11月も半ばを過ぎたが今一つ寒くならない。紅葉は最低気温が8℃を下回ると進み、約3週間で綺麗に色づくといわれているが、この調子だと見頃は早くても月末頃になるだろう。
大学時代の友人と小倉で会ったのが9月中旬、それと前後して2か月あまり彼とのメールのやり取りが続いている。最初は我々が高校・予備校時代の北九州の思い出話が中心だった。当時の出来事や街の風景を思い出しながら懐かしくメールを交わしていた。
それが、彼が高校のころからの自叙伝を書き始めてから話題が妙な方向に展開してきた。私自身本ブログで、中学3年のころから高校・予備校そして大学入学までの自叙伝を書いているが、それは受験勉強の思い出や親友たちとの交流の軌跡が中心だった。
だが、彼の自叙伝はそれとは大きく異なる。受験の話はそこそこに、彼と女性とのラブ・ストーリー(愛の遍歴)が中心となっている。長い間大学の教官をやっているだけあって、性愛だけでなく食事などの生活シーンの表現も実に巧みだ。また、まるで論文を書くように冷徹に論理を展開している。
どうも調子に乗ってきたらしく、自分の生涯を、実話とフィクションを交えながら描く一大官能小説を完成させる勢いである。読み手からすれば、複数の女性のファースト・ネームで頭が混乱する中、赴任地である京都⇒栃木(宇都宮⇔東京)⇒滋賀(大津⇔京都)と舞台は移るは、ついにアメリカへ飛ぶはで、とうとう若い白人女性まで登場してきた。
その性愛表現の描写は、まるで川上宗薫、宇野鴻一郎、富島武夫(と言って、さして読んだことはないのだが)のそれを彷彿とさせるほど精緻なものある。また、どこまでが実話でどこまでがフィクションなのかもわからなくなってきた。
ただ、事ここに至っては、小説の結末まで知りたいのが人情である。彼はどのような形で、この小説を完結させるのか、また完結させたいのか。願わくは、いつの日かこの一大官能小説が(自費)出版されて、世間にその真価が問われることを期待するばかりである。