、元の主人が連れ戻すと太郎冠者は喜んで働きはじめ、行かされた家の家人の悪口を言いはじめるが……。


「能楽囃子」


「雷」
京都で食えなくなった藪医者が東下りの道中でとつぜんの雷雨にあう。するとそこに雷様(萬斎)が落ちてきて、腰をしたたかに地面に打ち付けた。藪医者が針治療を試みると、雷様はその痛みに悶え苦しむが治る。すると藪医者が治療費を請求するが雷様には持ち合わせがなく……。


万作さまはいつも通りの完成された演技。今回よい意味でびっくりしたのは萬斎さんの復活ぶりです。私が萬斎さんを前回観たのは、サントリーホールでの「三番艘」でして、そのときは、おどろくほど精彩に欠けていたので、どうしちゃっとの? だいじょうぶかしらと思っていたので。あー、よかったよかった。


能楽囃子に出ていた大鼓の亀井広忠さんは、留学帰り後としては初めて観ましたが、あんまり変わってませんでした。たまに自分が思いっきり出ちゃうっていう意味で。まだまだお若いのね。


さあ、来月4日は「アルレッキーノ」。狂言とコンメディア・デッラルテの同じと違いを存分に楽しむぞぉ。

「アンドゥ家の一夜」@さいたま

さいたま芸術劇場に行ってきました。と言っても、20日の土曜日ですけど。蜷川幸雄さんが主宰をしてる、さいたまゴールデンシアターのお芝居を見に。さいたまゴールデンシアターのお芝居は、毎回欠かさず見ています(って言っても、まだ3回目ですけど)。今回の「アンドゥ家の一夜」は、ケラさんの脚本なんですけど、6月7日のケラさんのブログには、まだ6割しか書けてないって出てて、えーーー18日が初日なのに、ケラさんの本は長いのに、あの平均年齢70歳のゴールデンシアターの役者の皆さま方が、台詞を覚えられるのかしら??? などと心配していました。


赤羽から埼京線に乗って、与野本町で降りて、その日は梅雨に入っていたけど、なんとかお天気がもっていました。劇場は、いつも蜷川さんがシェイクスピアの全37作を松岡和子さんの新訳で上演してる大劇場ではなくて、その隣にある小劇場のほうです。この劇場は、かたちが変わっていて、コの字型に座席があって、それを囲むようにステージがつくられていて、さらにその奥には本ステージあるんです(もちろん2つはつながっています)。


電車の都合で、っていうか埼京線の本数が少ないんで、10分前くらいには入場して、席に向かおうとホールの中に入ったら、すでに役者さんたちがたくさんステージに立っていて、なんか始まっちゃってるの? っていう感じでちょっとびっくりしましたが、黒いTシャツを着たスタッフの方たちも舞台上にいらしたので、演出だとわかりました。席に座って、役者さんたちを見ていたら、台本を持った蜷川さんが目の前に現れたんで、びっくり。そして、セットの椅子に座られて、真剣に役者さんの演技をご覧になってると思いきや、すっと立ち上がると役者さんになにやら声をかけられて、また他の役者さんのところへ……。


ステージ上にいらした、役者さん、スタッフが、さーっと引き上げると暗転して、照明が灯くと、広い舞台に2~4人で話が始まり--アンドゥさんの奥さまにアンドゥさんの主治医が、「アンドゥさんは、あと数日だろう……」という会話。そしてアンドゥさんから秘書への「(演劇部の顧問だったときの教え子の)城ヶ崎さんに会いたい」という指示。ケラさんのよくやる前段でシチュエーションをつくるスタイルですね。


ここで暗転。ナイロンの公演なら、映像が流れるところですが、今回はさいたまゴールデンシアターで蜷川さんの演出ですから、そうはなりません(笑)。で、いきなり今度は大勢の人たちが現れる。アンドゥさんの最後に立ち会うために。アンドゥさんの兄弟、アンドゥさんの教え子たちとその家族、アンドゥさんのお友だち、アンドゥさんの奥さんのお友だち、隣人……、それぞれが何かを抱え、別々のことを考えているけど、アンドゥさんの家の1階に出たり入ったりしながら、付きつ離れつ物語が進んでいきます。さいたまゴールデンシアターの40人を超える劇団員すべてに、ケラさんが舞台上の人物を与えているので、さまざまなエピソードが繰り広げられます。


しかし、肝心な城ヶ崎さんはこないんです。その間アンドゥさんは、ベッドで寝たきりなはずなのに、幽体離脱? を繰り返し、縁の深い人たちの前に現れる。


城ヶ崎さんは現れるのか? アンドゥさんの最期は? そして、物語の結末は? と続いていきます。



個人的には、最近のケラさんらしい終わり方でした。ちょっと、語りすぎかなって思わなくもありませんでしたけど、これもありかなって。というわけで、とってもよかったです。



これは蛇足ですけど、私が行った日は、プロンプが何人も付いていました。そして、その中には蜷川さんも。蜷川さんがプロンプターをされてる姿なんて初めて見ました。でも、そのプロンプがとっても堂々としてて、歌舞伎座に開演したてのころに行くと聞こえるのとは大違いで、これはオッケーだなって思いました。


途中休憩込みで3時間20分の力作でした。楽しかった。でも帰りの電車の中ではいろいろ考えさせられる、すばらしいお芝居でした。役者の皆さん、蜷川さん、ケラさん、そしてスタッフの皆さん、ありがとうございました。




<< 前のページへ最新 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5