「キンモクセイ」と「スーパームーン」-高啓「題桂花美人」 | 流離の翻訳者 日日是好日

流離の翻訳者 日日是好日

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

「金木犀(キンモクセイ)」は秋の季語だが、キンモクセイの甘い香りが街角のあちこちから漂ってくる。キンモクセイの香りは、数百種類の揮発性化合物がブレンドされたものだそうで、特にイオノン類とデカラクトン類が特有の「甘く少し熟したような香り」を形成しているらしい。AIの回答であるが化学に疎い私にはチンプンカンプンである。

 

また、キンモクセイの香りには以下のような効果があるらしい。

 

1.リラックス・鎮静効果

脳波研究(α波の増加)から、副交感神経の活性化が確認されている。緊張や不安を軽減し、心拍数や血圧をやや下げる効果がある。

2.嫌なにおいのマスキング効果

トイレや体臭成分を打ち消す効果が非常に強く、芳香剤として古くから利用されている。

3.女性ホルモン様作用・催淫的効果

一部成分(イオノン、ジャスモン系)は女性ホルモン(エストロゲン)様作用を持ち、動物実験では交配行動を促進した例もある。古代中国でキンモクセイは「桂花」として愛や官能の象徴とされ、「催淫花」と呼ばれたこともある。

 

AIのおかげで何でも瞬時に調べられる時代になったが、若い人たちは何を勉強すべきか悩んでいることだろう。我々の時代は、ある意味良かったと思われる。

 

 

ネットによると今日は「スーパームーン」らしい。スーパームーンとは、楕円軌道における月の地球への最接近と、満月または新月が重なることにより、月が地球から最も大きく見える現象をいう。朝方の曇天も昼過ぎから晴れてきた。何とか満月が望めそうである。

 

 

「キンモクセイ(桂花)」を詠んだ漢詩を探してみた。

 

 

「題桂花美人」高啓                                    「桂花美人に題す」

 

桂花庭院月紛紛                                            桂花の庭院 月紛紛(ふんぷん)

按罷霓裳酒半醺                                            霓裳(げいしょう)を按じ罷みて 酒半ば醺ず

折得一枝攜滿袖                                            一枝を折り得て携へれば 袖に満ち

羅衣今夜不須熏                                            羅衣今夜 熏ずるを須(もち)いず

 

(現代語訳)

キンモクセイの香りが漂う庭に、月の光が溢れている。

美女の美しい舞曲が終わる頃、酒にも半ば酔って良い気持ちになった。

ひと枝を折って手に持てば、袖が良い香りに満ちあふれる。

今夜は薄衣(うすぎぬ)に香を焚かなくても良さそうだ。