今年も残すところ3日、随分と押し迫ってきた。家内がクリスマスの飾りを片付けて正月飾りに入れ替えた。我が家も新年を迎える準備が整いつつある。
BSで「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズが連日放送されている。観るのは今回で3度目くらいだが、心温まる物語にいつも涙が溢れる。またキャスティングが実に素晴らしい。
第一作は、東京タワーが建設中の1958年(昭和33年)の東京の下町が舞台である。私が生まれた年で、家庭にテレビが来たり力道山が活躍したりと日本が活気に溢れていた時代だ。この映画が公開されたのが2005年11月。当時、会社で法務や人材開発を担当していた。結構仕事が面白かった時期だった。
第二作「ALWAYS続・三丁目の夕日」の舞台は、前作の終了から4か月後の1959年(昭和34年)の春。こちらも素晴らしい作品で、第一作よりも泣けるシーンが多い。この公開が2007年11月。一念発起して会社を辞め、翻訳者を目指していた頃だ。
これらの映画を観ていつも思い出すのが、自分が実際に暮らした1980年代の東京である。当時はまだ人情が溢れる「古き良き東京」があちこちに残っていた。まだバブル・エコノミーの前だ。
よく遊んだのは吉祥寺・三鷹・武蔵境など中央線沿線である。武蔵野市の会社の独身寮に住んでいた頃で、週末には吉祥寺のデパートで買い物をしたり、三鷹や武蔵境で飲んだり遊んだり。当時吉祥寺には「キンテツウラ」と呼ばれる歓楽街もあった。今思えば何もかもが夢のようである。
時々、千葉・柏に住んでいた叔父が上野や浅草など「古い東京」を案内してくれた。連れていかれた浅草の「神谷バー」でちょっと甘い「電気ブラン」で悪酔いしたこともあった。
ある年の年末年始、休日の関係で帰省せず東京で年を越したことがあった。年の瀬に行った吉祥寺の市場の賑わいに対して、寮にぽつんと一人居残る強烈な孤独感を味わったこともあった。
家内とともに今年も暖かい年末年始が迎えられそうだが、二度と帰り来ない1980年代の古き良き東京を懐かしく思い起こした年の瀬となった。