英語の迷い道(その187)-名詞 Conviction のもう一つの意味 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

梅雨が明けて猛烈に暑い日が続いている。今日は38℃を超えたようだ。7月からこんな暑さであれば先が思いやられる。

 

 

法務事務所で働くようになってから、略式命令(Summary Order)起訴状(Indictment)判決文(Judgment)宣誓供述書(Affidavit)などの英訳を日々こなしている。

 

私の法務分野は企業間の業務契約書が中心であったため、裁判関連の法務文書で毎日新しい語彙との出会いが続いている。

 

そんな中、動詞 convince およびその名詞形 conviction の新しい意味を知った。動詞 convince「~を確信させる」の意味でしか使ったことがなかった。この名詞形が conviction で、意味は「確信・信念」である。

 

だが conviction にはもう一つ恐ろしい意味があった。それは「有罪判決・有罪」というものだ。裁判文書にはやたらこの語が出てくる。

 

「有罪判決・有罪」の意味の conviction の動詞形は convince ではなく convict である。動詞 convict の意味は「(裁判官・法廷が)(人に)有罪を判決する」となる。

 

以下に、例文を挙げておく。

 

1) I was convinced that he was guilty.

彼が有罪だと確信した

 

2) His testimony shook my conviction that he was innocent.

彼の証言で彼が無罪だという私の確信が揺らいだ。

 

3) He was convicted of having committed robbery.

彼は強盗罪の判決を受けた

 

4) He had a conviction for drunken driving.

彼は飲酒運転の罪を問われた

 

「有罪判決・有罪」の意味の conviction の反対語acquittal 「無罪評決・無罪判決」である。

 

この convince - conviction - convict の関係は、construct - construction - construe の関係に類似している。