英語の迷い道(その194)-「判官贔屓」⇔「勝ち馬に乗る」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

夏の甲子園もベスト8が出揃った。高校野球は私の趣味の一つでもある。自分の地元の高校を除いて基本的に「判官贔屓(ほうがんびいき)」のスタンスで観る。先日の「大社-早実」の試合は久しぶりに感激した。

 

 

「判官贔屓」とは伝統的な日本人の心情で、「判官」は、検非違使の尉(位)の一つで源義経「九郎判官」と呼ばれたことに由来し、本来は源頼朝に対して源義経を薄命な英雄として愛惜し同情することを意味した。現代ではそれが転じて不遇な身の上や弱い立場の者に同情を寄せたり応援したりすることを表すようになった。

 

 

「判官贔屓」を英語ではsupport (or sympathy) for the underdogなどと表現する。なおunderdog競争などで勝てそうもない人(側)を意味する。

 

1) The old man always supported (expressed his sympathy for) the underdog.

= The old man always cheered for the side that was behind.

「その老人は、いつも判官贔屓(劣勢な側を応援)した」

 

 

ところで「判官贔屓」の反対語に勝ち馬に乗るという言葉がある。これは、勝利しそうな方に味方して勝利に便乗することをいい、より具体的には集団の中で影響力を持っている人(の側)に付いて、その恩恵を受けたり自分の存立(地位)を維持しようとすることを言う。

 

 

会社・組織などではよく見かける光景だが、こちらは英語ではjump (climb, get, hop) on the bandwagon, adulation, excessive flattery, flunkeyism, ingratiation, sycophancy, toadyism などなどより多くの表現があるようだ。

 

2) Many executives jumped on the bandwagon of the founding family.

= Many executives tried to get leftovers from the founding family.

「役員の多くが創業者一族の勝ち馬に乗った(お零れに預かろうとした)」

 

3) Like a hostess, the young secretary ingratiated herself with the executives by providing them with topics they could be interested in.

「まるでホステスのように、その若い秘書は、役員たちが興味を持ちそうな話題を提供しながら彼らのご機嫌を取った」