英語遊歩道(その27)-柳宗元「江雪」-生成AIによる「本歌取り」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

大晦日の今日は昨日に比べて少し暖かく穏やかな年の瀬となった。午前中に買い出しを終えて昼食は簡単なもので済ませた。今、家内が台所でお節料理を作っている。

 

 

書斎で今年最後の新聞を読みながら、今年最後のブログに何を書こうか考えていた。先日、大学時代の友人から白居易「香鑪峯下新卜山居草堂初成偶題東壁」「本歌取り」した漢詩が送られてきた。そこで「これだっ!」と思いついた。

 

生成AI「本歌取り」させたらどうなるだろうか?題材でふと思いついたのが柳宗元「江雪」である。この格調高い詩を生成AIにより現代風にアレンジさせてみよう。

 

(本歌)

「江雪」                                  柳宗元

千山鳥飛絶                              千山 鳥飛ぶこと絶え

万逕人蹤滅                              万逕(ばんけい) 人蹤(じんしょう)滅(めっ)す

孤舟蓑笠翁                              孤舟(こしゅう) 蓑笠(さりゅう)の翁

独釣寒江雪                              独り 寒江の雪に釣る

 

 

(拙・現代語訳)

全ての山々から鳥の飛ぶ姿は消え失せ、あらゆる道から人の足跡も無くなった。雪の降る中、一隻の小舟に蓑笠を着けた老翁が、ただ独り寒々とした川に釣り糸を垂れている。

 

 

生成AICopilot「上記の漢詩を本歌取りして現代風にアレンジしなさい。但し、出来上がりは七言絶句とし漢字で韻を踏むこと」と命令してみた。以下が少し手直しを入れた結果である。

 

(本歌取りの結果)

「デジタル時代の孤独」       Copilot&流離の翻訳者(共作)

千山鳥語声已絶              千山の鳥声語 已(すで)に絶え

城市噪音漸消退                      城市の騒音 漸(ようや)く消退す

繁街足音全消失                      繁街の足音 全て消失し

独翁静夜釣数据                      独翁静夜に 数据(データ)を釣る

 

(現代語訳)

山々からは鳥の鳴く声が途絶え、都市の騒音も消え去った。また繁華街から人の足音も消え失せた。孤独な老翁が静寂の川辺に佇み、スマホ片手にデジタルの雪を眺めている。独り静寂の中でデータの海に釣り糸を垂れながら。