英語遊歩道(その41)-「Attributive Ditransitive Verb」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

父は昔気質の人だった。9歳の時に父親(私の祖父)を亡くし、長男として母親(私の祖母)や幼い弟たちのために随分苦労したらしい。

 

まだ私が中学生くらいの頃、家族で正月を迎える準備をしていた。何処か滑稽に思えて「こんな日本式の正月っていつまで続くんやろうね?」と父に聞いたことがある。「お父さんのような大人が生きている限りずっと続く」と父は答えた。

 

父が家事を手伝うのを見たことはなかった。いつも居間に座って煙草を吸いながら新聞を読んでいた。家事は母と祖母の女二人に任せっきりだった。

 

そんな父がたまに台所に入ることがあった。ステーキを焼くときである。「お前たちにやらせたらステーキがセッタ(雪駄)になる」などと冗談を言っていた。

 

60代に入った頃から父は少しずつ家事を手伝うようになった。と言っても、縁側の雨戸の開け閉め程度である。母が膝を痛めたことも理由のひとつだった。

 

ある日、実家に行くと、父が「○○、この雨戸何とかならんか!?全然動かんのじゃ!」と言う。「ちょっと見せて!」と見ると、確かに雨戸の一枚が戸袋の中に引っ掛かっているようでビクともしない。10分くらい悪戦苦闘した結果、「ガタッ」という音がして雨戸が動いた。「よくやっつけてくれたな!ありがとう!」と父は言った。

 

「やっつけた」という言葉が可笑しくて覚えているが、父から「ありがとう!」という言葉を聞いたのは何十年ぶりだっただろうか。そんな縁側の雨戸の開け閉めも今は私の仕事だが、時々そんなことを思い出す。

 

 

 

久しぶりに英文法の話を書いてみる。昨日、英会話のレッスンを受けたが、テキストに「Attributive Ditransitive Verb(二重目的動詞)」という品詞が出てきた。何となく難しそうだが、テキストの文法的な説明は以下の通り。

 

Attributive ditransitive verbs such as make and call can be followed by two objects: a direct object and an object component. In passive constructions, the object usually remains at the end of the sentence.

 

Makeやcallなどの二重目的動詞は、直接目的語と目的語成分の二つの目的語を取ることができる。受動態の構文では、目的語は通常文の最後に置かれる。

 

これは単に、第4文型(SVOO=Subject+Verb+Indirect Object+Direct Object)をとる動詞のことを言っており、それが受動態になった場合は、(直接)目的語が文末に置かれることを説明したものである。決して難しいものではない。

 

「二重目的動詞」に他にどんなものがあるかAIに尋ねると、makecall以外に以下のものがあるらしい。いずれも何処かで習ったものばかりである。

 

1) Appoint

The personnel department appointed her manager.

受動態⇒ She was appointed manager by the personnel department.

 

2) Name

The parents named their baby Oliver.

受動態⇒ Their baby was named Oliver by the parents.

 

3) Elect

The committee elected him chairman.

受動態⇒ He was elected chairman by the committee.

 

4) Consider

The class considered him a genius.

受動態⇒ He was considered a genius by the class.

 

5) Choose

The coach chose her the team captain.

受動態⇒ She was chosen the team captain by coach.

 

6) Designate

The company designated him the spokesperson.

受動態⇒ He was designated the spokesperson by the company.

 

英会話のレッスンではあまり文法にこだわらないが、家に帰ってテキストを復習していると結構疑問に感じる点も多い。因みに以下の文の違いはわかるだろうか?

 

① He was considered a genius by the class.

② He was considered to be a genius by the class.

③ He was considered as a genius by the class.

 

AIの回答は以下の通りである。①は彼がクラス全体によって天才として認識されていたことをシンプルに伝えている。②は彼がクラスによって天才として評価されるプロセスや状態を強調している。to beが加わることで彼の天才性が認識されるというニュアンスが強調されている。③のconsidered asは文法的には正しいが、①②と比べるとやや冗長な表現である。