MLBとスミソニアン (還暦アメリカ東部ひとり旅)−15 | 旅歩き&美味しいもの探し人 byちゅーぐ

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街歩きして、ホテルに泊まって、美味しいものを食べる。
それが私の旅スタイルなんです。
鉄道と飛行機旅が特にいいですよね〜。

6.ヤンキースタジアムでシナトラを その2

  アーロンジャッジ3号ホームラン!

 

 

 72丁目からB号線でブロンクス方面へ向かい、145丁目でD号線に乗り換えて161丁目へ。161丁目駅に到着すると乗客が一斉に下車し始めた。「何事?」と思い、駅名標を見ると161 Avenue の下にYankee Stadiumと書かれていた。高架駅と思い込んでた私は慌てて席を立ち、他の乗客の後を追った。危ないところだった!心からホッとする。ヤンキースタジアムは治安の良くないマンハッタン北側のブロンクス地区にあり、乗り越した先にどんな危険な場所があるのか想像出来ない。

 駅から地上へ出ると、夢にまで見た憧れの「ヤンキースタジアム」の威容が目の前にあった。

 「遂にここまで来た!」とガッツポーズをしたい気持ちをグッと抑えながら入場の列に並ぶ。2009年4月に新ヤンキースタジアムが完成して8年経つが、未だに新築の美しさを保っていた。ヤンキースタジアムの入場券は、転売防止のためスマホでQRコードを表示させる電子チケットだった。私は列に並んでスマホアプリでQRコードを表示していたが、電波状態が良くないのか突然接続が切れ表示が消えた。慌てて再接続を図るが上手く繋がらない。焦りながらもアプリを起動させ、QRコードをスキャンして入場した。スタジアム周辺での電波状態を改善して欲しい。

 中に入るとスタンド脇のコンコースがゆったりと広く、天井もスタンドと同じ高さで気持ちの良い空間となっていた。壁面にはベーブルースやゲーリッグなどのレジェンド・プレイヤー達の大きな写真がバナーで飾られていて球団の長い歴史を感じた。

 少しコンコースを歩き、入口近くの公式ヤンキースショップに入る。スタジアムジャンパーが欲しかったが約3万円と高額なので諦めた。シカゴで公式カブスショップに入った時もパーカーが1万円超で高いなと感じたが、ここでも事情は同じだった。

 オペレーターが操作する大きなエレベーターに乗って300レベル(3階席)へ上がる。私の席は400レベルなので、更に階段を1フロア上がったところだった。席は最前列でスタンドの柵上部に厚い強化ガラスが入り観戦しやすい構造になっていた。

 12時過ぎで空腹を感じ、300フロアに並ぶ売店で昼食を選ぶ。やはり食べ飽きないホットドッグと思い、ネイサンズ(Nethans)で買い求めた($5.75)。ここはニュースで取り上げられる「国際ホットドッグ早食い選手権」を主催する有名店だ。

 フードファイター小林尊氏が2001年から6連覇したのが良く知られている。カウンターで受け取るとやはりここも牛肉ソーセージだった。刻んだピクルスを自由にトッピング出来たので、かなり多めに乗せる。飲み物は隣の店でレモネード($5.25)を買って、近くのピクニックテーブルでランチとした。

 ネイサンズのホットドッグは伊達に有名店ではなくて、パンとソーセージがバランス良くとても美味しい!今朝食べたシェイクシャックより一日の長があるように感じる。ホットドックだけでは物足りないので、フレンチフライ($7.5)を追加購入したが、手渡されたポテトの量は日本のLサイズの5〜6倍はあろうかという超アメリカンサイズで驚く。店舗横にあったディスペンサーでケチャップを掛け、自席に持ち帰る。救いだったのは塩が振られてなかったことで、試合観戦しながら大量のポテトを何とか食べ切った。

 この日ヤンキースの対戦相手は同じアメリカン東地区のタンパベイレイズだった。試合開始30分前にスターティングメンバーが大きなLEDボードにプロフィールと共に映し出された。その中で気になった選手は、7番ライトのジャッジ(#99)と8番キャッチャーのヒガシオカ(#38)。体格良いジャッジはファンの声援が大きく、ヒガシオカは今日メジャーデビューとアナウンスされていた。

 試合開始寸前にスタジアム全員が起立脱帽して国歌斉唱をする。凛とした空気に包まれたこの感じは段々とクセになりそうだ。

 ヤンキースタジアムは比較的新しいので、いくつもあるボードには選手の打率、ホームラン数、ピッチャーの球数、防御率は勿論のこと、他球場経過がピッチャー名も表示されている。この日、シアトルマリナーズは岩隈、ロスアンジェルスドジャースは前田が先発と分かった。翌日はヤンキースの先発が田中将大だったようで何とも残念だった。

 試合経過は終始ヤンキースがリードしたまま試合後半になっていた。7イニングストレッチで、座席を立ち「ボールパークに連れてって」をボードの歌詞を見ながら歌う。これは何度体験しても観客との一体感が心地良い。

 ジャッジの3号ホームラン(この年、彼はアメリカンリーグ本塁打王となった)も出て、ヤンキースが8対4の4点リードで9回を迎えた。4点差はセーブが付かないので、クローザー(抑え)チャプマン(MLB最速投手)の出番は無いと思われた。ところがピッチャーがレイズ打線に打たれ、1アウト1・2塁になった。突然球場内にサイレンが鳴り響き、ボードにバーニングフレイム(燃える炎)のアニメーションが流れた。それらがチャプマン登場の演出だった。するとブルペンから存在感ある大きな選手が駆け足でマウンドへ向かった。何球かのウォーミングアップの後、試合再開となる。彼は最速106マイル(約170キロ)の速球を投げるが、この日は102マイル(約164キロ)が最速だった。生まれて初めて見る100マイル超の速球は遠目で見ても迫力を感じた(様な気がした)。

 結果はチャプマンががっちりと抑えて、8対4のままヤンキース勝利となった。(ランナーが出た場面で登板しセーブが付いた)

 試合終了と同時に、フランクシナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」が大音量で球場全体に流れ始めた。

 これはヤンキースタジアムの名物で、勝利の時はシナトラ版、敗北の時はライザミネリ版のN.Y.N.Y.が流れていた時期もあったが、現在は勝敗に関係無く試合終了時にシナトラ版が流れることになっていた。シナトラは時々聞いていて耳馴染みがあって、中でも「ニューヨーク・ニューヨーク」は好きな曲の一つなので気分が浮き立つ。私がゲートを出る時も流れていて、勝利の喜びととウキウキ気分でヤンキースタジアムを後にする。

 マンハッタンまでの帰りは、高架の161丁目駅から4号線急行に乗って25分程でグランドセントラルへ出た。161丁目駅の高架ホームから見た夕方のヤンキースタジアムの素敵な光景が目に焼き付いている。